サイトジャパン2019で気になった新原料・新技術 その2 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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アミノコルベイユオールインワンジェルクリームの関連エントリーは、こちらです

【化粧品犬のオリジナル化粧品】アミノコルベイユオールインワンジェルクリームの告知及び解析のまとめ

 

 

化粧品犬です。

日本最大の化粧品原料の展示会である、サイトジャパンで気になった原料を紹介しています。

 

今回はその2回目です。

 

今年のサイトジャパンは個人的に1つテーマがありまして。

それは、最近国内流通が逼迫している、アミノ酸系界面活性剤(洗浄剤)の代替をチェックしておく、というものです」。

前回のアシルヒドロキシエチル-β-アラニンNaもその流れでしたが、今回も同様です。

 

今回はDSP五協フード&ケミカルさんのブースでの、気になる原料を紹介します。

 

DSP五協フード&ケミカルさんは設立は古く、昔は大日本製薬という名称で知られていた会社です。

その頃の愛称はマルピー(ロゴがPの字だったので)。

2010年に五協産業株式会社と大日本住友製薬株式会社フード&スペシャリティ・プロダクツ部門が統合して今の体制・社名になっています。

主に、化粧品用のサンタンガムや多糖類、増粘剤などを扱っている会社です(他にも多数扱っていますが)。

 

しかし、どうもそれだけではなかったようで。

ヨーロッパの会社からオリーブ油を調達して、国内で販売すると言う業務も、昔から行っていたそうです。

 

でそのヨーロッパの会社がオリーブ油をベースにしたアミノ酸系洗浄剤を作っていたんですね。

しかも、コーセーや理美容メーカーなどに採用されている、アシルグルタミン酸系洗浄剤です。

 

それを輸入して、国内での販売を開始するということを決めたのですね。

サイトジャパンの講演会枠まで取って、会場で発表していたので、結構本気だと思いました。

 

今回、技術資料は講演会場でしか配布していなかったので、なかなかレアかと思います(^_^;)

 

当日頼んでいた商品のサンプルもすでに化粧品犬の所に来ているので、まずは実物を見て貰いましょう。

これです。

 

オリーブ油脂肪酸クルタミン酸Na

うーん、ちょっと色が気になりますね。

しかし臭いは、Na塩のせいか、特にありません。

商品名、表示名称は以下の通りです。表示名称は混合物として表示することになっています。

 

商品名:Olivoil Glutamate

(表示名称:オリーブ油脂肪酸クルタミン酸Na、ココイルクルタミン酸2Na、水)

 

資料に書いてあった概要説明は以下です(一部省略)

 

オリーブオイル、ココナッツオイル(ヤシ油)から得られる脂肪酸と、酸性アミノ酸であるクルタミン酸を結合させる事で得られた、新しい界面活性剤。

オリーブオイルの主成分は一価不飽和脂肪酸であり、特にオレイン酸を豊富に含みます。

オリーブオイルの特性であるエモリエント感と保湿感を与えます。

生分解性が高く、肌にも環境にも優し↓植物由来の界面活性剤です。

 

従来のココイルグルタミン酸は、「ヤシ油脂肪酸とクルタミン酸を結合させている」のに対し、「オリーブ脂肪酸とヤシ油脂肪酸を同時に使って、そこにグルタミン酸を結合させた洗浄剤」と言う事になります。

ちょっと黄色いのは、オリーブ油の主成分である、不飽和脂肪酸のオレイン酸の影響ですね。

 

ヤシ油脂肪酸の炭素鎖長である、C12を中心で構成されたココイルグルタミン酸に対して、C18の不飽和脂肪酸を中心とするオリーブ油脂肪酸クルタミン酸Naが加えられることで、どういう効果があるのかが気になるところです。

 

一般的にはC12より長い鎖長の脂肪酸を加えると、泡立ちは悪くなるけど泡のコクは増す、と言う感じなのですが。

不飽和脂肪酸は、あまり研究例がありません

 

しかし、当日講演会で貰った資料に、これが出ていました。

以下です。

 <Olivoil Glutamateの泡立ち>

 

元の資料には、泡立て後0分、5分、40分と泡の高さを測定していたのですが、トレースするのが面倒なので0分値のみご紹介します。

 

グラフから、Olivoil Glutamateの起泡力は、かなり高いですね。

ラウリル硫酸Naや、クラシエのヒマワリに使われている(塩違いですが)ラウロイルサルコシンNaと同じクラスです。

ここで目立つのは、ココイルグルタミン酸と同等の泡立ちである、ラウロイルグルタミン酸との差です。

ちゃんとpH合わせて実験しているのか?とか気になるところですが、少なくともDSP五協にOliveoil Glutamateを供給しているDCOOP社のデータでは、こうなっているのでしょう。

C12を中心で構成されたココイルグルタミン酸に、C18の不飽和脂肪酸を中心とするオリーブ油脂肪酸クルタミン酸Naを加えた場合は、泡立ちがアップするという事なんでしょうかね。

 

実際にサンプルを貰っておるので、実際に手を洗っていると、、、「ちょっと泡立ちが良くなっているかな?」と言う感じです。

それより普通のココイルグルタミン酸Naに対して、エモリエント感は確実に強くなってる気がします。

これはこれで、ありですね。

 

DSP五協フードさんが導入したDCOOP社の素材は他にもありまして。

このオリーブ油脂肪酸クルタミン酸Naを、洗浄剤で無く、乳化剤として利用した原料もあります。

じつはココイルグルタミン酸は鎖長を伸ばして、ステアリルグルタミン酸とすることで、乳化剤として利用出来るのです。

この原料は実際に売っていますし(但し今現在は供給不安)、実際に化粧品の製品にも使われています。

実は、化粧品犬が作ったアミノコルベイユ ジェルクリームも、この原料を利用しています(^_^;)

 

これを、オリーブ油脂肪酸クルタミン酸Naで代替しようという物です。

まあ普通なら、特に必要は無いものなのですが。

しかし今は、ステアリルグルタミン酸はひどい供給不足なのです、、、ちょっとマイナーではありますが、アミノ酸系乳化剤を使っていた人はみんな困っています(^_^;)

その代替選択肢の1つになる可能性があるのですよ。

なのでこのサンプルも取り寄せてみました。

 

商品名、表示名称は以下の通りです。表示名称は混合物として表示するようにになっています。

 

商品名:Olivoil Glutamate Emulsifer

(表示名称:オリーブ油脂肪酸クルタミン酸Na,セテアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル

 

ただ、このOlivoil Glutamate Emulsiferは、製品サンプルがまだ手元に届いてないんです(^_^;

届いたら、また続きを書くかもしれません(^_^;)

 

 

と言うわけで、オリーブ油脂肪酸クルタミン酸Naの紹介でした。

 

続きます。