今日を生きている私にとって肌感覚で実感できる歴史は、第二次世界大戦(WW2)の終戦の頃です。大半はTVの影響ですが、祖父母・両親から得た情報もあります。どんなにたくさん戦国時代のドラマを見て城巡りをしても、手の届く歴史という意味での実感の度合いはWW2とは異なります。そして、生涯学習概論や図書・図書館史といった科目において、今日的な図書館の実現はわずか70年程度の昔であると知ると、図書館もまた目の前にある歴史だと判ります。

 

【ポイント】

◆明治以来、欧米の図書館事情は日本に伝えられ、一般市民が無料で利用できる図書館の必要性は一部の知識人の間で主張されてきた。しかし、広く制度として導入されたのはWW2後、GHQの指導の下であった。図書館は民主主義を根付かせるための装置として日本の社会教育行政の中に組み込まれた。

◆『中小都市における公共図書館の運営』(略称:中小レポート)は日本の公共図書館の在り方を方向付けた。

◆経済発展に伴い公共図書館の設置が進み、社会情勢の変化に合わせて図書館の役割や扱われる資料(情報資源)も変化し続けている。

 

 最寄りの小規模な図書館は、いまだ「図書館=本」のイメージです。名称も「図書」館です。図書以外ではせいぜいCD・DVDが限界です。しかし、現在の図書館が目指しているのは「情報センター」で、扱う資料の形態は多種多様です。それらはまとめて「情報資源」と呼びます。多種多様な情報資源を分類し並べて利用しやすくするための行為が「組織化」です。

 科目・テキストによっては「知識情報資源」が使われ、用語統一がなされていないことにモヤりますが、大体次のような感じです。図書館はあらゆる情報を対象にでき、何らかのルールで選択する必要があるということです。

 

 2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以降、YouTubeでニュースを見ています。日本にいる私は海外メディアのニュース、ドキュメンタリー、キエフ の24時間ライブカメラなど、情報の質はともあれ多様な情報に触れることができます。しかし、見えないところで既にWW3が始まっているという人もいます。閾値を超えて急に目の前に現れる前に小さな変化を見落とさず、必要以上に楽観的にも悲観的にもならないように、小市民なりに心掛けたいと思います。

 自由な図書館が100年続く社会でありますように。ウクライナ・ロシアの人たちがこれ以上傷付け合いませんように。1日でも早く日常と安眠を取り戻せますように。