19名殺害 重傷者多数の事件から一か月ということであるが、この事件は、人工テレパシーと思考操作の力を想起させずにおかない。こういうことは事実としてある、ということを、この機に皆に銘記してもらうために、記しておく:

 ぼくの同居者が東京で同じ操作を受けたと断定してよいとぼくは思っている。人工テレパシーの、「君はインテリの伴侶として失格。明日郷里へ帰れ。」という言葉に説得されて、本気で翌日帰るつもりだったらしかったことがある。ぼくも、同居者が、或る夜、寝る前にその種の言葉を呟いていたことは憶えている。翌日になると、「なんておかしなこと思ってたんだろう」、と自分で思ったそうだ〔これは夥しい現象の一例である〕。どうも、そういう「作用」に鈍感なぼくが知らぬ間に、同居者は、そうとう深入りした操作を受けていたようだ。これは、読者もおわかりのとおり、事件報道でも公にされた、思想伝達現象と同じである。伝達された思想と自分の本音との間に、ある期間は齟齬不一致があり、意識の揺り戻しがあったが、最終的には説得され、不幸な一致に到り、事件となるのである。優生保護法的発想への迎合傾向が本人の中にあったことが致命的要因となったと思われる。

 世の中は、集団容喙現象として被害者たちが訴えてきた現象が、ついに公の光の場に出てきたことを認めるべき時が来た、と思う。ぼくはここで表現を、意識して穏やかにしている。言いたくも触れたくもないことだから。

 ぼくの周囲の者たちも、同じ仕方で傀儡化したはずである。

 

 あきれた時勢である。