こないだ本屋さんに行ったら、「俺物語!!」の14巻が出ていた。

あり?とっくの昔に完結したはずでは?

とも思ったが、深く考えず購入。

帯には「8年ぶりの最新刊!」とあった。

 

そうかあ、8年ぶりかあ。

私も年をとるわけだ、と少々しんみり。

 

でも、読んだらすぐに以前の気持ちに戻れて、

楽しい時間になりました。

 

このまんがは大ヒットしたので、ご存知の方も多いでしょう。

簡単に第1話のあらすじを紹介すると…

 

高校1年生の剛田猛男は、身長2メートル、体重120キロ

(と、単行本1巻に書いてあった)。

 

見た目はいかついゴリラっぽいが、気は優しくて力持ち。

だが、彼が好きになった女の子はいつも

彼の親友であるイケメン、砂川のことを好きになる。しかし砂川は塩対応。

 

ある日猛男は痴漢にあっていた女の子、大和凛子を助けたことから、

彼女に恋をする。

 

その大和も、やっぱり砂川に惚れたっぽい。

砂川も彼女を好ましく思っている様子。

 

猛男は自分の気持ちを隠し、二人が上手くいくようがんばるが…。

 

はい、賢明なみなさまはもうおわかりでしょう。

 

大和さんも初めから猛男のことが好きで、

砂川はそれを知っており、猛男の良さがわかる女の子だから

応援していたのです。

 

いやまあ、こうやって文字にしてみると、

なんだかふつーのラブコメみたいなんですが。

(私の文章力の問題であるけれど)

 

でも、めちゃくちゃ面白いのは、やっぱりキャラクターがいいからなんだなあ。

猛男なんて、見た目はほんと、少女まんがにあるまじきヒーロー。

角刈りだし、もみあげあるし、黒目小さいし。

 

もちろん、中身はすごくかっこいい。優しいし。

もてるタイプなのよ、本来は。

 

しかし、少女まんがも進化したなあ、改めてと思う。

深化とも言える。

 

やっぱり少女まんがの基本的なヒーローは、

砂川くんみたいな見た目がかっこよくて、

性格も落ち着いていて、優しいタイプだと思う。

 

それが、時代の価値観の変化や、多様化、

少女まんがというジャンル自体の広がり、

深まりによって、さまざまなヒーローが描かれるようになった。

 

1巻の帯には「これがイケメンの最終進化型」とある。

最終かどうかは不明だが、一つの大きな形ではある。

 

あと、今回の14巻に出てきた、猛男の小学校時代の友人もいい。

やっちんという男の子と、さやちゃんとのカップル。

 

やっちんは内気で優しい子で、

さやちゃんは活発で、意見をはっきり言う女の子。

 

……好きだ!

もしかしたら、猛男と大和さん以上に好きかも。

あんまり出番はないのに、勝手に好きになる俺も俺だが。

 

何も、男の子のほうが強くたくましく、

スポーツ万能になる必要もないのよね。

 

作中で猛男も言っていたように、

「やっちんはかっこつけるような奴じゃなかったし

近藤(さやちゃんの苗字)もそういうやっちんを

好きになったんだろうな」

 

そうなんだよね、人それぞれ、いろんな「好き」があっていいのよ。

これもまた、少女まんがのひとつの進化だ。

 

砂川くんみたいなモテモテ系の人が、

あまり恋愛に興味がなさそうなのもまた、面白い。

 

まあ、この人は猛男を好きすぎるのだけど。

 

それから、絵もいい。

 

いかつい猛男や、細身の砂川くん、華奢な大和さんなど、

それぞれのキャラの骨格や筋肉などがちゃんと想像できる。

砂川くんの横顔が大変好みです。

 

背景も描き込みすぎず、すっきりしていて読みやすい。

余談だけど、一部の青年まんがとかは描き込み多すぎて

目がチカチカすることもあるのよね。

それは加齢のせいなのか!?

 

あ、そうだ、この14巻のカバーの折り返しには

以下続巻となっていたが、続くの? 終わってないの?

 

いや、うれいしんですけどね。

 

今回は猛男たちが大学生になっており、

後半はペンションで密室サスペンス風の展開。

でももちろん何の事件も起きてないけど。

だって、ラブコメだから。

 

もうこうなったら、これからこのまんがの続編は

パラレル設定でもいいと思う。

 

SF、時代劇、異世界転生もの、とか舞台設定だけ変えて、

キャラクターの配置は同じ。

 

いけますよ、これ、いけますよ!

 

だって、もう猛男と大和さんの間に危機感などないのだ。

ふたりは第1話目にしてラブラブカップルになり、

13巻(連載終了巻)でも、別れの予感?という最大の危機を乗り越えた。

 

砂川くんも猛男への信頼感は揺るぎない。

 

安定感こそがこの作品の素晴らしさだが、

ドラマチックな展開になりにくいとも言える。

 

ならばもう舞台だけを変えるのだ。

そんな感じで、年に1回ぐらいのペースで新作を描いてほしいな。

 

今回、久々に1巻から通して読んだのですが、

やっぱりいいね。

明るくて、楽しくて、夢があって。

まんがっていいな。