筆跡鑑定(69) 筆跡鑑定の現状 4
古典的な鑑定人には偽造技術の優れた筆跡はなかなか偽造であると見抜けないと述べている。著名な鑑定人も雑誌の対談で偽造筆跡の80%程度が見抜ければと語っている。この発言の背景には真筆である筆跡を偽筆と鑑定してはいけないという配慮があるように感じる。つまりは第1種の誤りを犯さない配慮である。そこには自らの鑑定手法をよりブラッシュアップし、第1種の誤りも第2種の誤りも犯さないという目標も努力もない。
偽造技術の進歩を上回る鑑定手法の構築が不可欠なのである。12年前に科捜研OBがある筆跡鑑定において説明に窮して、人智の及ばないところであるとか、鑑定歴30年以上の鑑定人がこの字画形態については、合理的な説明ができない。合理的な説明ができないないのも筆跡鑑定である。と記載している。
当鑑定所がこの二件の案件を鑑定したところ、明らかに偽造文書であった。この二人の鑑定人は署名が偽造であると鑑定できず、明らかに本人の筆跡と異なる文字についてこの様な到底科学的ではない言い訳をしている。この様な鑑定技術では、法曹界の信用を得られる訳がない。下手な言い訳をする前にもっと根本的に鑑定技術を見直すべきである。