あれは本当に「子どもの受験」だったのだろうか。
もちろん受験の主役は子ども。
実際に試験を受けるのも子ども。
勉強するのも子ども。
しかし途中から、父親のほうが妙に熱くなっていった。
データを集める。
テスト結果を見てPDCAを回す。
過去問を分析する。
出題傾向を比較する。
併願戦略を考える。
これはもう、プロジェクト管理である。
分析とか戦略とか改善というテーマは仕事でもやっている。
だから受験にも自然にハマる。
しかし、本質はそこだけではなかった気がする。
むしろ大きかったのは、子どもの人生に、ここまで本気で関われる時間が、実はかなり限られているということ。
親が伴走して一緒に予定を立て、励まし、悩む。
時にはケンカする。
そんな中で、毎日のように小さな成長が見える。
できなかった問題が解けるようになる。
手ごたえがあり、手触り感があった。
仕事をしていると、なかなかこういう感覚はない。
部下がいても数年で異動するし、組織としての目標は何だか大きすぎて、自分とは距離がある。
成果が見えにくいものも多いし、いちいち時間がかかる。
しかし受験は違う。
目標が明確で、毎日フィードバックがある。
親子で同じ方向を見ている。
だから妙にハマるのかもしれない。
途中から、「これは子どものため」と同時に「自分自身のプロジェクト」になっていく。
父親だけがやたら学校別SOの推移を分析している
Excelが異様に細かくなり、出題頻度をグラフ化し始める。
だんだん楽しくなってくる。
同時に苦しくもある。
子どもから見ると、「なんでそんなに熱いの?」という感じだったかもしれない。
そして受験が終わると、プロジェクトは強制終了し、急に静かになった。