第10場 1992年1月12日 アメリカ山岳部時間(MST Mountain Standad Time GMT-7) 11時45分 ロッキー山脈地下基地司令部支所〜秘密時空保安局局長室

わたしの性格を熟知している秘密時空保安局局長はわたしがすぐに飛んでくるのを予期していたようでにこにこ顔でわたしを出迎えた。さっそく今回の作戦の詳細について語りたがっていたが、空腹なので食事を一緒にしてからにしてくれませんかとお願いしたらこれもすんなりとOKサインが出た。食事直後に来訪してもこうはいかない。だから昼食前の時間を選んで飛んだのだ。ロッキー山脈地下基地内のレストランでも一番人気のイタリアンの店(Siroc Restaurant) でスパゲッティ・アッラ・カルボナーラをおごってもらった。それからすぐに局長室へ戻って話を続けたが食事中の顔とは打って変わって厳しい表情で書類を机の前に出してこう切りだした。
「このリストの中から誰を選ぶのか、至急決めてくれないか。わたしの方で十五人に絞り込んである。このリスト外でもかまわないからこの場で五人を選んでほしい。指令書でも伝えた通り至急作戦をはじめなければならないのだ。」
男性八人、女性七人の顔写真付きの経歴リストにざっと目を通したが一人を除いて自分がスカウトした人間ばかりだったので現在の任地を確認するだけであらためて局長に性格等を聞く必要はなかったが、残る一人について質問をぶつけてみた。
「1985年のこのロッキー山脈地下基地に居る人物のゴルフの腕前はご存知ですか?」

「ああっ、あのお調子者の軍曹さんか! 一緒にラウンドしたことはないが接待ゴルフの腕は名人級なはずだ。某国の首脳クラスに混じってのゴルフコンペの話を君は知らないようだな。どんな相手でも話を合わせるのがうまく、語学も達者で気難しい人物にも好かれる存在の彼はある時のコンペで、口以上にゴルフの成績が良く、午前中の前半9ホール終わった段階で1イーグル、3バーディー、ノーボギーとダントツのトップで回ってしまい、昼食時に隠れて飲酒して午後の上がり9ホールはOBを連発して自滅したそうな。それでもロングホールは2オンして楽々バーディーを取ってみせて面目躍如。おしゃべりは終日絶好調だったようで゛調子が良すぎて今日はどんな方向でも距離が出ておもしろいゴルフができました。゛と口三味線も四方八方に飛ばしまくったというこの話はすぐに伝わってきたぞ。今回の作戦に必要不可欠な人物かどうかはわからんが有能な人財であるのは確かなので一応リストには入れておいただけだから外してもらってもかまわない。」
「わかりました、ただ、少しだけ時間をいただけませんか? いゃ、すぐに答えは出します。ここではなくわたしの居室で考えたいのです。飛んで帰ってくれば例によってたったの一分ですから。」
「無駄にジャンプして疲労を蓄積しないほうが身のためだぞ、若くはないのだから。」
「確かにそうですが戻れば残りの十四人の資料が手元にありますので詳細な検討ができるます。一旦戻ることを許可願います。今回の作戦はまず緻密な計算をしてからでないと目標達成できないもののようなので人財選択もより慎重にしたいのです。」
「わかった、作戦成功を祈っている。戻ってくるのは一分後ではなく六時間にしてくれないか? 是非夕食を一緒に食べよう