第12場 1993年1月20日 アメリカ山岳部時間(MST Mountain Standad Time GMT-7)18時35分 ロッキー山脈地下基地司令部支所~秘密時空保安局局長室

相変わらず局長は上機嫌だった。さっそく今回の作戦の選抜メンバーの男性二人、女性三人のリストを提出して顔色を伺ったが驚いた様子もなく゛わかった、後はよろしく頼む゛とだけ言って地下基地内のレストランゾーンへ移動した。
中華鍋とロール(Wok & Roll)という名の中華レストラン、基地内にある五つあるレストランの中でもわたしは一度も入ったことがない店の予約を局長は入れていた。チャイナドレスのかわいい女性店員さんに導かれていった先の円形テーブルには着飾った五人の先客がいてびっくりした。
男性二人、女性三人、最初は誰だかわからなかったが真紅のドレスに身を包んだ女性が微笑んで手を振った途端、見覚えがあるえくぼから記憶が蘇ってきた。テーブルの先客はわたし自身がスカウトしてこの世界に導き、現在第一線で働いている秘密時空保安局員で今回の作戦の選抜メンバーの五人だった。
まんまと局長の電撃作戦に引っかかってしまった。局長は立場上の特権を利用して少し先の時空を調べてわたしが苦心して選んだ意表のメンバーも先回りして把握してこういう演出をして見せたのだ。わたしのど派手なスーツも先に知られていたのではどうしようもない。
久々に顔を見た五人との会食はとても楽しかった。同席していた局長をのけ者にして悪いことをしてしまったが何しろ苦労してスカウトした時から我が子のような存在の面々との再会が盛り上がらないはずがない。新鮮なエッグロールが女性陣に大人気だったが仕掛け人の局長はいつの間にか姿を消していた。特に今回選んだ女性三人には思い入れが深い。そもそも秘密時空保安局員全体で事務方は除いて第一線で働いている女性の比率は二割程度。その中のさらに一割程度はいわゆる"草"という任務に当たっていて移動させられない。残るわずかな中から今回の任務に適した人財となると急激に人数が少なくなる。五人を選べとの命令されたとき、最初に迷ったのは男女比で4:1にするか3:2にするかどうしようかカルボナーラを食べながら冴えない頭をフル回転させて人選をしたが、カルボナーラの語源とも言われるカルボナリというイタリアの秘密結社のことを急に思い出してその象徴である三色旗に敬意を表して?2:3の比率に落ち着いた。こじつけみたいな話しだが今回の対象となる人物には華麗なる三色の華が必要となるという読みからだ。特に一人は"草"としてその人物周辺に潜入して長い時間をかけて信頼を得て、常に至近距離居る重要人物になっていく気長な極秘作戦の指令を出さなければ問題解決しない事態を想定して、あえて少ない女性局員の中から三人を選んだ。