クラシエ ラメランス ボディウォッシュ アクアティックホワイトフローラルの解析2 処方解析編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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化粧品犬です。

 

今回はTVでよくCMを見かける、ラメランスの解析の後編です。

前編の概要編はこちら。

クラシエ ラメランス ボディウォッシュ アクアティックホワイトフローラルの解析1 製品概要編

 

このボディソープは、かなりの問題作ですね。

全くさっぱりしない(^_^;)

中身を見ると、まるでヘアシャンプーのような洗浄剤構成で、更にそこに、キュレルのようなセラミド配合を重ねて、保湿効果を高めていいます。

やたらと世界初とうたっているのですが、まあ確かにボディソープでこんな組成は見た事が無いなので、世界初かもしれません。まあ、売れそうもないので、誰もやらなかっただけ・・・かもしれませんが(^_^;)

ただ低刺激な点は本当です。それだけで、結構使ってしまいます。

ぬるぬるでさっぱり感がない所は、以前エントリーを書いたハダカラにも似ているのですが、あれほど人工的なポリマーのぬるぬるではなく、なんと言ってもこちらの方が低刺激です。

 

さていつものように、裏面の成分を整理してみましょう。

原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にパート分けし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

 

lこんな感じになりました。

 

 

では表の上の方から見ていきましょう。

まず洗浄剤のパートです。

アルキルグルコシド(ラウリルグルコシド)をメインにして、両性洗浄剤(コカミドプロピルベタイン)を併用し、各種のアミノ酸系洗浄剤の添加して使用感を整えるという構成は、まるでヘアシャンプーのようです。

アミノ酸系洗浄剤の所は色々ですが、海外のナチュラル系シャンプーで見かける構成です。

アルキルグルコシドがボディソープに全く使われていないかと言われるとそうでは無く、最近のビオレUにも使われているので、最近身体用にも使用は拡大しているとも言えるのですが。

まさかこれをメインとして使ってボディソープを作るとは・・・。アルキルグルコシドの泡立ちはイマイチで洗い上がりが塗る付くというのを知っている化粧品犬とかから見ると、驚きです。

元々海外からこた原料で日本では主に台所用洗剤として使われていたので、泡立ちなどは花王のキュキュットのハンドマイルドなどを思い浮かべてください。あれにも入っています。

 

また世界初と言いたいためか、比較的新しいアミノ酸系洗浄剤のラウロイルアスパラギン酸を使用しています。確かにこれとアルキルグルコシドの併用は、あまり見た事が無いかも。

アスパラギン酸は、旨みで有名なグルタミン酸から炭素がひとつ少ない構造をしたアミノ酸で、それから作られた洗浄剤のラウロイルアスパラギン酸も、同様に低刺激で有名なアシルグルタミン酸と、良く似た性質をしています。両者とも泡立ちがイマイチな所も良く似ています(^_^;)

逆にラウロイルアスパラギン酸は新しい以外に大きな特徴が無いとここが普及しない原因ですね。

 

次はコンディショニング剤、オイル類のパートを見てみます。

まずボディソープなのに、セラミド(2、5)やら、コレステロールやら、セラミド類似オイルのラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)が配合されているのが目に付きます。高い原料なのに、頑張って入れているなあ、という印象です。これらは油の一種なので、エモリエント効果はそれなりに出るでしょう。

変わっている点は、ヘアシャンプーでもないのに、コンディショニング剤のカチオン化ポリマーが三種類も入っていることです。

このうち、比較的増泡効果のあるポリクオタニウム-7は、まだボディソープや洗顔に入る事がありますが、後の二つ(ポリクオタニウム-67、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)がボディソープに配合されるのは、珍しいです。

特にポリクオタニウム-67なんて、調べても「髪にハリを与えるコンディショニング剤」という説明しか出てこない(^_^;)

根だけ入れたら、それは洗い上がりがぬるぬるしますよ。

アルキルグルコシドだけでもぬるぬるしますから(^_^;)

 

次は防腐剤のパート。

ここは普通の防腐剤の安息香酸Naですね。

 

最後は保湿剤のパートです。

ここも取り立てて書くことはないのですが、PEG-7Mは少し変わった原料です。

同様に配合されているPEG-4とかは、水に若干の油性感やすべり感を付与する原料なのですがPEG-7Mは名前は似てるけど、それよりずっと分子量が大きいものです。その結果これを水に溶かすと「若干の油性感やすべり感を付与する」どころでなく、もうぬるぬる・つるつる、というか、「ちゅるちゅる」という表現がぴったりな感じになります。

この製品のさっぱりしない使用感に大きく貢献しているんじゃないか・・と思いますね(^_^;)

 

これで解析は終わりです。

このぬるぬる、売れるかなあ(^_^;)

でも使えないほど、ひどくはないんですよ、確かに刺激ないし、ラメラが整っていると言われればそんな気もする。

 

TVでCMやっているうちは、クラシエさんも、がんばってうるでしょう。

 

 

 

あとは原料ごとのコメントを書いていきます。

 

 

 

洗浄剤

・ラウリルグルコシド:デシルグルコシドと同じく、アルキルグルコシドと呼ばれる洗浄剤の一種。性能もデシルグルコシドと似ていて、ノニオン系の洗浄愛であるため泡立ちはさほど良いわけでは無いが、安全性は高い洗浄剤です。海外では広く使われています。海外メーカーもありますが、国内では花王も化粧品原料として販売しています。

・ラウロイルアスパラギン酸Na:旨み成分として知られるグルタミン酸から炭素が一つ減った構造であるアスパラギン酸をベースとした洗浄剤。性能はグルタミン酸をベースにしたアシルグルタミン酸と似ており、一般の洗浄剤より泡立ちがやや悪く、安全性は高い。誕生して半世紀近い歴史のあるアシルグルタミン酸に比べれば、比較的新しい洗浄剤である。

・コカミドプロピルベタイン;そこそこ安全性が高く、価格が安い両性洗浄剤。

・ココイルメチルタウリンMg:ココイルメチルタウリンを水酸化マグネシウムで中和することで得られる洗浄剤。マグネシウムが2価イオンのため、沈殿しやすいかと思われるが水溶性を保っており、水溶液として販売されている。化粧品犬は触ったことはないが、通常使用されているココイルメチルタウリンに比べ、起泡は遅く泡質にはややコシがあると思われる。

・ラウロイルメチルアラニンNa:アミノ酸系洗浄剤の一種であるが、泡立ちが良く、肌刺激もアシルグルタミン酸ほどではないがかなり低く、価格もそれなりに安い(両性洗浄卯剤よりは高いが)、バランスに優れた洗浄剤。TEA(トリエタノールアミン)で中和した物も販売されているが、それよりは泡立ちに優れる。

・コカミドMEA:シャンプーでよく使われる増粘・増泡剤

 

コンディショニング剤、オイル類

・ジステアリン酸グリコール:固形油の一種で、シャンプーで良く使われているパール化剤。

・ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル):アミノ酸を芯にして作られた、エモリエント性と安全性に優れたアミノ酸系オイル。セラミド的な機能を持った、セラミド類似オイルであるが、液状油で配合しやすいため、口紅からスキンケア、ヘアケアまで広く使われている。

・セラミド2:人間の肌にもっとも多く含まれているといわれているセラミド。水分を保持する力が強い。

・セラミド5:セラミドの一種。エモリエント効果や水分保持機能を有する。

・ミリスチン酸:ココナツオイルやパーム核油等から得られる脂肪酸の一種。このままでは油であるが、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムで中和されることで、ミリスチン酸Naやミリスチン酸Kとなって洗浄剤となる。中和されずに洗浄剤に配合されても、化脂剤として泡立ちに若干のコク与える効果がある。中和した場合、泡立ちは脂肪酸の中では良い方でありコクのある泡が得られるが、泡立ちの速さや泡量自体はラウリン酸よりは劣る。しかしラウリン酸のような強い肌刺激性は無い。またラウリン鎖に較べて析出しやすいため、汎用性は低く、用途は洗浄剤に限定されやすい。

・ポリクオタニウム-7:シャンプーによく使われている、カチオン化ポリマーと言われる成分の一種。特に、毛髪上に柔らかい皮膜を作る事と、シャンプーの刺激を弱める事、それにシャンプーの泡立ちを高めるという特徴がある。ボディソープや洗顔料に使われる事も多い。

・グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド:昔から使われているカチオン化ポリマーの1つだが、最近よく使われるようになっている。

・ポリクオタニウム-67:5、6年前ぐらいから出てきた新しいカチオン化ポリマーです(商品名ソフトキャット)。名前の通り、髪に蓄積した重い感じを与えずし、髪の根元を立ち上げてボリュームアップさせるという効果があると謳っている原料です。代表的なカチオン化ポリマーである、ポリクオタニウム-10(カチオン化セルロース)を更に改良した構造の原料のようです。

・コレステロール:荒れ肌のバリア機能回復効果がある、皮膚・毛髪に天然に存在するエモリエント成分。染毛剤からスキンケアまで幅広い処方に配合されるが、高価格な成分である。

 

防腐剤

・安息香酸Na:広く使われている、比較的低刺激な防腐剤。食品にも使われる。

 

保湿剤、香料など

・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。

・グリセリン:多価アルコールと呼ばれる、代表的な保湿剤

・クエン酸:pH調整剤。

・PEG-4:ポリオキシエチレンが重合した水溶性高分子で、水に若干の油性感を与え肌のすべり感を向上させます。

・エタノール:エタノールです。過去には変性剤を加えた変性アルコールが使われていましたが(変性すると酒税が回避されて安くなった)、税制が変更されて変性アルコールが値上がりしたため、現在は変性アルコールは使われず、ただのエタノールを使うのが主流になっています。

・PEG-7M:増粘剤。水に配合すると粘度は上がるが、ちゅるちゅるとした感触になる。乳化、潤滑性向上効果の他、泡の質向上効果も有する。

・炭酸Na:pH調整剤。

・ピロ亜硫酸Na:還元性がある無機塩類。製剤の安定性を保ち、日光による着臭や着色など製剤の劣化を防ぐ。

・カラル;糖から作られた、天然の着色剤。茶色〜褐色に着色する。

・BG:汎用的な保湿剤。各種成分を溶かす能力も高い。DPGほどでは無いが、やや抗菌性がある。

・ミリスチン酸ポリグリセリル-10:分散性に優れた、親水性乳化剤(HLB14)。

・EDTA-2Na:キレート剤と呼ばれる原料で、製剤の酸化安定性やpH安定性を向上させる。