フランスの彫刻家 フレデリック・オーギュスト・バルトルディ (Frédéric Auguste Bartholdi、1834. 8. 2 - 1904. 10. 4) は、自由の女神像の作者であり、エジプトのピラミッドとスフィンクスを観て、自分も己れの名を歴史に永遠に刻みつけるモニュメントを造ろうと決心し、実際にそれを実現した人物である。ここで、作品よりも、そのために彼が支払った行動が、その作品によって歴史に刻まれたと思う。個人的な名誉欲を動機として、全世間を向こうに回し、自分が像を造るから、費用を全部出せと、米国に要請し(フランス人はやはりこういうことを言える根性を持っているらしい)、十年かかって、燈火の部分しか出来上がらなかった時点で、ふつうなら、夢から醒めるだろうと思いきや、ここから逆転を重ねて本当に造ってしまった。ただの世間的野心家とは片づけられなくなる。世間的次元なりに世間性を超越した純粋な夢に生を懸けた人物として、フランス人の自由とは、かくも自己陶酔的な誇大妄想を実現させてしまうほどの力であることを、示してくれている。思い出すのは、高田博厚先生が、フランスでは人間の野心のためにどんな熾烈な競争が為されているか、にもかかわらずどうして立派な仕事をし遂げるのか、そこに想いを致すべきだ、と言っていることである。 世間に這いつくばるだけの日本人は、一度生まれ変わるべきではないか。 かなり前に、偶然気づいて気晴らしに録画していたものを、昨日と今日やっと視て、予想しなかった歴史と人間の勉強になったので ここに記した。 因みに、女神像の内部骨格を造ったのは、建築技師のエッフェルで、この経験を活かしてエッフェル塔を造ることになる。 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮まっているほどの知性的表情。これでいいのである。