この記事は2023年9月6日に登った「幌尻岳」の登山レポートです。^^
 
北海道中央南部、南北およそ150kmにおよぶ長大な山脈「日高山脈」!
 
稜線に険しいナイフリッジを連ね…
 
人を寄せ付けない急峻な地形ゆえに、今も手付かずの自然が残る北海道の中でも秘境中の秘境!
 
 
その最高峰が今回のターゲット「幌尻岳」!
標高は2052.4mで、山名はアイヌ語の「Poro(大きい)sir(山)」が由来。
 
古くからカムイ(神)として祀られた北の大地の秘峰!
日本百名山の中でも最難関クラスの登山ルートで、ついつい登り損ねて99座目になってしまったけど…(笑)
 
周囲のどこまでも緑の山が広がる景色は素晴らしく、
 
山域には天上の楽園として知られる「七ツ沼カール」をはじめ、
 
氷河によって削られてできた、複数の圏谷(カール)を持ち、
 
優美で巨大な山体には王者の風格が漂っていた~(;'∀')
左の「戸蔦別岳(とったべつだけ)」と、右の「幌尻岳」の並びも迫力満点!!
 
今回はその北海道を代表する秘境の名峰へ、長く険しい道のりで知られる「チロロ林道コース」で挑んだ。
序盤は何度も渡渉を繰り返す「沢登り」から始まり、滑りやすい激坂を乗り越えて眺望抜群の稜線へ…
 
ヌカビラ岳から「北戸蔦別岳」、
 
「戸蔦別岳」と経由して、
山群のボスへと挑む道のりは、往復のコースタイム18時間オーバー!
 
自分の中でも「挑戦」的な位置付けの山行は、絶景あふれる素晴らしさと、体力勝負の凄まじさを併せ持つ道のりだった~
 
コースはこんな感じ!
Start & Goal:チロロ川二岐沢第二ゲート ①:二ノ沢出合 ②:トッタの泉 ③:ヌカビラ岳 ④:北戸蔦別岳 ⑤:戸蔦別岳 ⑥:肩 ⑦:幌尻岳
 
総距離:24.5km 標準コースタイム:18時間20分
累積標高差:2449m
コース定数:66
 
この山行の様子をYouTubeにアップしてます!
この山行のYAMAPの記録はこちら↓
 
実家への帰省を兼ねた2023年9月の北海道旅行!
天気予報とも相談した結果、「幌尻岳」登山は四日目に行うことを決定。
 
出発は前日の夜で、地元美瑛町からレンタカーを走らせて、「日高町」にある道の駅で仮眠をとってから、まだ暗い夜中に登山口へと向かった。

今回の登山口への行き方をネットで検索すると、「つり掘イザワ」を目指すとの記事を発見!
「これがそのイザワか~」と眺めながら、真っ暗で心細い道を車で進む。
 
すると車の前方に動く黒い塊が…
 
あ、ヒグマだ!!Σ(゚Д゚)
 
そう思い、ダッシュボードの上に置いてあったGoProで撮影を試みたけど、黒いヒグマは夜の闇に紛れて全く姿が見えないという残念な結果…
 
せっかくのヒグマ撮影チャンスを逃して、ちょっと悔しい思いだったけど、とりあえず遭遇したのが車の運転中で良かったのは確かですな~^^;
 
グーグル先生に「チロロ林道入口」と入力すると、教えてくれるゲートがこちら。
夏山登山シーズンは解放されているって話で、この日も開いてました。
更に奥へと車を走らせて、間違っていないか不安になるダートの林道を20~30分進んだ先が今回の登山口!
入林BOXの中にある名簿に名前を記載して、登山の準備を開始!
 
時刻は夜中の3時過ぎで、駐車スペースには車が数台。
チロロ林道コースは長丁場なので、山中一泊のテント泊で挑む人も多いが、自分は日帰りなので真っ暗な中を出発する事になった。
 
登山口のトイレは使用禁止…(;'∀')
道の駅で済ませておいてよかった~
 
さっきヒグマを目撃したばかり、山の中で遭遇する可能性に備えて…
熊撃退スプレーは、いつでも使えるよう腰のあたりに装着してみた。
 
準備しているうちに車が1台来て、中から3人ほど登山者が出てきたけど、山の中で会う事はなかった。
途中で帰ったのかな??^^;
 
さあ!ゲートを通過して出発だ~!('◇')ゞ
 
真っ暗な中、熊鈴の音だけでは心細いので、「おはよーございまーす!」とか「人が歩いてますよー」とか、山の中に向かって挨拶をしながら歩く。
クマも人には会いたくないと思うので、存在を知らせてあげる事が大事です~
 
少し荒れ気味の林道を黙々と歩く。
ヘッドライトの明かりでも迷う心配はない。
 
今日は難路を乗り越えていくので、
藪っぽい所を通過しても大丈夫なように、朝からゲイターを装着!
 
北電の取水設備的な場所を通過すると、本格的な山道の始まり。
道端に草も生えているので、真っ暗な中歩くのは少々不安です~
 
それでも踏み跡は問題なく辿れるけど、突如その先が川へとぶつかり困惑…(゜゜;)
 
「まさか渡るのか?」とドボンを覚悟したけど、右側を見ると…
険しい岩の上にピンクテープを発見!
横にはロープも張られているので、ルートはこっちで間違いないだろう。^^;
 
川沿いの滑りそうな悪路を、補助として張られたロープ頼りに通過して先へと進む。
 
川沿いをどんどん登るルート、
所々で道が途切れ、沢を右へ左へと渡渉を繰り返す。
 
注意深く辺りを見回すと、ピンクテープや渡渉できそうな場所があり、水にドボンしなくても上流へ向かう事ができる絶妙なルート取り!
でも、大雨などで増水した時は、厳しい戦いになるんだろうな~^^;
 
チロロ林道コースは普通の登山靴で問題なく進めるけど、多くの登山者が登る「額平(ぬかびら)川コース」は、序盤に膝丈を越える渡渉を10数回繰り返すというルート。
沢靴など、水の中を歩ける装備が必須で、加えてコースタイム的にルート上にある「幌尻山荘」への宿泊も避けられない。宿の予約がなかなか取れない事も、「幌尻岳」登頂の難易度を上げている…(^_^;)
徐々に標高が上がってきた~
 
黙々と沢沿いを登る時間が続き、
 
前方に大き目の滝が見えたら沢登りタイムも終わり!
 
右手を見ると、崖を登るような感じでつけられた登山道。
ここから先の急坂エリアは、岩も濡れていると滑るし、土もどろどろスリッピーなので、手強い時間帯が続く。
 
エネルギーをきちんと補給しながら先へ進みます~
 
荒れ気味で険しい悪路だけど、迷うような心配はないのが幸い。
 
木々の奥に見える景色も更に広がってきた~
 
貴重な水場の「トッタの泉」に到着!
こんこんと水が湧いていて、一応そのまま飲めるって話だけど、北海道の山の中で生水飲んで、本当に大丈夫なのかは道産子の自分的にちょっとだけ心配。^^;
 
トッタの泉を通過後も、まだまだ急坂ゾーンは続く。
 
キノコがたくさん!秋ですな~^^
 
徐々に木々が低くなり、長く続いた我慢の時間のご褒美タイムが始まる!
 
途中から見上げていた岩稜帯がすぐそこに迫る!
急に道も岩々してきて、クライミング的な雰囲気を楽しみながら登った。
ハシゴは2か所だったかな~
 
森林限界を突破し、眺望抜群のハイマツ帯へ突入!
 
連なる緑の山並みの奥にも、気になる山が!
左が「夕張岳」で、右は「芦別岳」みたい!「夕張山地」に属し、どちらも日本二百名山に数えられる名山!
 
ついに山群のボス「幌尻岳」が登場!!(;'∀')
美しいカールを持ち、威風堂々とした姿は貫禄たっぷり!
 
ハイマツの中を突破する細い道を通過して、最初の峰「ヌカビラ岳」へ~
 
足元には「ゴゼンタチバナ」の真っ赤な実も鮮やか!
 
標高1807.8m「ヌカビラ岳」には三角点があり!
 
ここから見る「戸蔦別(とったべつ)岳」を従えた「幌尻岳」の景色も素晴らしい!
 
北海道南部に連なる広大な「日高山脈」を、存分に楽しみながら歩く絶景コース!
 
長い道のりなので、テントを担いで一泊で挑む人多い。
こちらのテントの持ち主さんには山頂近くでお会いできました!^^
 
オヤマリンドウのムラサキも良いね!^^
 
チングルマの綿毛も絵になる~(*'▽')
 
次の峰「北戸蔦別(きたとったべつ)岳」は、ヌカビラ岳から見えるピークの更に奥にあるので、思ったより遠く感じた。
 
北戸蔦別カールの美しい曲線も良いね!^^
 
日高の自然を満喫しながらどんどん進む!
 
標高1912m「北戸蔦別岳」に到着!('◇')ゞ
 
北へと連なる稜線の先には、標高1916m「ピパイロ岳」!
 
その北西には標高1879.7m「チロロ岳」!
 
日高山脈主脈の稜線の先にも、見栄えのする山が沢山見えた~(*'▽')
奥の三山は左から「十勝幌尻岳」「札内岳」「エサオマントッタベツ岳」。
 
そして、これから向かう「戸蔦別岳」の奥に控える、ボス「幌尻岳」!
 
戸蔦別岳へと向かう道も、よく見るとめっちゃ険しい…^^;
 
意を決して出発!
左側に広がる壮大なカールは「戸蔦別カール」なり!この景色も素晴らしいね!^^
 
険しい稜線だというのに、ヒグマの落とし物が複数個所にあった…
 
景色は素晴らしいけど、高度感たっぷりの難所が続く。
 
幌尻岳の「北カール」が気になってしょうがない!
 
この分岐から「幌尻山荘」へと下る事もできるみたい!
 
自分はその先に控える「戸蔦別岳」へと進んでいくのであった~
 
振り返る景色も雄大で素晴らしい!
 
「ホシガラス」登場!(*'▽')
警戒心が薄いのか、全然逃げる気配は無く、撮影させてくれました~!
 
急坂を登り切って、標高1959m「戸蔦別岳」に登頂!
 
目前に迫った「幌尻岳」が、とにかくデカくて迫力満点!
 
鋭いナイフリッジの東側に見えるカールが「七ツ沼カール」!
天上の楽園と称される事もある、日高山脈有数の絶景ビバークポイント!
ただし、この付近はヒグマの目撃情報も多いので、要注意ポイントでもある…^^;
 
戸蔦別岳の北側の風景も良いね!
 
歩いてきた「北戸蔦別岳」から、「ピパイロ岳」へとつながる稜線も美しい!
 
この付近に来ると「日高山脈主脈」の山々も、今までより更によく見えてテンションが上がる。
 
さあ!鋭い稜線を歩いて、ボスへと挑もう!!
 
「七ツ沼カール」は本当に美しい景色!!
各地の山を巡っている最中も、多くの人に「チロロ林道コース」を熱く勧められた。
その理由がよくわかる、素晴らしい景色を存分に楽しみながら進む…
 
幌尻岳へと登る激坂に、少々気圧される。生で見ると本当にデカい山なのだ~(゜゜;)
 
疲れたら背後の絶景を見ながら休憩…
 
一歩一歩着実に標高を上げていった。
 
激坂ゾーンを無事に乗り越えて、幌尻岳の「肩」的な場所に到着!
 
目指す先に秀麗なピーク!(*'▽')
あと、もう一息って所だろう!!
 
左手には「東カール」と、その奥には日高山脈の主脈…
 
振り返る景色も最高!!
 
しかし、「肩」付近から見えたシュッとしたピークは、山頂ではなく…(*_*;
登ってみたら、まだ先に道が続いていて心が折れそうになるアトラクション…(笑)
 
登山開始から7時間15分ほどで、ついに日本百名山99座目「幌尻岳」に登頂!(*´▽`)ノ
 
山の南には「幌尻湖」があり、その奥にはどっしりした「イドンナップ岳」!
 
山頂北側に広がる「北カール」の曲線も芸術的!
 
急峻な山々があちこちに連なり、幾重にも折り重なって生まれた景色は独特…
日本アルプスとも、大雪山とも違う、日高山脈の山並み。ホント訪れて良かったと思う、美しい景色だった~
 
絶景の中でエネルギー補給。
次第に雲が優勢になってきたけど、山頂に到着するまで天候がもってくれたことに感謝!
 
山頂からの景色を存分に楽しんで、名残惜しいけど下山を開始!
帰りの道のりもコースタイムは約8時間半。まだまだ長い道のりなので、油断している場合ではないのだ。。
 
再び七ツ沼カールの絶景を楽しみながら戻る~
 
「コケモモ」の実が美味しそう!(*´▽`*)
食べずに我慢しました~(笑)
 
凄い山だったな~
 
登り返す「戸蔦別岳」までの道のりも険しい。。
 
さすがにバテてきたので、エネルギー補給。
登山開始から8時間半以上が過ぎていた、予想はしていたけど過酷な道のりだ~
 
北戸蔦別岳へと戻る道のりでは、ハイマツに行く手を阻まれてストレスまみれ…
ただでさえ疲れてキツいのに、斜面の下へと生えるハイマツに逆行する登りは修行!
 
悪態をつきながら歩いていたら、本気の通り雨まで降る始末…
急に降り出したので、雨具を装着するまでにずぶ濡れになり、「日高山脈は一筋縄ではいかない」という当初の自分の考えは間違っていなかったと痛感した。。
( ;∀;)
 
幸い強い雨も10分程度で止み、ずぶ濡れの服を自らの体温で乾かす感覚で、どんどん下山していく。
登山開始序盤、真っ暗でめっちゃ怖かった川沿いの道を、下山時に改めて撮影。
ヘッドライトで歩くのは、なかなか危険な要注意個所ですな~
 
北電の取水施設付近にある、キャンプ場的な場所も、明るいと全然雰囲気が違う。
 
川の奥に水門的なものが見える。
 
長い道のりを歩き切って、17時前には無事に駐車場へと戻る事が出来た。
ここで自分、入山時に日付を間違って記入した事に気が付いた。^^;
訂正しておきました~
 
帰り道は「占冠村」にある「森の四季」さんにより、温泉と食事で一日の疲れを癒した。
 
過酷な山行のあとのから揚げ定食は、めっちゃ美味しく感じましたとさ~(*´▽`*)
 
日本百名山もついに99座登頂!
残すは、登頂ルートの登山道が現在立入禁止になっている「草津白根山」のみ…
 
色々悩んだけど、「登頂できない」というだけで訪れないのは自分のポリシーに反すると思い…^^;
現状でも楽しめるスポットを調べて、10月上旬に訪れてみる事にした。
 
(^_^;)