私の判断では、我々はどうもひとつの暗黙裡の戦争の只中にあるようなのである。その渦中に巻き込まれていることは、「あの人」が生きた時代と本質的には変らない。全く非人間的・反人間的な力が、偽善の仮面の下で世界を集団催眠にかけているかのように思われる。あたかも創造主がその本性を現してきたかのように。しかしその力がどのような本性のものであれ、人間の魂は益々その中で不変の本質を却ってくっきりと顕現してくるように私には思われる。この、悪と美との対立の意識が、私をしてなにごとかを語らせようとしているようなのである。