第24場 1980年3月31日 アメリカ山岳部時間(MST Mountain Standad Time GMT-7)16時 ロッキー山脈地下基地司令部支所~秘密時空保安局局長室
結局1993年でそれから10日ほど過ごしてから局長に呼び出されたラストデイへ飛んだ。一年くらい放っておいておもむろに行こうかとも思ったが、何もかも先のことは見渡せる立場の人に小手先の変化球は通用しないので気持ちを落ち着かせるため慣れ親しんだ1993年で日本通の事務官に教えを乞うて坐禅を組んでいた。
16時ちょうどに局長室の扉を開けると目の前に鮮やかなブルー一色のイブニングドレスに身を包んだ長身の美女が出迎えてくれた。
「紹介しよう、ジャクリーヌだ。公式の場ではジョン・スコット局長夫人として振舞うが普段はこの秘密時空保安局にはいない。ロッキー山脈地下基地内にもいない人物なので用事があるときは事前に申請しておかないといけない。で、ウォーレン・マクレーン事務官の結婚式はいつあるのかね?」
さっそく局長からの先制攻撃がきた。何もかも知っていてわざとらしく言うところが憎たらしい。
「局長、ご紹介ありがとうございます。ウォーレン・マクレーン事務官の結婚式を公式の場と認定していただきましてご厚情痛み入ります。1993年6月16日、ロッキー山脈地下基地内の教会で結婚式を。続けて二次会をふたりの出会いの場゛中華鍋とロール゛で行います。局長は出席可能ですか?」
「うまい切り返しだな。本来はプライベートな場にジャクリーヌを同席させることはできないが、新局長就任祝いの引き出物ということにしておこう。」
その後はもうひとり局長室の右奥に潜んでいた体格のいいダグラス・ホワイト大佐を紹介され、残っていた事務手続きや細かい説明をいつのまにか現れた影の薄い?頭髪も薄い(失礼!)ロジャー・ウィリアムズ事務局長にしてもらったが完全に頭の思考回路は艶やかなジャクリーヌに奪われて上の空だった。
次の瞬間ふと気が付くと似合わないタキシード姿に変身した自分の姿があった。そして周りには・・・。なんのことはない、ウォーレン・マクレーン事務官の結婚式が゛中華鍋とロール゛でこれから行われるところだった。時刻を例のセイコー製の腕時計で確認すると1980年3月31日18時5分・・・またしても局長にしてやられた。
せっかく1993年で段取りしていたものを・・・まぁ、いいとしよう。仲人はジャクリーヌ偽夫人とやらしてもらえるようだし、すべて手筈が整っているということなので。地下基地内の教会から出張してきてもらった神父さんは1993年代で面識のある神父さんの先代のようで初対面だったが局長の筋書き通りにつつがなく厳かに結婚式と二次会が無事終了した。マスカレードマスクは局長だけがゴールドの派手なものを付けてひとり悦に入っていた。