Graham Farmelo氏の手に依るディラックの伝記、“The Strangest Man”を読んでいるのだが、私の単語力の不足からかやたらと辞書を引いてばかりで、なかなか進まない。不明な単語にアンダーラインを引くのが習慣になっているのだが、何年か前に読んで中断した時にはアンダーラインを引いていない単語にも今回は引いていく事が多い。もし辞書を引いた単語の意味を全て覚えているなら、大幅に私の語彙が増えていることになるので、小説を読んでいるような気持ちで、‘これは語彙を増やしているのだ。’と思って、自分の力の及び限りで読み進めている。  

 

 こう言った事に取り組んでいると、やはり私には速さを追求する事自体が無理なのかと思えて来る。そう言えば、数年前に読んでいた時は、意味よりも速さを追求していたように思う。結果、意味が明確ではなくとも本筋とは関係ない語彙を調べなかったような気もする。 

 

 ともあれ、ロシア語を日本語訳すると言う行為から、単語や熟語の意味を明確にしないと文章の意味をとれないということが改めて身に沁みて解ったことは大きい。そして、英語もロシア語も私にとっては外国語だ。学んだ期間の長さは関係ない。眼の前に在る文章の意味を理解する事のみだ。