昨日、日本テレビで開局70周年記念番組が放送されていた。その中で、おもしろい政治家として浜田幸一が№1に選ばれていた。彼が衆議院予算委員長のとき「宮沢賢治君は人を殺した」と発言している映像が流され、出演者が笑っていた。

 

しかし、出演していたアナウンサーもタレントも、視聴者もこれが何のことかわかっていたか。製作者もこれを「虚言」「暴言」と捉えている印象を私は持った。

 

まず、「宮沢賢治」は「宮本顕治」の言い間違いである。これが話を面白くしてしまう遠因でもある。宮本顕治は、戦後の日本共産党のトップを永らく務め、後継者が不破、志位委員長となる。

 

なお、本件の事実関係等は、「日本共産党」(中北浩爾)などによる。

 

1933年12月、上層部の指示をうけて宮本(当時24歳)らは、幹部2名を渋谷区幡ヶ谷のアジトに監禁。そのうち1名に暴行を加えたところ死亡。蘇生措置をとったが救命できなかった。死体を同アジトの床下に埋めた。なお、当時は日本共産党は非合法組織である。

 

もう一人はこのどさくさに乗じて脱出し警察署に助けを求めで事件が発覚し宮本らは逮捕される。宮本は病気のため公判開始停止。1940年代に入り公判開始。起訴罪名は、①治安維持法違反、②監禁罪、③傷害致死罪、④死体遺棄罪など。

 

宮本は完全黙秘。共産党側は、被害者は特異体質であり、致死の責任はないと主張したが、裁判所は、救命措置をとっており殺意はなかったとする一方で、傷害致死を認定の上、宮本を無期懲役とした。網走刑務所に収監。

 

戦後、GHQ指令により政治犯が釈放。このとき、宮本も釈放されるが、本来、傷害致死等があれば釈放の対象外のはずであった。このあたりGHQ側の政治的判断がどこにあったのかは不明だが、共産党はこれをもってそもそも無罪だと主張している。

 

日本テレビは、なんか中途半端に扱ったなあ、という印象が残った。