仕事から帰ってきて、ソファに座る。
ネクタイを外し、スマホを見ながらぼんやりする時間が、最近ちょっと増えた。
子どもは中高一貫校に入って、気づけばもう高校生。
かつての受験のときは、あれだけ毎日あれこれ言っていたのに、今はほとんど何も言っていない。
言わなくなった、というより、言えなくなった、が近いかもしれない。
勉強しているのか、していないのか。
成績はどうなのか。
気にならないわけではない。むしろ、かなり気になる。
ただ、じゃあそれを聞くかというと、なんとなく違う気もする。
もう小さい子じゃない。
かといって、完全に任せていいものでもない。
この中途半端な距離感が、いちばん難しい。
部屋は相変わらず散らかっている。
机の上も、本なのかプリントなのかよくわからない山になっている。
正直、言いたいことは山ほどある。
でも、それを言ったところで何が変わるのかも、なんとなくわかっている。
一瞬動いて、また元に戻るだけ。
受験のときは、やることがはっきりしていた。
塾に行く、宿題をやる、テストを受ける。
親もそれに合わせて動けばよかった。
今は違う。
選択肢は広がっているし、正解も見えにくい。
仕事もそれなりに忙しい。
家に帰れば、もうエネルギーはだいぶ残っていない。
昔のように横に座って勉強を見ることもないし、そもそもそんな関係でもない。
気づくと、少し離れたところから見るだけ。
かつての数年間と比べると、今は圧倒的に静かだ。
良くも悪くも、余白がある。
その余白をどう使うのかは、本人の問題でもあり、親の問題でもあるのかもしれない。
とりあえず今日は、何も言わずに寝ようと思う。
昨日も、そう思っていた。
まあ、たぶん、明日も同じだろう。