高田先生(1900-1987)の作品を大規模に常設展示している美術館は、前述の安曇野市豊科近代美術館のほかに、代表的なものとして、福井市美術館がある。本来、彫刻という立体空間芸術は、写真のような平面次元に置換しても、その本質をほんとうに伝えることはできないものだ。先生の作品に関心を懐いてくれたら、ぜひ、いちど自ら作品そのものに接する労をとってほしい。必ず人生の深い一契機になるはずだ、とぼくは信じている。また、美術館ではないが、埼玉県東松山市・高坂駅前の大通りは、有名な高田博厚彫刻群の散歩道だ。人々の誠実な努力によって立派に維持されている。ぜひいちど訪れてくれたまえ。

 次に福井美術館の電子欄で公開されている常設展示紹介文を参考のために複写させて頂いた:


常設展示「高田博厚の世界」
彫刻家高田博厚は、2歳から18歳までの多感な時代を福井で過ごしました。 早くから哲学や文学、芸術に目覚め、後の東京時代やパリ時代には、当時の優れた数多くの知識人と交友を深め、 彫刻家としてのみならず、文筆家、思想家としても活躍しました。フランスの美の伝統や近代彫刻の巨匠達の作品に触れ、また古代彫刻で彫刻の法則を感得した高田は、対象の中心に潜む、本質の普遍性を形として表現しようと、生涯模索しつづけました。福井市美術館の常設展「高田博厚の世界」は、東西の知識人との幅広い交友をもとに、孤独と貧困の中、ひたむきに粘土と格闘した高田博厚の全貌を、肖像作品を中心に、彫刻約80点、デッサン約10点と映像などで紹介します。

展示室の構成
常設展示室は 4室で構成されています。
1展示室:映像によって高田の彫刻人生が概観できます。
2展示室:渡仏前の画家や詩人との交友と、彼らをモデルにした肖像作品を間近に見ることができます。
3展示室:ドキュメントパネルと作品の象徴的な展示によって、高田の彫刻人生において最も充実したパリ時代を紹介。彼の芸術世界を知ることができます。
4展示室:「素材の違う作品」「彫刻のできるまで」など高田作品を理解し紹介する小テーマに加え、これまでに寄贈された雨田光平や鈴木千久馬などの本市ゆかりの作家の作品を展示紹介しています。
屋外展示:高田作品が展示されています。 

所在地・福井県福井市下馬3丁目1111番地 

一般、大学生、高校100
中学生以下の方、70歳以上の方、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方とその付き添いの方1名は、無料でご覧いただけます。

開館時間・午前9午後515分。入館は午後445分まで

 0776-33-2990