ぼくは自分の存在そのものによって「詩」の意味を定義する。
「個性」はその存立基盤として「普遍」を持っている。
「いわゆる秩序なるものは内部にあるのであって外部にあるのではない」という言葉は「真」の大原則であることを繰り返し確かめる。
真の詩人は此の世を美化もせず 落胆もしない。限界状況を見据えて、悪魔崇拝ではない「存在の暗号」を聴取する。「内面に向って開かれた窓」。
「神は暴風のなかにではなく沈黙のなかで語る」とフランス・カトリック神学者ジャン・ギトンは言った。
秋
高橋元吉
秋が来た
空を研ぎ雲を光らせて
浸み入るやうにながれてきた
すべてのものゝ外皮が
冴えわたつて透きとほる
魂と魂とがぢかにふれあう
みな一様に地平の涯に瞳をこらす
きみはきかないか
萬物が声をひそめて祈つてゐるのを
どこかに非常にいゝ国があるのを感じてゐるのだ!
空を研ぎ雲を光らせて
浸み入るやうにながれてきた
すべてのものゝ外皮が
冴えわたつて透きとほる
魂と魂とがぢかにふれあう
みな一様に地平の涯に瞳をこらす
きみはきかないか
萬物が声をひそめて祈つてゐるのを
どこかに非常にいゝ国があるのを感じてゐるのだ!
一九一六・一〇
此の世に信頼してはならない。林の中をゆく犀の如く独り歩め
「ノスタルジア」の一情景
フランク ニ短調交響曲 第二楽章
詫びることも許すこともぼくに云わせれば誠実ではない。誠実とは言葉行為を超えたものである。言葉にしえぬものへぼくは決心したのだ。
以前紹介した、これは、外界に開けた純粋感覚の、自我思念の詩である。
詩は思想を必要とする。思想の意味を解らねばならない。
人間は神ではない。自分の真実を歩みつつ偽りなく神に近づくのは何という遠い道か! その距離を測ることができないことが〔却って〕希望である。
人間は神ではない。自分の真実を歩みつつ偽りなく神に近づくのは何という遠い道か! その距離を測ることができないことが〔却って〕希望である。
ぼくのくりかえし書くことが貴方がたに周知のようにわかるようになれば貴方がたは生まれ変ったように貴方がた自身となり良く(善く)なっている。此の世は改善されている。
此の世に信頼してはならない。林の中をゆく犀の如く独り歩め
「ノスタルジア」の一情景
フランク ニ短調交響曲 第二楽章
詫びることも許すこともぼくに云わせれば誠実ではない。誠実とは言葉行為を超えたものである。言葉にしえぬものへぼくは決心したのだ。