鑑定の偏見(8)
福澤法律事務所の筆跡鑑定についてのコメントがネット上で読むことができる。
主たる論点は裁判所が筆跡鑑定を信用しないとのことである。

 1 筆跡鑑定人は鑑定依頼人の意向通り鑑定書を作成する。
2 鑑定書は科学的ではない。
の二点である。

これまで120件以上の鑑定書や反論書等を裁判所に提出してきた。
当所と異なる鑑定結果の鑑定書を提出した鑑定人は延べ20名である。
明らかに鑑定依頼人の意向通りの鑑定書を作成した鑑定人は2名である。いずれも複数の鑑定人がいる大手である。

他の鑑定人は鑑定技術の不足である。
例えば遺言書の真贋を争うときは鑑定書よりも他の状況を重要視するとしているが、実は遺言書の偽造よりも状況証拠の偽造がはるかに容易である。
状況証拠は本人の手帳やメモ等の場合が多いからである。
一昨年このような鑑定依頼があった。
裁判の結審の一週間前の鑑定依頼であり、相手方から契約書が偽造との鑑定書が提出されて、それを覆せずに一審では敗訴になりそうなので、二審に備えての準備をしたいとのことであった。
資料を見たところ契約書は本人の筆跡であったので、裁判所に提出できる様式の資料をまとめて、結審の前々日に依頼人に届けた。
さて結審当日裁判官は藤田鑑定人の鑑定書を読みたいので、結審期日を1カ月半延期するとの決定であった。
裁判結果は述べるまでもない。
また裁判所に鑑定書を提出したところこれまで相手方の弁護士が訴訟代理人を辞任した例が2件ある。
筆跡鑑定の技術も確実に進化している。
筆跡鑑定人ということで一括りに考えられない時期にきている。