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作品レビューについては基本的にネタバレ有でなおかつ個人的な感想です。

宜しくお願いします!

★★★★★★★★☆☆
2013年
監督  レハ・エルデム
出演  デニズ・ハスギュレル

ゲリラの少女の苦悩を描いた映画。強烈なインパクトを残す。

第26回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門出品作品。監督はレハ・エルデム。出演はデニズ・ハスギュレル。

トルコの山岳部に潜むゲリラ集団。その組織に一人の少女、ジンがいた。しかしジンは組織から抜け出す。隙を見て山を下りたのだ。しかし、ゲリラを狙う軍の攻撃にたびたび遭遇する。何とか難を逃れても彼女にはさらなる困難が待ち受けていた。

ゲリラ組織に所属していた少女が組織から抜け出したとに待ち受ける苦難を描いたのが今作。その過程を雄大な自然と動物を交えて描いた。TIFFで7本見てきたが今のところこの映画が一番面白いと感じる。

彼女の待ち受けている困難はテロリストとしての困難だけではない。女性であるという事だ。語弊があるかもしれないがトルコにおいて女性は明らかに男性よりも下に見られている。ゆえに彼女は想像を超える困難に遭遇する。

例えば雇われた農場の主人に呼び出され体を要求される。彼女はこの後もレイプされそうになる場面がある。テロリストであり、女性である彼女が味わう困難や屈辱は観ている側の想像以上だろう。

トルコの雄大な自然も見ものだ。山岳部が多く出てくるが雄大さを巧く引き出している。冒頭ではそれを感じさせるシーンが出てくる。彼女が人間よりも動物たちと心を通わせているのも注目すべき点だ。一方で人間にやさしくした瞬間に軍の攻撃にあってしまう。

このジンを演じたデニズ・ハスギュレルの演技も印象的だ。少女の苦しみを言葉ではなく表情で見事に表現。苦しんでいるさなかであっても優しさを持ち合わせたジンという役を好演。

これは面白かった。このジンという女性の苦難に満ちた旅路から一瞬たりとも目が離せない。