クマの散歩道 Vol. 201 クマがお教えします!この構造物は何? ~道谷原発電所取水堰~ | クマの散歩道~大好きなふるさと日光市を紹介するブログです~

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皆様こんにちは。
 
この記事の執筆を始めた時(2022年4月4日午後)ロシア軍が撤退したキーウ(キエフ)近郊のブチャで300人以上(BBCニュースではキーウ州全体で410人との報道)の民間人が虐殺されていたというニュースが飛び込んできました。ロシア側はウクライナのでっち上げだと主張しているようですが、真実は一つです。私達民間人は、西側諸国のプロパガンダに騙されてもいけませんが、この時代にどんな事が行なわれたのか真実を見て、きちんと記憶に留めておくべきです。
 

今日のクマの散歩道は、水力発電所のお話という、ちょっとマニアックともいえるお話です。でも興味のない方にもなるほどなあとか、そうだったのかという内容で書いていきたいと思います。

 

 

日光市の中心部今市から国道121号線を鬼怒川温泉に向かうと、東武鬼怒川線新高徳駅の手前で、鬼怒川を渡ります。中岩橋(なかいわばし)という橋です。かつてはこの橋までが今市市で、ここから先は藤原町という境界の橋でもありました。現在では木製の大きな観光看板だけがその名残を残しています。鬼怒川温泉、川治温泉(総称で鬼怒川川治温泉とよく呼ぶ)はどちらも旧藤原町に属していました。
 
 
過去にはこのブログでも鬼怒川に架かる橋を紹介する一連の記事の中で、中岩橋のことも書いています。ここは東武鉄道の中岩橋梁も並行していることから、SL大樹の撮影地の一つとしてもずいぶん有名になりました。かつて道路橋は上下で別々の橋を利用しており、今は使われなくなった下り線の橋は歩行者のみが渡れるので、撮影には格好の場所です。
 

 

ここのところは、EDO WANDERLAND 日光江戸村とのコラボ企画で、この中岩橋でもショーが開催されています。2022年度の動画がYouTubeのSL大樹公式チャンネルでも公開されていました。

 

 

その中岩橋の下流側すぐ真下に、こんな構造物を目にして、これは何なのだろうと思われた方も多いのではないでしょうか?
 
結論からいうと、これは東京電力リニューアブルパワー(旧東京電力)株式会社 道谷原発電所の取水堰(取水口)です。
 
 
上の橋の上の写真で川の向こうに見えているのは、鬼怒川カントリークラブのクラブハウスなのですが、中岩橋の袂からゴルフ場に入る道から河原に下りてみました。こんなふうな堰堤であることがわかります。取材日は3月12日で、まだ雪融け水も流れ込んでおらず水量が少ないせいか、堰堤の上を水が流れていませんが、もう少し季節が進んで水量が増えると、堰堤を越えて水が流れます。このような方式を自然越流方式といいます。
 
堰堤を越えて水が流れている状態の写真を載せたものをアメブロで見つけましたので、リンクを張っておきます。
 
 
堰堤部分をズームアップしてみました。手前のコンクリート部分はあとから施工したものでしょうけど、本体の石積みは竣工当時のものでしょうか。
 
 
取水口の部分です。対岸からは立ち入り禁止になっているので、近くまでは行くことが出来ないようです。
 
 
ここで中岩橋のGoogleマップを見て見ましょう。新高徳駅を過ぎると、国道121号線から77と書かれた道が分かれています(高徳という三叉路交差点)。この道は栃木県道77号宇都宮船生高徳線という県道なのですが、これを右折すると、日光市を出て塩谷郡塩谷町船生(ふにゅう)地区に入ります。
 
 
この辺りはまだ日光市高徳地区です。上の取水口で取水された水はこの辺りでは道路の下を暗渠で導水されています。上の写真は高徳交差点方面、下の写真は船生方面です。下の写真で道路が右側に膨らんでいる辺りより手前(高徳交差点寄り)だったと思うのですが、道路から鬼怒川に落ち込む崖の途中にある僅かな平地に、導水路が見える部分もあったはずなのですが、今回は撮影出来ませんでした。
 
 
県道77号線を少し走って、遅沢川という鬼怒川に合流する小さな谷川を渡ると、間もなく左側に導水路が見えてきます。導水路にはこの上の原橋という小さな橋が架けられています。この橋を渡る道路はやがて少し高くなった築堤の上へと伸びていますが、その築堤こそ、今は廃止になった東武矢板線のものです。この辺りは既に塩谷町船生です。
 
 
この先に発電所があります。
 
 
こちらは高徳側です。結構水量が多いのがわかります。
 
 
上の導水路と県道が接近するところから更に進むと、左に折れる道があり、その先に道谷原発電所があります。ちょうど車が停まっている道ですね。写真を撮っている辺りが旧道なのですが、この先で白石川を渡る橋がなくなっており、今は通り抜けることが出来ません。
 
 
車の停まっている交差点で県道から逸れると、すぐに発電所の鉄鋼が見えます。
 
 
発電所の直前では、県道からは少し離れた田んぼの中に日光連山を背景に導水路が伸びてきています。
 
 
こちら側の地域の生活道路からはフェンス越しでわかりにくいのですが、導水路最終部分です。ここで水圧鉄管を通して発電所建屋にある発電機に水を落としています。
 
 
これは発電所で発電された電気を上の写真の鉄鋼部分へと導き、そこから引き出した電線を受ける最初の1号鉄塔です。
 
 
そして2号鉄塔が電線を受けるのですが、この辺りでは鉄塔と電線が入り組んでいます。
 
 
これが上の写真をもう少し引いた位置から撮ったものですが、まず写真の右端の鉄塔が上の2号鉄塔です。一番奥に見える横長の鉄塔(塩谷開閉塔)は、この奥にある別の発電所塩谷発電所から来ている送電線です。その手前の細身の鉄塔は大田原線(中岩ダム(中岩発電所)と大田原変電所を結ぶ送電路)です。道谷原発電所で発電された電気も塩谷発電所で発電された電気も大田原線19号鉄塔で大田原線に接続されています。
 
 
東西両方向から見た発電所建屋です。もちろんフェンス越しに撮っていますが、ちょうどフェンスの目の間からフェンスを写さずに撮れています。
 
 
逆光ですが、導水路から水圧鉄管を通して発電所に水を落としています。有効落差は19.39mだそうです。
 
 
発電所の入口です。
 
 
発電所の銘板。こちらではまだ東京電力ホールディングスのままになっていますね。東京電力ホールディングスは今は持株会社になっており、水力発電、風力発電、太陽光発電といった再生可能エネルギー分野は、東京電力リニューアブルパワーという会社が担っています。
 
 
構内脇の道路から鉄鋼部分を見たところ。
 
 
導水部もこちらからは少し見やすくなっています。
 
 
 
目の大きいフェンス越しではありますが、先程の写真よりはよく見えます。
 
 
左側のフェンスの上から撮ってみました。あ、因みにここまでの道路は立ち入り禁止部分ではありません。
 
 
そしてこれは白石川に架かる県道77号線の橋です。
 
白石川には下流の鬼怒川合流部近くに、ここで紹介している道谷原発電所があり、更に4kmほど山間に入った上流部には塩谷発電所があります。道谷原発電所は白石川沿いにあっても鬼怒川の水を水路で引き、発電を終えた水も直接白石川には流していません。一方塩谷発電所は白石川上流部に西古屋(にしこや)ダムを設け、一部白石川の水を利用しています。ただし西古屋ダムは大規模な鬼怒川発電所からの大量の放流水を調整して下流部に流す逆調整池の役目も持っています。鬼怒川発電所で発電に利用された水の一部は、鬼怒川の下を潜り、鬼怒川温泉駅付近からその東部に聳える山に暗渠を設けて、そこに水を流して、西古屋ダムまで導いています。中岩ダム(上記)と共に逆調整池と発電所の機能を持たせたダムというわけです。塩谷発電所も名前の通り塩谷町にあります。道谷原発電所同様発電所自体は日光市にないのですが、鬼怒川発電所にも関連している施設なので、またの機会に取材してみたいなと思います。
 
 
県道77号線の白石川橋からは、冬の時期であれば道谷原発電所の建屋が見えます。夏場は周りの木々が葉をつけるので見えにくくなります。
 
 
これは上のほうの写真で、県道77号線から道谷原発電所方向へと入っていく道を撮った場所(車が停まっていた写真です)から旧道を進んで、今は無き旧橋の所から白石川を撮ったところです。左側すぐに県道77号線があり、右側はすぐに鬼怒川合流部です。上でも書きましたが、ここを道谷原発電所からの放流水は流れません。
 
 
鬼怒川合流部もすぐです。
 
 
白石川合流部のすぐ脇の藪の中に、放流部があります。何年か前に行った時はもう少し木々が少なくて、獣道のような道もあったのですが、この取材の時は木々をかき分けやっと到達しました。
 
 
脇に河原まで下りられるような道があったので、河原まで下りてみました。鬼怒川上流部を望んだところです。
 
 
こちらは下流部です。向こうに見える橋は国道461号線の大渡橋(おおわたりばし)です。
 
 
岩の間で開口部は隠れていますが、大量の水を放流していて恐い位です。なぜ白石川の川沿い、それも合流部に近い場所に発電所があるのに、白石川に放流水を流さないのかは正式に書かれている書物等を見たことがありませんが、これだけの水を小さな川に流すと生態系に影響を与えたり、護岸の浸食を招いたりするからなのだろうなと勝手に想像しています。
 
 
そして国道461号線の大渡橋に来てみました。
 
 
大渡橋はこちら側(左岸)は塩谷町向こう(右岸)は日光市(地名は大渡)です。道谷原発電所は高徳から来ても日光市との境界近く、大渡から来ても境界近くというわけです。向こうに見える茅葺き屋根の建物は大渡観光やな 船場亭です。最近は何度も簗場が台風などの増水で流されたので、梁は設置されていないようですが。
 
 
大渡橋の上流側には車道とは別に歩道橋が架かっているので安全に渡れます。この橋の南側には白鳥飛来地があって、最近少しずつ認知度が上がってきています。ただGoogleマップの口コミによると、2022年の3月中旬頃には、来訪者のマナーが悪いためということで通行止めになっていたと書かれています。SNSでも誰かが白鳥に石を投げたという投稿を見た気がします。今確認したら該当記事が見つかりませんが。また来年も白鳥が来てくれますように。
 
 
歩道からは鬼怒川の向こうに日光連山が構えておりなかなか雄大な景色を見ることが出来ます。晴れて空気の澄んだ日だともっときれいに日光連山が見えます。
 
 
女峰山に向けてズームアップ。
 
 
そして先程行ってきた放流部を見てみました。
 
 
これは上の放流部とは別に大渡橋に寄った(下流ということ)ところにも放流水と思われる水流が見えました。これもきっと道谷原発電所の放流水なんだろうと思います。
 
 
更に水路が大渡橋の下を潜って下流に伸びていたので、橋の下流側でも放流水を流しているのだろうと思います。この水路は僕も初めて知りました。前からあったかな。

これは放流水を一気に流さないような措置なのかもしれませんね。未確認事項ですが。そういえば、昔は大渡橋から見ると白石川脇の放流水はもっとたくさん出ていた気がします。それで卜もあそこに発電所放流口があるんだとわかった位だったのですから。今は知らなければ、離れたところから見える水量は白石川の合流水としか見えませんもの。いくら鬼怒川は大きい川といえども、一ヵ所から大量の水を流すことで生態系に影響を与えないように、何ヵ所かに分けて段階的に放流するように変更されたのかもしれません。

 
そして左岸に寄ったところからも橋寄りの放流水らしきものを撮ってみました。ここには合流する川、沢はないし、これだけの水量ですからほぼ間違いなく放流水の一部でしょうね。
 
鬼怒川もこの辺りは、ダム取水堰がたくさんある場所です。今回紹介した中岩橋の上流1km位の場所には、船生用水の取水堰があります。ここで取水された水は道谷原発電所の導水路とほぼ並行して流れ、塩谷町船生地区の農業用水として使われています。更にその1kmほど上流には上でも書いた中岩ダムがあります。逆に中岩橋の下流にある橋が上で紹介した大渡橋なのですが、その大渡橋の2km程下流には佐貫頭首工があります。
 
 
以上、今日はマニアックなお話ではありますが、中岩橋の下に見える構造物から、道谷原発電所の紹介をしてみました。このブログを始めた初期の頃に書きましたが、日光市内には結構あちこちに水力発電所があります。そして僕はダムとか、発電所(これは水力発電所に限らず)、鉄塔には興味津々なので、今後もこんな記事を書くかもしれません。テーマにも〝マニアックな日光市〟というものを設けていますからね。
 
 
 
 
 
 
(取材日:2022.3.12 執筆日:2022.4.4  公開日:2022.4.5)