この記事は2023年6月20日に登った「光岳」の登山レポートです!^^
 
南アルプスの主脈の南端にそびえる標高2591.5mの「光岳(てかりだけ)」!
 
日本の2500m峰の中で最南端に位置し、どこからアクセスしても遠いこの山は、日本百名山の中でも屈指の秘境の山。
 
深い谷から始まる登頂への道のりは楽ではないが、
 
美しい南アルプスの樹林帯を黙々と登り、
 
木々の合間から見える百名山「聖岳」にもテンションが上がり!
 
標高2354m「易老岳(いろうだけ)」から始まる「南アルプス主稜線」の景色はまさに天上の世界…
 
 
高山植物の花も咲き乱れ、
 
 
楽園のような景色の中を進み無事に登頂!
 
山頂から先へと少し下った所にある絶景スポット「光石」も大迫力!
 
この巨大な石灰岩の岩峰が、遠州側から遠望した時に、夕陽に照らされ白く光る事が「てかり」という山名の由来らしい!
 
2021年の山旅の際には訪れるのを諦め、その後何度か挑戦を試みるも色々あって断念を繰り返し…
台風2号の爪痕が残る中、
 
登山口「芝沢ゲート」まではアクセスできそうなので挑戦してみたロングルートの日帰りピストン。
 
日本百名山95座目の登頂、めっちゃハードルは高かったけど、乗り越える価値のある素晴らしい山行となりました!( ̄▽ ̄)
 
コースはこんな感じ!
Start & Goal:芝沢ゲート ①:易老渡 ②:面平 ③:三角点のピーク ④:易老岳 ⑤:三吉平 ⑥:光岳小屋 ⑦:光岳頂上 ⑧:光石
 
総距離:27.8km 標準コースタイム:16時間
累積標高差:2898m コース定数:67
 
この山行の様子をYouTubeにアップしました!( ̄▽ ̄)
それでは出来事の詳細を時系列で!(*‘∀‘)
 
前日の夜にレンタカーを手配して都内を出発!

翌朝の出発へ向けて夜中に高速道路を爆走する山行は今年2回目。
 
今回の出発地点は飯田市にある「芝沢ゲート」。通常時でも都内から5時間以上かかり、南アルプスを北からぐるっと迂回して裏側から山へとどんどん入る道のりは、アクセスの時点で結構大変。
途中で仮眠を取りながらすすみ、高速道路を降りる辺りまでは順調だったけど、現地には6月の台風2号の爪痕があちこちに残っていて、何度もグーグルナビに反映されていない迂回路が登場…
さらに思った以上にガソリンの減りが早く、夜中に給油できる場所もなさそうな山奥で、土地勘のない自分にとって試練の時間が続き、登山開始前に心が折れそうになった。(笑)
車の前に飛び出そうとする鹿、あなた死にますよ!!Σ(゚Д゚)
 
なんとか「芝沢ゲート」に到着したのは朝の3時半過ぎ。
予定ではもう少し早く到着して、仮眠してから出発するつもりだったけど、そんな余裕もなく車の中で朝ごはんを食べて出発準備…
 
辺りは真っ暗で、他には車は1台もなし…
登山した翌日に、「芝沢ゲートから易老渡方面へは徒歩も通行禁止」という記事をネットで発見…
そりゃ~人がいないのも当然だけど、この時点の自分はそんなことを知る由もない。(*_*;
ゲート付近には仮設トイレもあった。
 
まだ暗い中、ヘッドライトの明かりを頼りに出発!('◇')ゞ
ここまで来る道中や、登山口付近の雰囲気から正直不安だらけだったけど、行ける所まで行ってみよう。
 
少し進むと林道が完全に崩落している個所に出た…(゜゜;)
100m程度にわたって、あるはずの林道が姿を消し、電柱や電線ごと沢の方へと崩れ落ちていた…
 
なんとか沢の方へと降りる事が出来たので、その個所を沢から迂回して、先の林道へとよじ登って通過。
「徒歩も通行禁止」の記事を読んだ後に冷静に考えると、かなり危険な個所だったので、本来はここで引き返すべきだったかもしれない…^^;
 
はじめて訪れた土地で、一応先へ進む事ができる状況…
そこまで深く考えずに自分はどんどん歩いたけど、その後も林道に土砂が堆積している個所を何度も通過。
危険なのは確かだと思うので、今はこの登山口から登らない方が良いと思います~(;´Д`)
 
急峻な沢沿いに続く林道。
通常時はゲートから5.5km先まで、緊急車両などが入れる道らしい。
自転車などを持参して、この部分をショートカットして登山開始する人も多いみたいだけど、今その作戦は確実に無理です。
 
水の流れを飛び石で渡渉。
 
出発からたび重なる困難を乗り越えて、標高880mに到着!('◇')ゞ
ここから橋を渡って、本格的に山へと入っていきます!
 
苔むす緑の美しい森!
この日は他に人に会いそうな気がしなかったので、念のため「熊鈴」を鳴らしながら山に入った。
 
序盤はめっちゃ急な斜面に、九十九折(つづらおり)につけられた道を登り標高を上げる。
斜面をトラバースする部分は、所々崩れそうな心細さに加え、上から土砂が落ちてきそうな箇所もあり。
速やかに通過を意識してどんどん登る。
 
やがて尾根に登ると、ジグザグの急坂地獄!
南アルプスの主稜線「易老岳」までは、ひたすら樹林帯の急坂を登るストイックタイム!
美しい南アルプスの森に癒されながら、慌てず着実に進むのだ~
 
時々現れる数字の書かれた看板、
「易老岳」を「30」とした、現在地のおおよその目安です~
 
朝もやの中を登って標高1480m「面平」で一息ついた。
 
まだまだ続く長い道のりに備えて補給を忘れずに~^^
巨大な木々が立ち並び、急坂が一旦落ち着くなだらかな「面平」は一休みするのにちょうど良いスポット。
 
そんな休憩ポイントが時々現れる「易老岳」までの急坂エリア。
 
標高が上がると森は美しさを増し、次第に空も青空へと変化していった…
 
日差しが差し込むと、樹林帯の緑も鮮やかさを増し、気分も大きく変化!( ̄▽ ̄)
 
足元には花も咲く登山道!めっちゃ気持ち良いじゃないか~
こちらは「ゴゼンタチバナ」!
 
梅雨時期という事もあり、山の中にはきのこの姿もちらほら!^^
 
そして標高2200mを過ぎた辺りから、周囲の景色も変化!
木々の合間から日本百名山「聖岳(ひじりだけ)」が登場!(*‘∀‘)
その迫力ある堂々とした姿、テンションが一気に上がる~
(※この時点では「聖岳」という確証はなく感動ww)
 
「イワカガミ」の群落も可憐で美しい!
 
三角点のある標高2254.1mの地点を通過!
 
急に険しい岩場が現れる。
易老岳までの登りで、ここはちょっとした危険個所なので注意した方が良いかもです。
 
「聖岳」の右側に、日本二百名山「上河内岳」も姿を現す!
7月後半にそっち側を北へ向けて一気に縦走する計画を立てているので、今から楽しみでしょうがない!
 
延々と続く急坂ゾーンもついに終わりが近づき…
 
無事に標高2354m「易老岳」に到着して、南アルプスの主稜線へと足を踏み入れた!
眺望のほとんどない狭い山頂スペースだけど、ここから「光岳」へむけた道のりに備えて、少しだけ休憩してエネルギー補給。
 
せっかく登ったけど一旦大きく下る。
 
しかしその森がとても美しくて、アップダウンの大きい行程でも気分は上々!
 
隊長!前方に大きな山が見えてきました~!(*´▽`)ノ
 
楽園のような景色の奥に見える、目的地「光岳」周辺の景色に更にテンションが上がる!
 
とにかく緑と青空が美しい南アルプスの主稜線…
 

 

 

「天上の楽園」という言葉がぴったりの登山ルート!

ここまでの道のりはけっして楽ではないけど、一度訪れる価値のある絶景の秘境!
 
時々現れるチェックポイントを通過しながら、「光岳」へ向けて順調に進む。
 
足元に大きな岩がゴロゴロと転がるガレ場の激坂!
「光岳」が本気を出してきたぞ~!( ̄▽ ̄)
 
急坂で一気に標高が上がり、周囲の景色がさらに絶景に変化…
 
そして足元の高山植物もどんどん増えていく~!( *´艸`)
こちらは多分「キバナノコマノツメ」!
 
湿気の多い苔地帯などの樹林帯に咲く、可憐な「バイカオウレン」!
 
こちらは多分「サンリンソウ」!
 
よく見るとその辺の草むらにも、お花が沢山!!
お花に気を取られて大きくタイムロス(笑)
でも、それで良いのです!
簡単に来る事は出来ない秘境、こういう景色はたっぷり楽しまないと損だと思うので~(*´Д`)ノ
 
「静高平」の水場は冷たい水が潤沢に流れていた。
快晴が続くと枯れる事もある水場。
梅雨時期はそんな心配もないと思います~^^
 
水場がある影響なのか、この付近は特に楽園感の強い風景が広がっている…
 
水場から少し登った所に広がる、壮大な原が「センジガ原」。
天上界を感じる風景の奥に、「光岳」登山の重要拠点「光岳小屋」の姿が見えた。
 
「センジガ原」の「イザルヶ岳」分岐を通過。
 
遮るものもなく、360度圧巻の眺望を楽しめる絶景スポット「イザルヶ岳」。
分岐から往復15分の道のりみたいなので、帰りに寄る事にして、まずは光岳方面へと進んだ。
 
光岳山頂のすぐ近くという好立地に建つ「光岳小屋」!

楽園のような景色の中に宿泊できる夢のような山小屋!( *´艸`)

2023年度は素泊まりのみの営業という話だけど、機会があれば宿泊で訪れて、光岳周辺の絶景を存分に楽しんでみたいな~

営業期間外は冬季小屋として、開放されているみたい。なんだか登山者にとても優しいね!^^
 
光岳小屋を通過して再び森へと入り…
なだらかに続く山道を約15分程度進むと山頂!
 
この付近もお花だらけ!( *´艸`)
 
ただの水たまり?池?(゜゜)
 
スタートから約7時間で、無事に「光岳」の山頂に到着した!
標高は2591.5m、標準コースタイムは9時間程度だと思うので、自分の中では満足のタイムだと思ってます~
 
山頂は木が多めでそんなに眺望が良いわけではないけど、ここまでたどり着いた満足感は格別!
山頂から少し歩いた所(徒歩1分程度?)に展望台的な場所があり、そこからの眺めは良い!

日本で一番南にある2500m峰「光岳」!

この山は「ハイマツ」や高山帯植生の南限(ハイマツは世界最南端の自生地)で、ライチョウの生息域の南限など、自然環境的にも興味深い山とされている。

 

…が、そんなうんちくがどうでも良いと思えるくらい、迫力の景色を楽しめるスポットが山頂から奥へ少し下った所にある「光石(てかりいし)」。

巨大な石灰岩の岩峰で、その上からは高度感あふれる絶景を楽しむ事が出来た~(;'∀')

高所恐怖症ではないけど、それでも足がすくむスリリングな眺望…

 

この岩が夕陽に照らされて輝く事が、「てかり岳」と言う名の由来とされている。

絶景を独り占めの贅沢な時間だけど、ちょっと怖くてあまり心は休まりませんでした(笑)
 
光石から山頂まで戻る登り返しは心から「きつい」と思った…
そんな自分を「イワカガミ」の群落が美しい姿で励ましてくれた~(*´Д`)
 
光岳小屋付近から南方面にも登山道があるようで、
そっち方面の様子も少し見てみたけど、解放感ある道が続いていて興味津々!
「光岳」の南側には「南アルプス深南部」と呼ばれる秘境中の秘境の山域が広がっている。
その中の「池口岳」方面から「光岳」へと登る「上級者向け」とされるルートにも興味があり、いつか機会があれば一泊でそっちから登ってみたいと思いながら帰路についた。
 
光岳小屋近くのこのスペースは、テント場的な場所かな?
 
さあ!帰りは「イザルヶ岳」に寄ってみよう!('◇')ゞ
 
フォトジェニックなダケカンバの合間を抜けて緩やかな斜面を進む~
 
残念ながら、絶景スポットイザルヶ岳に到着するタイミングで、周囲はガスガスになりました~^^;
 
すぐ近くにそびえる雄大な「仁田岳(にっただけ)」がかろうじて見えるけど、
その奥に連なるはずの「上河内岳」や「聖岳」は雲の中…
残念だけど、これはまた来なさいって事なのだろうか。^^;
 
イザルヶ岳から下りて、下山を開始すると周囲が再び晴れるという…(*_*;

水場付近で楽園感あふれる映像を撮影して、

青空の広がった周囲の景色を楽しみながら、易老岳へと戻る道のりを満喫した。

 
 
 
こんな素晴らしい景色が広がっているのに、この日遭遇した登山者はたった一人…
 
芝沢ゲートからの道が崩壊していた影響もあるけど、今回の「光岳」へのルートは、さすが秘境の山という静かな山行を楽しめる素晴らしいコースでした!

振り返った山頂方面の景色も神々しい!

「易老岳」へと戻った後は一気に急坂を駆け下り、想定よりもだいぶ早く「易老渡」へと降りた。

 

帰りも林道を歩きながら、沢沿いの迫力ある景色を存分に楽しんだ。

きれいなお花も咲いていた~!^^
 
来た時同様、所々崩れた林道歩きは難儀だったけど、いつかまたこのルートから登ってみたいな~
 
一日過酷な道のりで酷使した足を、冷たい沢の水でクールダウン。
めっちゃ気持ち良かった!^^
 
登りも下りも、林道が崩落した箇所は沢に降りて通過したけど、
通過した後に、崩落地を高巻きして迂回する踏み跡を発見した…
こっちもけして安全ではなさそうな雰囲気。
無理して今ここから登るのは正直お勧めしません、(^_^;)
 
急ぎ足で下山した事もあり明るいうちに山を脱出し、帰り道では「下栗の里」付近の雄大な景色も楽しむ事が出来た!

来た時には真っ暗な中で、ウネウネ続く迂回路をただ走っていた。

こんな絶景の中を走っていたなんて驚きだ~( ̄▽ ̄)

 

帰り道のミッションは、まず残りわずかになったガソリンの補給!

スマホ圏外の芝沢ゲートからしばらく走り、電波の届く場所で近くのガソリンスタンドを検索し、無事に給油が完了してホッと一息…

気持ちにも余裕が出来たので、帰り道は飯田市にある健康増進センター「ほっ湯アップル」に寄ってみた。

 
中には食堂スペースもあったので、チャーシュー麺に冷や奴を付けて食す!
温泉の湯はとろみ強めの無色透明ヌルヌル系、源泉の露天風呂はほんのり硫黄の香りもして、とても良い湯だった!( *´艸`)
 
レンタカーは36時間で手配していたので、東京へ戻る道のりは、適度に仮眠を交えながら無理せずのんびり運転した。
 
色々とハードルの高い山行だったけど、「光岳」の素晴らしさに心から感動!
アクセスから始まる過酷な行程を乗り越える価値のある、魅力あふれる名峰でした~
( ̄▽ ̄)