少し変わった子あります [ 森博嗣 ]
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【ストーリー】
 小山が後輩の荒木から勧められた料理店は、一風変わったところだった。場所は訪れるたびに変わり、顔を見せる店員は三十代と思しき女将がひとりだけ。そして、毎回違う若い女性が食事に相伴してくれるのだ。戸惑いつつ、女性たちと会話を続ける小山は、しだいにその店の雰囲気に惹かれていくのだが...(表紙裏より)

【感想】
 森博嗣先生の連作短編集です。
 1話がこの不思議な料理店を1回訪れる形式になっている。
 荒木が行方不明になったことで、以前荒木に教えてもらった店を思い出し、行ってみる小山。最初は荒木を捜すつもりもあったようだが、店自体を気に入って通うようになる。

 しかし実になんともつかみどころのない小説なんですね~。素直に読むとホラーファンタジーなんですけど、後から簡単にひっくり返せるようなことしか起こっていない。

 たとえば荒木の失踪は、
不思議な料理店と関係はなくて、事情があって大学を辞めたのかもしれないし。毎回違う場所や女性を用意する料理店も、金や知恵を使えば実現可能な範囲だし。
 荒木の失踪が料理店と関係あるとしても、たとえば「ルール」を破ってしまって、女将から恐喝されて姿を隠したとか、ホラー以外の解釈もいくらでもできる。

 若干ネタバレになってしまうけど、こういうことに結末をつけていないところが、この本の面白味なんですね~。読む方の想像力が膨らむのです。説明をつけてしまったら、何らかのオチをつけてしまったら興醒めでしょう。

 作中の疑問点をまとめると、まず、最初の子と最後の子がほとんど同じゴジラの話をしているという点。これはやはり何か店が細工をしているのかなあという印象。
 4番目の子が、この仕事をもう10年位していると言っている点。女性の相伴は、荒木が注文をつけて開発したもののはずだったが、そうなるように店が仕向けたものだったのだろうか?そういえば荒木はどうやってこの店を知ったのだろうか?
 最後の子はゴジラの話をしているが、偶然とは思えないので、組織的な企みの一環なのだろうか。それともただ単に女将の手駒が少ないだけなのだろうか。

 一方で物語の面白さとは別に、女性との
会話のやりとりや理系的な思考回路の面白さがあります。
 会話で最も面白かったのは、2番目の子は何でも具体的に話してしまうという。小山は、あまり具体的だと相手がびっくりしてしまう、抽象的はある種のやさしさみたいなもの、という。それに対して女性の切り返しの会話が絶妙。

 全般にわたって語り手のパーソナリティが理系的な思考回路なので、初期の森ミステリーが帰ってきたようで、嬉しくなってしまった。中でも孤独についての考察が印象深かった。「孤独を感じるためには、孤独ではない状況を知らなければならない」「
私にとって孤独は深刻なものではなく、むしろ破滅から最も遠いところにある概念である」など。

 そういえば、10月21日からテレビドラマで森先生原作の「すべてがFになる」が始まるそうですよ。
 でもキャストが、西之園萌絵が武井咲さん、犀川先生が綾野剛さんってどうなんでしょうねえ。自分のイメージと大分違うなあ...少なくとも綾野さんはひげがない方がいいと思うのですが...