テーマ:自分に向って
想像力と結びついた情念は、判断力をして因果性のカテゴリー(悟性概念)を いたるところに適用させ、個人に応じた世界秩序を形成してみせる。だから繰り返し、そのような絢爛な秩序を、デカルトに倣って あの物質の本性である渦巻き延長の無機質存在に還元しなければならない。世界そのものが何かはわからない。われわれが責任を負うべきは、われわれ自らつくりあげた世界神話についてである。情念そのものを直に屈服させることはできない。まず悟性をして、悟性にふさわしい世界秩序を形成させる。あとは習慣の力に 連想作用の調教を委ねるのだ。デカルトを批判するばかりに急な現代は、あきらかに精神秩序の形成そのものに失敗している。それが現代を、機械文明の弊害の一方で、やはり変わらぬ狂気と迷信の時代にしているのだ。
「拒否の力」を直接に得ることが至難なら、間接に得る方法をかんがえねばならない。世界の秩序を世界に、精神の秩序を精神に返すためなのだ。これが本来のデカルトの企図であった。われわれはいまだに彼のこの二元論を受け取れないでいる。