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高橋元吉 詩

 その胸をおもふ

人生への情感にあふれたその胸をおもふ
熟れつくした秋の葡萄果のごとく
その重たさのために
殆ど前こごみになるほどの
その胸にあふれる人生の情感をおもふ
その深さと豊かさとをおもふ。

神の独り子であるや否やを知らない
その死に於て、万人の救ひが成就されしや否やを知らない
彼はつひに一個の、桁はづれのロマンティケルであつたか。

ただ自分は忘れがたくその胸をおもふ。
余りに甚だしき情感の横溢のゆゑに
どこといふことなく歩きまはつたその胸をおもふ。


 無題

ああ空遠くながれ去る河のごときものあり
水をかすめつつ飛びゆく鳥のごときものあり

 

 

 

 

「高橋元吉詩碑・高田博厚設計  「愛」」 2018/02/22