第25場 1980年4月8日 アメリカ山岳部時間(MST Mountain Standad Time GMT-7)9時 ロッキー山脈地下基地司令部支所~秘密時空保安局局長室

 

あれからロジャー・ウィリアムズ事務長の言葉を信じて1980年の日めくりカレンダーを一枚一枚めくってややこしい機械の操作に慣れるため一日中秘密時空保安局局員ひとりひとりの動向を探っていた。ただ、あくまでも2015年で本格的に執務したいため具体的な指示はひとつも出していない。秘書のメアリー・ステュアートはまだいろいろな会合等の予定が入っていないため手持ち無沙汰のようで時折コーヒーはいかがですかとなどと御用聞きにやってくる。年齢は36歳、華やかさを持ちつつ落ち着いた理性溢れる知的美人だ。年齢は直接聞いたわけではない。局長だけが閲覧できるファイルに秘密時空保安局局員全員と事務長以下事務職員全員と副局長、秘書の略歴が載っている。ただ、偽夫人のジャクリーヌの記述は無かった。その点をロジャー・ウィリアムズ事務長に尋ねるとジャクリーヌだけではなく、前局長の偽夫人のカイトリオーナについても正式な所属先、階級、本名、年齢等すべてが不明で唯一把握しているのは連絡先で会議等に同席を願う場合はその都度あらかじめ時間に余裕をもって詳細な内容を伝達してOKをもらっているというのだ。そしてその連絡先だが事務長だけが知っていて他の職員には絶対教えられない、もちろん局長のわたしでも駄目だという。どこかの省庁の事務官が窓口となっているらしいが、ジャクリーヌがその省庁所属だは限らない。ここまでシークレットにしているのだから二重、三重の煙幕を張ってその連絡先の省庁とはかけ離れた先が本籍地なのだろう。ますます興味が湧いて調べたくなったが、その点は事務長にガツンと釘を刺された。ある意味、わたしの目付役として偽夫人として振舞うわけでわたしが変に道を外した行動を取るとどういう結果になるかわからない、下手に身辺を嗅ぎ回ると意外なところから発覚するように仕組まれているから何もしないことか一番。公式の場、晩餐会やダンスパーティーなどで何も考えずに楽しんだほうが無難とやさしく諭してくれた。まぁ、美貌の女豹とデートを何回も楽しめるのだからありがたくその恩恵に預かろう。事務長がジャクリーヌの連絡先をわたしに教えたら更迭されるのだろうか、それとも不慮の死を遂げるのか? わたしとて大きく職務から逸脱した行為をすれば同様なのだろう。もっとも身寄りはないし、元々の死霊に戻るだけのことだから逆に言えば立場を利用して思い切ったことはできる。秘密時空保安局局長としての短い春をどう過ごすのか、どういう運命なのか? 立場上自分の未来の姿も見れるはずだが知ってしまっていいのたろうか、その結果??に満足せず とき をいじって納得いくまでリスタートして私利を優先させたらさすがに首かな、斬首級の見せしめ・・・日本の古い時代の刑罰で磔の上獄門というのがあるそうだがそれとも毒ガス、銃殺なんでもござれ。いろいろな時空を行ったり来たりして一日が72時間ぐらいの感覚でここ何十年も過ごしてきた。もう潮時なのかもしれない。