第28場 2015年1月2日 アメリカ山岳部時間(MST Mountain Standad Time GMT-7)9時 ロッキー山脈地下基地司令部支所~秘密時空保安局局長室

 

昨日は早く全体像を把握したい一心で五人の定時報告の抜粋をとにかく猛スピードで読み飛ばして夕方を迎えた。夕食はこの年代でも例の"中華鍋とロール"で食べることにしたが店の内装が大幅に変わっていて落ち着かない。当然店員さんなども知らない人ばかりでまるで別な店のように感じたが味はきっちり受け継がれていた。


それよりも我が愛する配下の五人の1980年4月10日から2014年12月31日までの地道な仕事ぶりは飛ばし読みであっても涙を流すのをこらえるのが精一杯で本当によくやってくれていると心の中で感謝の意を表した。わたしははっきり言うとずる賢い人間だ。いや、一箇所間違いがある。わたしははっきり言うとずる賢い生霊だ。こう表現するのがいろいろな意味で正しい。1980年代で執務しないで2015年代で執務することに決めた最大の理由は短期決着にある。配下の五人を様々な年代でアーノルド・ロッドマン氏の近くに派遣し、世の中に自然と溶け込ませて時間を経過させる。わたしは一気に2015年代に飛んできて地道な努力の結晶の上前をはねる悪徳なギャングの親分みたいなものだ。五人には悪いと思っているが今回はわたしの思うとおりにさせてほしい。局長の任期が短いのでなり振りは構っていられない。次回というものがあるかどうかわからないが許してほしい。ありがとう、みんな。ありがとう、すばらしき仲間たちよ。

 

今日は同じ五人の定時報告の抜粋を少しスピードを落として重要なボインとに付箋を貼りながら丁寧に読んだ。重要度の低いものはチラ見しただけでスルーしたのでなんとか夕方までには作業を終えることができた。それにしても五人共それぞれの歩みはそのまま小説にしてもいいくらいネタの宝庫で、この役職を離れ地下基地から地上に生還して隠遁生活を送るようになったら脚色して飯の種にでもしようか。昔取った杵柄、雑誌のライターか何かならこれまでの経験話だけでやっていけそうな気がする。

 

それにしても真剣に文字を追っているととにかく疲れる。夕食の後は快適な寝室で何も考えずに寝ることにしよう。寝ていてても頭の内部が勝手に動き出すとどうしようもない。夢霊としていろいろな時代に飛んでいってしまう。過去であれば思い出、経験したものが湧き出てくるのだろうが、未来と思われるものが朝起きて残像として覚えているといつだかよくわからないがそのタイムゾーンに来たらそういう行動を取らなければいけないのか?などという変なプレッシャーに押しつぶされそうになってしまう。本来は気弱な性格なのだ。ただ、孤児院時代に身につけた生きる術としての強く振舞うことがあたりまえとなって今まで見栄を張ってきたが、ひとりだけの夜の寝室では無防備な弱虫に舞い戻って・・・ジェーンとしてのわたしがいるのだ。

 

未来は怖い。怖すぎて職務上見れる未来をあまり覗きたくない。前局長のティモシー・カーマイケル氏の忠告゛未来を見過ぎないこと゛は経験上からの真剣なものだったということは身に染みてわかった。まだ、1980年代を含めてもまだごく短い局長生活で職務上必要に迫られて見た未来の情報を分析して現在の2015年で上手に活かすことの難しさ、この秘密時空保安局局長の職責の重さ、充分にわかっているがわたしはひとつの大きな決断をして2015年代に飛んできた。

 

わたしが何をして結果そうなったのか、もしくは何をどういうような指示を出して結果そうなったのか、事故分析・・・いやいや自己文責(それも違う)、自己分析をしてみると怖すぎて我を失った。