毎年恒例、年末に発売される中野翠さんの連載コラムです。
去年出たのを今ごろ感想書くんか~い、
と自らにつっこみ入れつつ始めたいと思います。
2022年10月から2023年9月までのあれこれ。
芸能、スポーツ、事件と、ああそんなこともあったねえ、
といういつもの雑談芸がつづられています。
中野さんと私は年齢も職種も、学歴もぜーんぜん違っていて、
ほとんど共通点はないのだけど、
何かあるとすれば「何に違和感や嫌悪感を持つか」なんだろうな。
例えばP24
「一段落」を「ひとだんらく」と読むことについて。
このコラムは東海林さだおさんが述べたことを受けて、
というものだったのですが。
私もねえ~、「ひとだんらく」って言いかた、ひっかかります。
でも「言葉は生きものですから」なんて言われたら反論(?)
出来ないし。むうう。
他にもP26
「誰もが羨む」という言葉もカチンとくるそうな。
ワイドショーなどでよく使われる言い回しである。
金持ちで一家円満で、子どもも優秀で…というような。
中野さんは
「『ヨソはヨソ、ウチはウチ』と心得ている人のほうが、
案外、多いのではないか?
『羨む』というのは基本的に下品なことだと私は思っている」
と述べている。
ははは。確かに。
そしてやっぱり中野さんはプロフェッショナルだなあ。
「ヨソはヨソ。ウチはウチ」までは多くの人が思っているだろうし、
そう言葉にするだろう。
そのあと「下品」と冷静に言えるのは、
プロのコラムニストだ。
読者は、中野さんの意見に「うんうん」と頷いたあと、
「下品」という言葉により、背筋をしゃんと伸ばすような気持ちになる。
飛んでP73
長野県で起きた、31歳の男による4人連続殺害事件。
犯人は近所の女性たちが自分のことを
「ひとりぼっち」と悪口を言っていると思い込んでの犯行だったらしい。
これについて
「子どもっぽいなあとおもう。
『ひとりぼっち、上等!』という気概は無いのか」と書いている。
確かにそうだ。
なぜ誰にも相談できないままの状態だったのかは不明だが、
ひとりでいたくないのに引きこもっていては何も変わらないのだがなあ。
亡くなった方々や、身内の方も本当に気の毒だ。
P104では
「プライベートなことを書くのは、控えめにしてきたつもりだったが」
と書いてはいたが、引っ越しのお話だった。
長年住んでいたマンションが老朽化で建て替えられ、
いわゆるタワマンになったそうな。
個人的にはいいじゃーんと思うけれど
(別にタワマンに住みたいわけではなく、新築だから)
引っ越し作業などが大変だったらしいです。
そりゃ30年ぐらい同じところに住んでいたらねえ。
お疲れさまです。
で、中野さんはプライベートなことは控えてきた、
とおっしゃいますが、
この連載コラムをずーっと読み続けた私としては、
いつのころからか、プライベートな話が増えてきたなあ、という印象です。
以前はもっとテレビや、芸能ネタや事件(しょーもない小ネタ的な事件を含む)
などの話題が多かったような。
なんだろう、人って年を重ねると
だんだん個人的なことに収れんしていくのかしら?
他の作家さんはどうなのかわからないけれど。
いずれにせよ、成り行きを静かに見守っていく所存であります。