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レタッチフォーリオ007

dEvEloPing: レタッチャー英国日誌


Client H&M
(全てのイメージが私が手がけた訳ではありません、悪しからず)

企業、商品はユーザーが支えていかなければ存続できない。
無論支えるという事は提供するサービスを利用するか、商品を購入し料金を支払う事を指す。

私の数少ない職後の楽しみに、ボーダーズ(Borders)での本物色があった。
職場近くの店舗は、なかなか愛嬌があり良く足を運んだ。

本を持ち込めるスターバックスは席は広めにもうけ、くつろぎの場を提供。
書店中央に鎮座した店員さんおすすめ本コーナーは、手書き解説の面白さと、
彼らの選ぶ本が私の興味とも重なり、この店舗に頻繁に訪れる事を後押しした


しかし、このボーダーズで本を余り買わなかった。
理由は単純で、実店舗を持たないAmazonの方がほとんどの本を安く購入出来たからだ。本はどこで買っても中身は同じ。同商品を安値で手にするのは、インターネットの恩恵であり、賢い選択だと思っていた。

今年の夏、ボーダーズは倒産した。
いつも人があふれていたことを思うと、多分私のような人が沢山いたのであろう。ロンドンに10ほどあった店舗は買い取り手が見つかることもなくすべて閉店。職場近くのボーダーズは皮肉なことにH&Mへと変わり、改装の3ヶ月間、私の仕事の展示場となった。


むろんH&Mは読めなない。私の知的好奇心を満たす事もない。
結局私と仲間達(私と一緒の様な行動された方々)は、少しのお金をセーブする為に数少ない仕事後の楽しみと、行き場を失った。(Amazonで購入する事により一年でセーブした金額は一食のランチ代ぐらいであろうか)

ネットの普及より始まったデジタル革命はあらゆる分野のエコシステム(インフラストラクチャー)を破壊しながら、その優位性を明確に示す。一円でも安く購入したいのが消費者の心理であり、不便より便利な方が良い。

言うまでもなくこの波は写真業界も飲み込む。

フィルムがプロが現場でから去り、私達(アマチュア)にも忘れられてから久しい。Fujiもkodakもフィルムの販売の継続を宣言しているが、いつまで続くか。気つけばFujiのカタログから35mmの160sの姿がない。。。

今、私に出来ることは、フィルムの良さを語る事でも、思い出に浸る事でもない。純粋にフィルムを消費し、現像すること。たとえ駄作の量産であっても。(私が一人がいくらフィルムを消費しても、何の足しにもなりませんが、とりあえず心意気として。。。)

私はもう少しフィルムで遊ぼうと思う。写真産業が1世紀以上をかけ築き上げたインフラストラクチャーが崩壊する前に。

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Hexar RF
Nokton C 35mm
160NC