年金と老後資金 | NPO法人鎌倉ファイナンシャル・プランナーズ

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今まで老齢年金は原則25年の期間がないと1円も受け取れないことになっていましたが、今年の8月から制度が変わり、10年以上で受け取れるようになります。


資格期間が10年以上25年未満の方の請求の事前受付が3月から始まり、私もその受付を年金事務所で担当しています。今まで無年金だったその方たちには9月分の年金から支払われます。


今まで年金を受け取れていなかった70代、80代の方たちの多くは経済的に苦しい生活をしている方で、生活保護を受けている方の割合もかなり多いという印象です。


つまり、年金制度に対して悲観的な見方が多くされていますが、それでも老後資金を考えるときに年金は充分とは言えなくても現状では老後資金の大きな部分を占めていることは間違いないことを実感します。


よく例に出される夫が平均的な給与で40年働き、その間妻がずっと専業主婦だった夫婦が1月に受け取れる年金は約22万円となっています。住宅があれば何とか暮らせる金額でしょうか。しかし、一生自営業の方が受け取れる老齢基礎年金は満額で夫婦で13万円弱となっています。国民皆年金と言ってもいわゆる年金生活者になれるのは厚生年金に入っていた方たちだけと言えなくもありません。


今まで無年金だった方はどういう方が多いかというと、若いころ少しだけ会社勤めをした後自営業になったけれど国民年金の保険料を払う余裕がなかった方、職人さんで個人経営の親方の下で働いていたけれど国民年金の保険料にを払っていなかった方などです。


夢を持って脱サラすることを否定するつもりはありませんが、成功するハードルはかなり高いと言わざるをえません。その月、その年の収支だけでなく、厚生年金に替わる老後資金も捻出できる体力がなければならないからです。


年金額が少ない方を前にして、FPとしては、仕事の形態によって異なる一生安心できる老後資金についてのアドバイスができるよう、現実と対策についてもっと勉強しなければならない痛感します。


また、今回制度が変わったことで年金が受け取れるようになった方はよかったと思いますが、若い方が受給期間が10年に短縮されたことでそれ以上の保険料を払う必要がないと誤解して、将来少ない年金額に愕然とすることがないようそれもきちんと伝えたいと思います。

 

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