愛とは、感情であり、肯定的な意志であり、意識にとっては、意識の空回りを終結させるという意味で超意識的なものである。つまり、個の主体性を保ったままで、個と個のあいだの間主体的な相互性として経験される感情である。この感情は、人間のあらゆる内面要素の複合的に収斂したものとしての一元的なものである。 肯定的な意志であっても、或る価値基準に拠る価値判断を無限に超えている肯定的意志である。愛においては、価値こそ愛のなかで気づかれ見いだされるからである。

 愛は一途な真剣さに触発され、目覚ませられる。或ることに一途で真剣なことは、意図せざる、愛を覚醒させる力である。人間が一途に真剣になるとき、愛しか根源ではありえない。愛が根源であるかぎり、一途に真剣になるものは分野の問題ではない。

 愛はあそびではない。愛において真剣にならない者は人間ではない。 

 

愛に気づき、愛を生きることは、愛を説明することではない。