第31場 1980年5月1日 アメリカ東部時間(EST Eastern Standad Time GMT-5)23時35分 ワシントンDC ザ ヘイ アダムス
結局生きた屍と化しているアホ主賓はホワイトハウスに程近いホテルの一室に運び込まれていた。お恥ずかしい限りだが、身分不相応、能力不足、器量不足でもなんでもいい、否定的な言葉をすべて羅列して批判すればいい。どんな内容のものでも甘んじて受けるしかない。このまま寝かしてほしい。
傍らには心配顔のウォーレン・マクレーン事務官がいるのはわかっている。ジャクリーヌは別な部屋かそれとも別なホテルかそれとももう既に帰って行ったのか、聞く気持ちにもなれないが、一番迷惑をかけたのだから素直に謝りたいというのが本音だ。
「局長、お疲れのところもうお休みになりたいのはわかりますが、ひとり面会を申し出ている方がおられますのでよろしければ今ここに案内したいのですが、よろしいでしょうか?」
「ご覧の通り、とても疲れている。まともな状況ではないので会うも何も選択枝は残っていない。悪いけれどもこのまま寝かしてほしい。」
「わかっています、局長。面会を申し出ている人物も同じ舞踏会に出席されていたのでその辺の事情はよくわかっています。わかっているから・・・すみません、涙ぐんでしまって・・・。ご自身の体験上わかっているから・・・。」
「悪いけれども入らせてもらうよ。」
「ティモシー・カーマイケル中将、すみません。涙など見せてはいけない立場なのに。」
「ウォーレン・マクレーン事務官? ウォーレン・マクレーン事務長? あっ、若いからウォーレン・マクレーン事務官か、失礼。わたしの気持ちを代弁してくれてありがとう。わたしも最初のお務めのときは地獄だったよ。」
ここまでの会話はうっすら聞こえていて前局長がわざわざここに来てくれたのはわかっても頭の勝手タイムマシンは既に別な時空へ移動するスイッチを押していたためどうすることもできなかった。