司書コースの各科目には課題図書や指定図書がありますが、住んでいる自治体の図書館には保有がなく、私は指定の半分も読めていません。所蔵していても、発行から20年も経つと中央図書館の閉架庫に入れられていて、予約・取寄せをしました。以前は予約・取寄せサービスの利用に罪悪感があったのですが、今はめちゃくちゃ利用しています。

 

 司書コースの科目の中には図書館を実際に訪問して観察し、図書館サービスに関して「自分の考えを述べなさい」という課題・設問が出されます。自分の観察だけでは客観性が乏しくなる(&ネタ不足になる)ため、国内外の図書館の状況をテーマにした本を読みました。その中で一番最近読んだものが次です。

 

◆青弓社(2021年) ISBN:978-4-7872-0077-8

 

 本書は、編著者と図書館に関わる人たちとの対話形式で書かれています。

 司書コースのテキストには他の社会教育施設との協力の必要性が書かれていますが、紙幅の関係もあってか具体例は乏しいため、本書のようなもので情報を補足しました。本書の「学校図書館の課題」の章には、具体的な課題内容や公共図書館との間の連携の方法などについて記載されています。

 学校長が図書館を好きだったり、住民にとって図書館が大切であることを理解している行政リーダーは大切だと思います。無料が原則の公共図書館をコストとしてしか考えていないリーダーの下で、図書館サービスを発展させることには限界があると容易に想像できます。一方、せっかく良いリーダーが来ても「どのように戦略的に有機的に機能させるか」を現場の人が日常的に考えていないと、施策の迅速な実現は難しいでしょう。本書はそうした現場の成功例や課題にも言及しています。

 他にも、本書から「図書館研究会」という活動があることを知りましたし、図書館に本棚を納めている企業の代表取締役も登場します。

 今日昨日、図書館の勉強を始めた者がレポートに自分の考えをまとめるというのも簡単なことではありません。図書館サービスに関し、多方向から切り口を提供してくれている本書をレポート作成に使えれば良かったなあと思いました。