彼がフランスへ行く以前の有名な「馬鈴薯を食べる人々」であるが、ぼくは彼の絵でこれがいちばん好きで、これはいつのまにか食堂に居据わっている。撮り具合で実物(複写)より相当暗くなってしまったが、却ってレンブラント的になって落ち着きが増しているのでこれにした。人間の深い親密性があり、これこそ家庭情景画だと思う。ルオーの横に置き得るものはこのようなものだろう。ゴッホの人間理念の投影であり、彼の魂の素直な証であると思う。