前回、「瀬戸内科の島の事情」について書きました。
引き続き、今回は島内6集落の内のひとつ、
御手洗集落について記してみます。
御手洗集落以外の5集落は柑橘類で生計を立てている集落です。
御手洗集落は江戸時代からの港町で、
人口217名(2015年国税調査)の小さな集落です。
実は、以前、横浜桜木町にある日本丸に横の「横浜みなと博物館」に行ったときのことです。
博物館の壁に日本地図があり、何の気なしに広島を見ていたら 港町御手洗が載っていたのです。
驚きました!!!
人口が200名程度の小さな港町御手洗が横浜の博物館に記されていたからです。
なぜ?
と思いつつ調べてみました。
港町御手洗は、江戸時代中期から明治時代にかけて栄えた港町でした。
御手洗は周辺の島々に囲まれ、瀬戸内を航行する船(帆船)の航路上の寄港地とし、潮や風を防いでくれる『潮待ち』『風待ち』の場所だったのです。
19世紀初頭には「北前船」と言って、北海道から日本海の港町で特産物を瀬戸内海経由で大阪や江戸に運び、各港町で商売していた帆船のことです。
港町御手洗はこの航路上にあり、諸国から仕入れた米や酒樽、海産物などを売りさばく中継商業が盛んに行われていたそうです。
(豊町史:本文編)
その時期の町並みや建造物が、現在も当時のまま残されており、1994年には国の「重要伝統建造物群保存地域」に選定され、
更に2018年には「北前船とともに栄えた港町」として日本遺産に選定されていました。
これで、横浜の博物館に港町御手洗の名が記されていたことが理解できました。
最近では、この町並みや建造物が映画やアニメのロケ地として、利用されています。
直近では、2022年3月に米アカデミー賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」です。
御手洗の町並みや、その町の角にある築150年に「閑月庵新豊に客室」がロケ地でした。
2012年にはアニメ映画「ももの手紙」も御手洗地区を舞台にした映画です。
アニメの舞台となった町並みや病院などを実際の写真と比較した写真がネットで見ることができました。
小さい頃に遊んだ町並み等等思い出し、懐かしく思いました。
他にも、このエリアはCMやテレビ番組のロケ地として度々登場しています。
こんな小さな集落が、こんなに広がりをみせているとは思いませんでした。
興味のある方、ぜひレトロな町を散策してみては如何でしょう。
K.I