花王 アジエンス(2016)ふんわり弾力タイプの解析2 シャンプー処方解析編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。
前回から、2016/9/10にリニューアルされたばかりの、花王さんのアジエンスシリーズについて解析しています。

一応念を押しますと、アジエンスMEGURIではなくて、普通のアジエンスの方です。
ちなみに、最近のアジエンス関連のリニューアルは、以下のようになっています。

前のアジエンスが2014/9/21発売。
アジエンスMEGURIが2015/10/10発売。
そしてこの新アジエンスが2016/9/10発売。

なので、アジエンスとアジエンスMEGURIを併せて、毎年新製品を出す態勢になったのかもしれません。ややこしくなったものですね(^_^;)

さてこのアジエンスですが、シャンプー、コンディショナーは2シリーズあります。
この両方ともリニューアルされたのですが、中身・デザインだけで無く名称も一部変わっています。
今回取り上げる「ふんわり弾力タイプ」は、以前の「軽やかに仕上がるタイプ」に相当する物です。
詳しくは、前回の概要編をご覧ください。
花王 アジエンス(2016)ふんわり弾力タイプの解析1 シャンプー・コンディショナー概要編

この製品・・・、今回は発売直後だからかもしれませんが、とっても安売りされているんですよ。
近くのドラッグストアで、シャンプートリートメントのセット(しかも450mlポンプ)が700円台です(^_^;)
シャンプーを2割引で売って、そこにおまけで、タダでコンディショナーがついてくる・・・って感じです。
怖いくらい安い。

花王さん、実のところいくらぐらいで売りたいんでしょうね。
あまりコストダウンされると、中身への影響が心配です(^_^;)
今回の解析は、2シリーズある内の、使用感の良い方から始めるのですが。
どうなることやら(^_^;)
というわけで今回は、リニューアルでの変更点を中心に見ていきましょう。

では早速、処方の解析を始めます。
いつもの様に、裏面の処方を整理します。
今回はまず、リニューアル前の製品(2014年品)の裏面表示も整理し、新製品(2016年品)と併記してみます。
原料の機能毎にパート分けし、パート内の表記順番は裏面のまま変えずに記入しています。また共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

こんな感じになりました。


まず全体的に見ますと。
心配通り、、、めっちゃコストダウンされてます(^_^;)
特にコンディショニング剤、オイル類のパートが酷い(^_^;)
理化実験室の骸骨の標品を思わせますね。
これまでに、アジエンスの良さ?を捨て去っているけど、特に何も追加していない(^_^;)

ではパート毎に見ていき増そう。
まず洗浄剤のパート。
ここは珍しく、一品追加されています。
ラウリルヒドロキシスルタインですね。特に特徴が無い一般b的な原料ですが、そこそこ低刺激で、そこそこ泡立ちも良いという、低価格が取り柄の両性系の洗浄成分です。
アジエンスというか花王さんのシャンプーの洗浄剤の配合として、2種類のラウレス硫酸系洗浄剤に価格の安い両性洗浄剤を合わせ、ノニオン系洗浄剤であるイソデシルグリセリルエーテルを補助的に配合する事が多いです。
花王シャンプーの定番の型です。今回は両性洗浄剤が、ラウラミドプロピルベタインとラウリルヒドロキシスルタインの併用になっていると言うことです。

次は問題の、コンディショニング剤・オイル類のパート。
ここはリニューアルで酷く荒れてしまいまいsたね。
リニューアル前は4種の天然のオイル(アルガニアスピノサ核油 、ツバキ種子油 、ラノリン脂肪酸 、ヒマワリ種子油)が配合されていたのですが、全て削除され、信じがたいことですがラウリン酸に統一されたようです。
この処方ではラウリン酸は、油脂として機能している、いわゆる過脂剤なんだと思います(詳しくは、本エントリー後半の原料毎のコメントのラウリン酸をお読みください)。」乱暴で安っぽい変更です。

また、特に毛髪の滑り感に影響するカチオン化ポリマーも、3種類(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム-10、 ポリクオタニウム-52)と細かく併用されていたものが、ポリクオタニウム-10の1種類に統合されてます(^_^;)
更に、アジエンス伝統のリンスインシャンプー的配合として、ワックス成分(ステアリルアルコール)や、カチオン活性剤(ステアロキシプロピルジメチルアミン )が配合されていたのですが、それもリニューアル後は削除されています。
このシャンプーなのに、ワックス成分(ステアリルアルコール)と、カチオン活性剤(ステアロキシプロピルジメチルアミン )を配合するという技術は、なぜか一部のエッセンシャルシャンプーに継承されていますね(^_^;)
それに、良くも悪くも特徴的だった、アミノ変性シリコン(ビスセテアリルアモジメチコン)も削除されていますね。アミノ変性シリコンは@毛髪への吸着力を高めたシリコンです。
コストダウン、恐るべしです。

防腐剤のパート。
ここもコストダウンの余波なので、メチパラが削除されています。
これは良いコストダウンですね(^_^;)

最後は増粘剤、保湿剤、香料等のパートです。
ここのけっこう、やられてますね(^_^;)
ザクロエキス、加水分解コンキオリンなど継続して配合されている原料もあるのですが、センチフォリアバラ花水やレモングラスエキスが省かれてますね。
まあしかし、ハチミツやオタネニンジン根エキス 、加水分解シルクのように追加されたものもあるので、まあこんな物ですかね。
ただ、「髪表面の層状構造の柔軟化剤」として花王さんが宣伝されていたグリシルグリシンが省かれたのが大きいですね。自分で言っていたくせに、どういうことだ(^_^;)
グリシルグリシンにそんな効果あったっけ?と思わなくは無いが、チャレンジャーな意見だけに、面白かったんですがねえ。
このグリシルグリシンはかなり値段が高かったと思うので、コストダウンには大きく効いたかもしれません(^_^;)

といいことで、かなりがっかりな出来ではありました。
ただ、残されたタンパク系素材やエキス類は結構効くみたいで、思ったより使用感は良いです。
今のママの価格だと、エッセンシャルとの差別化が難しくなるかもしれませんけど。
このまま低価格製品になってしまうsのかな。

あとは、パート毎の成分についてコメントを書いていきます。

洗浄剤
・ラウレス硫酸アンモニウム:ラウレス硫酸アンモニウムは、ラウレス硫酸ナトリウムの刺激性を改善した物です。地味に珍しい原料です。また、このラウレス硫酸Naは、花王さん自身が生産した、特別に泡立ちのよい物である可能性が高いです。詳しいことはラウレス硫酸Naの項を参照してください。
・ラウラミドプロピルベタイン:よく使われているコカミドプロピルベタインと殆ど同じ成分で、安さとそこそこの安全性が取り柄の洗浄剤です。
・イソデシルグリセリルエーテル:花王さんが良く使う起泡剤。花王さんの食器用洗剤のキュキュトにもアルキルグリセリルエーテルと言う似た名前の起泡剤を使っているので、同じ成分かもしれません(表記からは分かりません)。
・ラウレス硫酸Na:シャンプーでよく使われる洗浄剤。ネットでの評判は悪いが、洗浄力は強めであるものの、刺激はそれほどは高くない。そもそも、ラウリル硫酸Naという刺激の強い洗浄剤の、安全性を改良した洗浄剤。
下記エントリー参照です。
 花王 メリットシャンプーの解析(前哨編2 ラウレス硫酸塩の安全性)
また、このラウレス硫酸Naは、花王さん自身が生産した、特別に泡立ちのよい物である可能性が高いです(化粧品の表記からは分かりませんが)。
メリットに使われているラウレス硫酸塩は、そうでしたね。メリットのような医薬部外品は、構造が正確に表示されるので、花王製のトイ別に泡立ちの良いラウレス硫酸塩であることが分かります。
下記エントリーにて詳細を書いていますので、興味ある方はどうぞ。
 花王 メリットシャンプーの解析(本編 洗浄成分について)
・コカミドMEA:シャンプーでよく使われる増粘・増泡剤
・ラウリルヒドロキシスルタイン:よく使われているコカミドプロピルベタインと良く似ている、安さとそこそこの安全性が取り柄の洗浄剤ですね。

コンディショニング剤、オイル類
・ジステアリン酸グリコール:シャンプーで良く使われているパール化剤。
・ジメチコン:化粧品では一般的に使われているシリコン油。
・ラウリン酸:ココナツオイルやパーム核油等から得られる脂肪酸の一種で、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムで中和されることで、泡立ちが良い(やや刺激なあるが)ラウリン酸Naやラウリン酸Kとなる。この製品も水酸化Naや水酸化Kを含むためある程度中和されていると思われるが、シャンプー全体のpHは弱酸性のため、完全には中和されず、ある程度「油としての機能」(エモリエント効果なそ)を発揮すると思われる。個の王無い使われ方を過脂剤とも言う。
・ポリクオタニウム-10:もっとも良く使われているヘアシャンプー用のコンディショニング剤。別名カチオン化セルロース。

防腐剤
・安息香酸Na:広く使われている、比較的低刺激な防腐剤。食品にも使われる。

増粘剤、保湿剤、香料等
・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。
・エタノール:エタノールです。過去には変性剤を加えた変性アルコールが使われていましたが(変性すると酒税が回避されて安くなった)、税制が変更されて変性アルコールが値上がりしたため、現在は変性アルコールは使われず、ただのエタノールを使うのが主流になっています。
・ラウレス-16:乳化剤。油性の成分を溶解させたり粘度を調整する目的で使用される。
・リンゴ酸:一般的な化粧品ではpH調整剤として使われている。化粧品犬は報文等を見た事は無いが、花王ではスタイリング剤ブランドのリーゼにおいて、ブローの熱から髪を守る「ヒートプロテクト成分」としても使われている。
・ザクロエキス:ざくろから得られるエキス。エラグ酸酒石酸、クエン酸や、カリウムなどミネラル文などが多く含まれている。また、女性ホルモン様作用や、コラーゲン分解酵素の抑制作用等の美容作用も多い。
・ハチミツ:化粧品用のハチミツですが、食用の物と同等です。80%は糖分で、果糖やブドウ糖が主成分であり、ショ糖や麦芽糖などを少量含んでいる。このほか10〜20%の水分と、微量のギ酸、乳酸、リンゴ酸とビタミンなどを含んでいます。化粧品としての主な用途は保湿剤です。
・加水分解コンキオリン:アコヤ貝貝殻または真珠から得られたタンパク質に酸やアルカリを加えて分解して、水に溶けるようにした、水溶性のタンパク質吸着性に優れた成分で、皮膚や髪につやとさっぱり空いた感触を与えます。
・オタネニンジン根エキス:薬用のオタネニンジンから得られたエキス。オタネニンジンは、別名を朝鮮人参、高麗人参とも言われ、古くから薬用として使われてきた植物です。代謝促進作用や血行促進作用があるので、化粧品では肌荒れ、小じわ、脱毛の改善の為に配合されることが多いです。
・加水分解シルク:絹タンパクを酸やアルカリで分解して水に溶けるようにした、水溶性のタンパク質。皮膚や毛髪に対する吸着性に優れた成分です。
・PPG-7:ポリプロピレングリコールの1種。水を改質し若干の油性感を与える成分。
・PPG-3カプリリルエーテル:花王さん自身の新規化粧品原料で、髪にまとまりとツヤを与え、シリコーン様の感触を実現する新規成分です。
・ラウレス-4、ラウレス-23:花王のシャンプーに良く配合されているノニオンで、増泡・増粘効果を高める効果がある物です。
・BG :多価アルコールとも呼ばれる、グリセリンの親戚のような保湿成分です。若干の抗菌性があります。
・水酸化Na:pH調整剤。
・水酸化K:pH調整剤。
・カラメル;糖から作られた、天然の着色剤。