★★★★★★☆☆☆☆
2013年
監督 ベネディクト・エルリングソン
出演 イングヴァル・E・シグルズソン シャーロッテ・ボーウィング
馬と人間の眼差し。生命の死と生を描く。
第26回東京国際映画祭コンペティション部門出品作品。監督はベネディクト・エルリングソン。出演はイングヴァル・E・シグルズソン、シャーロッテ・ボーウィング。
アイスランドの荒涼とした地、馬は人間にとって普通の馬以上の存在だった。馬と人間の欲望、生と死を描いた映画である。
日本人にとって馬とは日常生活では馴染のない動物だ。せいぜい乗馬か競馬でぐらいしか馬を見ることはない。しかし、アイスランドでは馬は生活に必要不可欠。人間は馬に対して自分の子供のような感情を持っていた。
冒頭から斬新というか奇想天外なストーリーが出てくる。雌馬に乗ってる最中に牡馬が欲情して交尾を始めたり、馬に乗って船まで追いついたり。寒さをしのぐために馬の内臓を取り出して寒さをしのぐストーリーまであった。
その時の馬の視線が非常に印象的だ。例えば馬の内臓を取り出して寒さをしのいだストーリー。すでに死んだ馬の目をのアップを何度も映す。その時のあの目、死んでいるが何かを語りかけているようだった。馬はどのような気持ちで人間を見ているのだろうか。
最初のストーリー、交尾を追えたあと主人はその雌馬を射殺する。ただ交尾したことに対して怒ったのではなく自分の名誉が傷つけられたからだ。これは実際の人間界でも起きることでレイプされた自分の娘を父親が殺すこともある。つまりこの地では馬は人間と同等なのだ。
牡馬と交尾した雌馬は殺されたが、主人は草原で堂々と馬たちの目の前で女性とセックスをしている。なんか皮肉に感じてしまう。その時の馬の視線がまた印象的だ。
馬たちの名演技にも助けられ、なかなか面白い映画になっている。馬と人間を使い生命の生と死を描いた良い映画だ。