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言葉とはおよそ読む者にとっての意味をもつものである。

優美とは何か。そう問うことは、優美という言葉で自分の経験するものを想起し思惟することである。すると、各人にとってさまざまな優美があることになる。 

この一線を越えて、優美とは何か、と普遍的な意味を問うことは、すでに倫理である。人間はどのようにあるべきか、という問いと同じである。

そういう問いにすすむべきだとぼくは思う。

いま、ぼくの言いたいことを、このように定位して、優美とは、深みを得た真摯な真面目さへの褒賞である、とぼくは言う。それいがいの優美はすべて舞台化粧である。真面目な関心対象ではない。 

 

感動させる優美とはそういうものでしかない。芸術はすべてそれをめざしてきた。そうでなくなったのは現代のみである。深みとともにある信仰というものに想いを馳せることすらなくなったからである。

 

優美とは、深みを得た真摯な真面目さへの褒賞である。こういう感動させる優美を、裕美さんの演奏は経験させてくれる。高田博厚の優れた彫刻の優美に拮抗している。