「とてつもない失敗の世界史」
(トム・フィリップス著 2019)
を読みましたニコニコ




前回の記事に引き続き、
1章の
人類の脳はあんぽんたんにできている
をみていきます。


歴史上、
最も奇妙な五つの集団ヒステリーとして
「止められないダンス」
「井戸に入れられた毒」「赤狩り」
「ペニス泥棒」「伝染する笑いの発作」
を筆者はあげていました。


一つを紹介すると、
「井戸に入れられた毒」
(十四世紀から十七世紀にかけて、
井戸に毒を入れられたというデマに端を
発し、集団パニックが発生することがよ
くあった。
たいていはユダヤ人のせいにされた。
これが大きな暴動に発展することもあり、
ユダヤ人の家々が焼き尽くされた。)


このような集団ヒステリーは
どうして起こったのか?


筆者はヒトが
ホモ・サピエンス(賢い人間)と
名付けられた理由に
「私たちの思考のしかたは、
私たちにしかない特別なものがある。」
ことだと述べます。
人間の脳はとても優れている。
けれど、
極端に変てこで最悪のときに
果てしなくおかしなことをしでかしやす
い」と、ヒトの脳を解説します。


私たちは、ある程度正しい答えを近道で
導き出す思考回路を持っています。
専門用語で「ヒューリスティック」。
以前私が紹介したヤバイ集中力で言えば、
「獣と調教師」の獣の部分です。


この獣が時に失敗を起こします。


私たちの脳はパターンを見いだす能力
があります。
誤判断でパターンを発見する現象を
錯誤相関」とか「クラスター錯覚
とか呼ぶそうです。
(例から言えば、ユダヤ人が井戸に毒を
いれているというパターンがあると
思い込みます。)
それらは主に、
「アンカリング・ヒューリスティック
(最初に示された事柄に大きく印象
づけられてしまう)
利用可能性ヒューリスティック
(取り出しやすい記憶情報を優先的に
頼って判断してしまう)
から発生します。


さらに、
頭にぱっと入ってきたことが
どんなことであっても、
脳はつねに楽で快適な領域である
居心地の良いゾーンに行きたがります。
獣がくつろいでるイメージですしし座コーヒー
なので、
脳は自分が間違っていると気づくことが
心底嫌いです。
「選択支持のバイアス」
(私たちが一連の行為をすると決めたら、
それは正しい選択だったという考えに
しがみつく)や
「集団思考」
も脳が快適な場所に居たい為に出てきます。


また、脳は勘違いをよくします。
能力の低い者は自分の無能さを認識
できず、自分を実際よりも買いかぶる」
という論文さえ出てきます。


さらに脳は
「欲と利己性のせいで、これとは別の
過ちに陥る」とも筆者は述べます。
社会科学で「社会的な罠」とか、
「共有地の悲劇」とか言われる現象が
起こるそうです。
(自分の集団に利益をもたらし
たいために、皆のものを皆で台無しに
してしまうこと)
それが起こらなかったとしても、
「負の外部性」
(双方に利のある取引であっても、
取引にかかわってもいない誰かがどこか
で割りを食う)
といった現象もあると筆者は述べます。


そして、「先入観からくる偏見」
「大衆心理からくる熱狂」をも
脳にあると説明しています。


本には詳しく書かれていませんが、
まだまだあるそうです。
これだけ人間の脳について
説明されると、
人間の脳があんぽんたんで
それゆえに失敗を犯すのだと
納得させられます滝汗



読んでいただいて
ありがとうございましたニコニコ