校正した短編小説「迷探偵柳生幸次郎」原作者献残屋藤吉郎

 

第2部

 

20)榊原豪太郎を訪ねる

原田警部補は爆破事件の真相は掴めずに、、全てが消滅したことを知った。
「藁を摘むような思いで」で、、大阪府警の田嶋刑事と、榊原豪太郎が入院している総合病院を訪ねた。
本人は寝たたきり状態であり、、話もできなかった、、、、その日は孫娘の「朱美」が見舞いに来ていた。、、原田警部補は挨拶をして、、「大変ですね、、、榊原さんはまだ、話はできないのですか、、」聞いたら、、
「そうですか、、、大事に看病してください、、」と、、原田警部補も状態を見ては何も言えなかった。顔中の包帯姿は痛々しかった、酷い爆破だったと想像が出来るのだった。
原田警部補たちが帰る時に、孫娘の朱美から、焼け切った手帳を渡された。
「すいません、、最近、少しだけ口がきけたときに、爺ちゃんから渡されてたのでが、、忘れていました、、私が信用できると思った人に渡せと、、」と、云われていました。。
それで、話を聞いて,原田警部補に渡すと決めたのであった。
原田警部補は、その焼ききれた手帳を見て驚き共に絶句したのであった。

21)榊原豪太郎からの焼きただれた手帳

原田警部補は渡された焼き爛れた手帳を見て、驚いた。
焼けたり、破れたりはしていたが、、金の貸し借りが走り書きのメモのように記されているので、、原田警部補は小躍りした。
なんの手がかりもなかった、大阪爆破事故の証拠の一部が出てきたのであった。
大阪府警に戻った原田警部補と田嶋刑事は矢野警部に報告をして、、その焼き爛れた手帳を鑑識に回して、調べてもらう事にした。
3人は楽しみにした、、、何が出るのか、、足がかりが出来ればいいのだが、、と、、結果を待った。
大至急で頼んだので、依頼してから3時間ほどで出来上がってきた。
その再生手帳を見て、、矢部警部が笑みを浮かべ、原田警備補にも見せて、田島刑事が喜んで歓声をあげた。
大阪事業所の裏帳簿にも似た、金銭の貸し借りが克明に記載されていたのだ。
全て、今まで分からなかった「組織やくざへの融資内容だった」
「原田さん、、これで摘発が出来るぞ、、脱税の全ても、、凄い収穫だよ、、大阪爆破事件の真相が解明できる、、、やったな、、凄いよ、、」
矢野警部は喜んで、、まずは「関西連合桜会」の家宅捜索だ、、京都連合橘会」のがさ入れだ、、と、、これから忙しくなることの気合が感じられた。
「原田さん、今回の事は貴方のお手柄だ、、一緒に参加してください、、何か東京の殺人事件の糸口が見つかるかもしれませんよ、、」
話をしながら、、大阪府警の上層部に報告をして、、次の家宅捜索の段取りをしたのであった。
原田警部補もやくざ事務所のがさ入れで、何かが見つかればいいなと思ったのであぅた。


22)家宅捜査「やくざ事務所」のがさ入れ、、

矢野警部は大阪府警の上級管理官の承諾を貰い、、京都府警にも協力を依頼して、、
「関西連合桜会」と「京都連合橘会」の家宅捜査に入った、容疑は「脱税容疑」と「無許可貸金業法違反」などで、検察庁も同時にがさ入れを行なった。
突然の家宅捜査であったので、、両連合会「組織やくざ」ともに、、最高責任者でもある、、「会長、若頭ともに逮捕出来た」そして、、「銃刀法違反で多数の幹部連中」を逮捕することが出来た。
裏付けの捜査であり、逮捕だったので、、「逮捕状」通りの検挙が出来た。
これからの捜査如何では、、東京での城之内安太郎の殺人事件の状況証拠もでる可能性も出てきたのであった。
これからは大阪府警も京都府警も忙しくなるようだった、、今までは迷宮入りかと思われるほど、、大きな障害にぶつかり、お手上げだった。
もちろん検察庁などでは「脱税」のかけらも見つからず、地団駄を踏んでいたのだ。
今までは噂どまりで進まなかったのである。
「一冊の焼けただれた手帳」の発見から、急展開をしたのであった。
正直言って、、逮捕された「組織やくざ」団体の方が肝を冷やしたはずだ、、しかし、、事実が出たのであるから堪らない。。。
時間をかけて、調べていけば事実は明らかになっていき、、「脱税」も「無許可営業の貸金実態」も判明してしまい、、警察も検察庁も証拠裏付けをしていくはずだ。
国家権力だから、、「なんだカンダ理由をつけて、、拘留期間をのばして」起訴に持ち込むはずである。。ましてや「指定暴力団」が相手だから、猶予はないのだ。
原田警部補は東京の殺人事件に絡んだ情報を流して貰うことを約束して東京へもどった。
此の大阪事業所の爆破事件に関する、関係者の逮捕情報は、東京にも流れた。

一番気が気でなかったのは、、故人安太郎の妻、洋子であった。
そこで、迷探偵柳生幸次郎が呼ばれたにである。
「柳生です、、暫くぶりです、、何のご用件でしょうか、、探偵業務は終わったはずですが、、」
と、、訪ねて来た。
「柳生さん、、お願いがあるのですが、、大阪事業所の爆破事件がその後どうなったか、、調査してもらえますか。。。」と、言われたので、、、
「いいですよ、、私は調査や警護が商売ですから、依頼されればやりますよ、、何を知りたいですか、、、」と、、、尋ねた。
「税金のことが心配なので、、榊原豪太郎の件と、、警察の状況を知りたいのですが、、、」
「お願いできますか、、、」と、、頼まれた。
迷探偵柳生幸次郎は察していた。。。今回のすべての事件の黒幕は、、「妻洋子」だと、、
しかし、彼は今は警察ではなく、、依頼されたことをやり遂げ、、「報酬」を貰えればという、、割り切った考えでいたので、、真相を明らかにする必要もなかった。
迷探偵の柳生幸次郎の推理では間違いなく、今回のすべてを計画して実行したのは「妻洋子」だと確信していた。
その理由はまだ、分かってはいなかった。


23)妻洋子は心配だった、、故人安太郎の妻であるから、、

大阪事業所の爆破事件の捜査が動き出したので、妻洋子は心配になった。
なによりも心配なのは「遺産相続」である、、大阪事業所の株式や、資産の相続がどうなっているか知りたかったのである。
故人安太郎が関わっていれば、、遺産相続で受け継いだ財産が、失うと思ったのであった。
出来るだけ妻洋子は関りたくなかった。
一番知りたかったのは、大阪事業に関わっていても、、、事業所の権利はないことを確認したかったのであった。
関わっていたら、、不味いと思った、妻洋子である。
そこで、迷探偵柳生幸次郎に調査を依頼したのであった。
迷探偵柳生幸次郎も結末を見たかったので、、妻洋子の頼みを聞いたのである。
元は警視庁のやりて、「鬼警部」であったので,そのくらいの調査は簡単であった。
迷探偵柳生の調査では、妻洋子にしてみれば大変なことが分かった。
故人安太郎は、大阪事業所は会社組織で「株式会社大阪金融」であり、、株式は故人安太郎が100%保有であった。
しかし、代表取締役は城之内安一郎で、、故人安太郎と、妻洋子の長男であった。
株式保有から見れば、更には不動産部門が、故人安一郎の名義であったので責任は引き継がれていた。相続権もあり、、「脱税」からくる、責任は取らざるをえないようだった。
報告を受けた妻洋子は、顧問の大久保弁護士に相談をした。
妻洋子にしてみれば非情事態になったのである。。
いずれにしても「脱税の追徴金」すなわち「負の財産」を相続しなくてはならなかった。
国税からいくらの「追徴脱税違反金」が言い渡されるかわからなかったのでるから、、妻洋子は気が気ではなかった。
故人安太郎がどれくらいの商いをしていたか分からなかったので、生きた心地はしなかった。
迷探偵柳生幸次郎は想像はしていた、、、今回の調査でわかったのであるが、、妻洋子の受け取った「遺産」では足りないような、、、

もしかしたら、、故人安太郎の計算だったのかも知れない。死んでも尚、、誰にも好きなようにはさせないという意気込みが感じられた。

24)故人安太郎の執念

城之内安太郎は一代で築き上げた男であった、、、もとは大阪の通天閣近くで育った浮浪児であり、、不良になり、、地元の博徒の「天王寺一家」で男を磨き、一人前の極道になった。
そして、、ガキの頃から「金儲け」に長けていた。
小銭を貯めて、、金貸しを始めて、男家業を売り出したのである。
若いころから「金にはシビアであり、、」いつの間にかやくざ連中への金貸しをしていた。
金を貸す目的は、、担保さえ保全できていれば「銃でも薬でも、なんでにでも貸した」
当時の安太郎のつけられた通り名は「蝮の安」と言われたいた。食いついた獲物は死んでも離さないと、、、しゃぶり尽くすという噂もあった。
そして、、金融部門だけを残して、東京へでたのであった。
後の「株式会社大阪金融」だった、、番頭に残した「榊原豪太郎」は城之内安太郎の右腕となり、辣腕を振るっていたやり手であった。
故人安太郎が信用していたのは「榊原豪太郎」ひとりのようだった。
とにかく、用心深く、人を寄せ付けないところがあり、、一人で資金繰りをしていたのであった、
そんな男が、、家族であろうが、、やすやすと財産を渡してしまうほど、優しくはなかった。
故人安太郎が後妻として迎えた洋子は、、彼からすれば「女中か家事手伝いで、、女のはけ口ぐらいにしか」思っていなかったのである。
妻洋子は、、故人安太郎の長男安治路が連れて来た女だった。凄いのは長男安治路の彼女だったのを、、金の力で奪い、妻にしたのであった。
この事実は、、今回の迷探偵柳生幸次郎の調査で分かったのであったが、、それを知った柳生幸次郎は、、故人安太郎が恐ろしくなった。
全てを知った上での「最後の安太郎の遠望企み計画だ」と迷探偵柳生幸次郎は思い、、唸った。
しかし、、何一つ、それを裏付ける証拠はないのだ。。
考えられることは、、これから出てくる「脱税疑惑」から出る、、「脱税未納金など」の算出で、どれほどの「追徴金」がでるかだ、、、
それは分からない。。国税の調査如何であり、、妻洋子はびくびくしていた。
妻洋子は上手くやったと思っているだろうが、、、故人安太郎の考えは大きかった。


25)大阪事業所の爆破事件の捜査は進んだ。

城之内安太郎の事実上の経営者の「株式会社大阪金融」の爆破事件が起きて、、「脱税疑惑」が浮上したのであった。
しかし、事実上の経営者、城之内安太郎も殺されて、爆破事件で「株式会社大阪金融」に携わっていた長男の安一郎も死亡しているので、、責任者追及が出来ない状態であった。
番頭の榊原豪太郎は、社員扱いで役員にもなっていない。
大阪府警は爆破事件の犯人究明に全力を傾けていたが、、犯人像は浮かんでこないのであった。
捜査していく過程では「やくざ同士の抗争」に絡んだ、爆破事件だという見解が濃厚だということになってきた。
その抗争の裏には、故人安太郎の作為があったようではあるが、、本人は死亡しているので裏付けが取れなかった。
国税としては、「脱税の額」がどのくらいあるか、、榊原豪太郎の残した手帳から算出しているところであった。
そして、取引のあった「組織やくざ」から、困難ではあるが証拠固めをしていた。
「大阪連合会桜会」と「京都連合会橘会」では資金の流れに食い違いが出てきたので、取り調べを強硬にしていた。
やくざ事務所は勿論であるが、、幹部個人一人一人の家宅捜査をして居るので、、ちらほらと、
資金の用途が明らかになってきた。
組織やくざの資金の流れを抑えて、、証明できたところから、、資産財産の差し押さえを始めた。資金面から組織やくざの殲滅をはかっていった。
今回の爆破事件の逮捕の裏側には「組織を解体に追い込む」ほどの金銭が動いていた。
故人安太郎の凄さが伺われる。
全てが明らかになった際は、、妻洋子が受け取った「遺産」などは吹き飛んでしまうほどであった。
その報告を聞いた「妻洋子」は愕然とした。

26)脱税額はまだ、国税庁から発表されず、、、

株式会社大阪金融と「関西連合桜会」と「京都連合橘会」の脱税問題は長期に渡る金銭貸借なので、、
簡単には算出できなかったのである。
番頭の榊原豪太郎の手帳に残る記録と、、組織やくざ団体で確認できる 財務状況から凡その判断をする以外に方法はなかった。
しかし、大阪府警と京都府警が検察庁に協力して、総力を挙げて調べた結果から「脱税額」を決めたのであった。その結果が概算で「両組織の脱税総額は30億円」となった。
その両組織に融資した「株式会社大阪金融」の脱税額も多額であった。
株式会社大阪金融の裏金工作があって。。やくざ組織との取り引きは「闇取りき引き」であったことから、、
「脱税行為」をしてたのであった。
従がって、「脱税行為による追徴金」「法律的な金融闇取り引きに関わる違反金」を合計すると、、、
妻洋子が「遺産相続」で受け取った「遺産金」を処分しても足りなかった。
この事件の解決と共に、「妻洋子は無一文」になる筈である。
故人安太郎には死んでも尚、「してやったりと思っていた妻洋子に、、」その上の仕打ちをしたのであった。
恐ろしい「復讐」の「報復」をしたのであった。
妻洋子のすべての、故人安太郎への「復讐計画」であったが、、それが終わってみれば「報復」となっていた。


27)報復を受けた妻洋子

城之内安太郎の妻洋子は、もとは長男安治路が付き合い、結婚するつもりで、家に連れて来て、父である故人である安太郎に合わせたのであった。
その洋子を故人安太郎が「金力」で奪い、妻にしてしまったのであるから、、長男安治路には恨みは残っていた筈で有る、、、それが原因で安治路はアメリカへ逃避行したのであった。
故人安太郎の妻洋子は「金に目がくらみ」もともと贅沢が好きな女であったから、「金と結婚」したようなものだった。
そんなことは百も承知ではあったが、、男とは不思議なものである。一緒に暮らすうちに醜い愛が芽生えていったのであった、長男安治路に対して嫉妬心を抱く様になり、、彼を近づけなかった。
そんなことも有って、安治路はアメリカで孤軍奮闘して、事業に成功したのであった。
故人安太郎の血を引いていたので、冷血に商いをして行ったのである。

妻洋子は金をかけ
て「妖艶」になり、、故人安太郎は年を老いていった。
そんな負い目から、、自分が死んだ後のことを想像しては、自己嫌悪に陥っていった、
そこで、故人安太郎は考えた。自分の残した財産で、妻洋子と長男安治路はいい思いをすると、、
下種の官繰りをし始めた。
そして、妻洋子には財産を残さないと、、自分が死んだ時には「無一文」にしてやると、、、
それが、城之内安太郎の殺人と大阪事業所の爆破事件であった。
故人安太郎の殺人事件も大阪事業所の爆破事件の真相は噂は出ているが、事実は判明出来ていなかった。
謎のままであるが、、、故人安太郎が妻洋子に対しての報復であると見抜いていたのが、、、
迷探偵柳生幸次郎であった。


28)長男安治路、、アメリカより帰国する、

今回の故人安太郎の「遺産相続」では一切、権利を放棄したのが,長男安治路であった。
その件で不思議におもったのは迷探偵柳生幸次郎である、、それは謎であった。
誰でも遺産の欲しくない人間はいない筈だ、、しかし、あっさりと放棄したのである、、いくらアメリカで仕事が旨くいっているからと、金の欲しくない人間はいないと思っている迷探偵柳生幸次郎であった。
ましてや、故人安太郎に恋人を奪われたのであるから、、恨みもあり、故人の財産を奪ってやろうと思うの当然の理である。
しかし、故人安太郎の遺産は全て放棄したのであるから、大きな謎であった、
そこで迷探偵柳生幸次郎は誰にも頼まれない、金にもならない調査を始めたのである、、、余りにも不思議に思ったので、彼の興味本位からであった。

迷探偵柳生幸次郎はまず、アメリカの会社調査から始めた。
そのためにアメリカまで飛んだのである、、、安治路の会社の有る「オーガスタ市」人口約20万のメイン州の首都に、、、
東京から飛行機で片道「22710円」の都市で、日本でも人気の有る「ロブスター」が漁獲量アメリカ一番で年間「約60万トン」の水揚げがある。
アメリカの東海岸はロブスターロールの有名料理店も多く。メイン州の「コープ協同組合」を通して市場へ発送している。
そんなロブスターをコープ協同組合を通して、日本の市場に販売しているのが「城之内安治路の会社であった」、、、「ヤスロオマール株式会社」であり、、日本販売の最大手であった。
迷探偵柳生幸次郎はアメリカ調査を終えて納得したし、、その後の調査で意外な事実を突き止めた。
それは日本に於ける安治路の商いであった。
そして、金融界の「闇将軍」と、、呼ばれる謎が分かってきたのであった


29)闇将軍

裏社会に君臨する「闇将軍」の噂を聞いたのは、迷探偵柳生幸次郎が城之内安治路の調査をはじめてからだった。彼の調査をしているうちに、行く先々で「闇将軍」の話がでた。
そして、その闇金融の元締めが「闇将軍」だと、、、しかし、その正体は誰も知らなかった、
そんな噂が気になり、、迷探偵柳生幸次郎は「闇将軍」を追跡調査をした。
元警視庁特捜課の鬼警部であった、柳生幸次郎には朝飯前であった。
「闇金融の事務所」は東京都内にいくつもあった。すべて、古びた小さなビルであり、、所有者が別であり、所有者住所を訪ねると、所在不明か死亡していたのであった。

しかし、利用者が元の所有者のままで「固定資産税」を納付しており、、建物そのもが目立たない、誰が見ても資産価値のないものばかりであった。
従がって「固定資産税」も安かった。
そんなビルの中に,個人金貸しが居ても、誰も気にしない事務所であった。
その金融事務所が「闇金融」をしているのだから分からない筈だった、もぐりの金貸しである。そんな金貸しの金の流れなどは見つけようにも見つけられなかった。
全てが闇の中の取引であり、、借りる方も脛に傷もつ身であるから、必要に応じて借りるので、文句も言わなかった。
更に、不味くなると、事務所を移ってしまうから始末が悪かった。
そんな金貸しではあるが[上はヤクザ組織から、、数億の単位での取り引きもあり」
「下は浮浪児からピンからキリまで貸していた」
税金ゼロの商売を組み立てた「闇将軍」とは凄いと思った、迷探偵柳生幸次郎であった。
踏査で仕組みはわかったが、肝心の「闇将軍」は浮かんでこない。
どうしたものかと、、考えていた。


30)どこにいるのか「闇将軍」は、、、、

迷探偵柳生幸次郎は探した、、今までの刑事時代の情報網を駆使して、あらゆる方面から調査の手を伸ばした。
しかし、金融関係の裏情報も集めた。
何としても噂はあるが、実際には見たことも、会ったこともないと言う。
柳生幸次郎は一つだけ、闇金融の世界の金貸しに手がかりを見つけたのだった。わずかな望みを掛けて、
その金貸しをマークして、、四六時中、付け回した。
闇金融のブローカーなので、叩けば何かが出ると、、昔の刑事の勘というものに頼ってみたのである。
刑事時代のように「警察権力」が無いので、脅して言わせれば「脅迫罪」になりかねないので、柳生幸次郎も慎重になった。
闇金融のブローカーは清水宗一郎といって、東京都内のもぐりの金貸しに資金を回していた。
しつこく辛抱強く、付け回していたので、闇金融業者でのトラブルが起きて、、ブローカーの清水宗一郎は、貸金の取り立てから、貸したもぐり金貸しを監禁したのであった。
そして、清水宗一郎は普段利用している「反ぐれ軍団、紅組」に、取り立て監禁をさせたのである。
その監禁状況を抑えて、、柳生幸次郎は闇金融ブローカーの清水宗一郎を捕まえて、脅迫したのであった。
「なあ、、清水よ、、お前の知っているところで、、お前らの金種もとは誰なんだか教えてくないかな、、、いいよ、、教えなくても、、俺の古巣の仲間にお前を渡すから、、」
と、、脅した。
更に「違法金融取り締まり、、監禁罪、、教唆脅迫罪だから、、当分出れないな、、」と、、強要したのだった。
「旦那、、俺たちは本当の金種もとは知らないんだよ、、俺たちの先に仲介元がいるから、、金さえ出して貰えば、後はどうでもいいというのが、俺たち闇金融のルールなんでね、、勘弁してくださいよ」
と、、泣きを入れられた。
迷探偵柳生幸次郎は警察ではないので、逮捕することにはこだわらなかった。
「分かったよ、、清水、、お前の資金元である、仲介元を教えろ、、誰にも言わないから、心配するな、、」と、、聞きだそうとしたが、、
「旦那、勘弁してくださいよ、、しゃべったことが分かったら、俺、消されちゃうよ、、」
と、、半べそをかきだした。
「心配するな、、お前も知ってるだろう、、俺は言わないと言ったら云わない、、」と、、宥めながら、脅かしながら聞き出した。
「分かったよ、、ありがとう、、いいか、清水、もっとうまく立ち回れよ、、闇金貸しで儲けたら、たまには飲ませろよ、、じゃ、元気でな」
と、、聞き出した貸金の仲介元に当たることにした。

31)柳生幸次郎、、闇貸金の仲介元に当たる。

柳生幸次郎は、闇金業者の清水宗一郎に教えてもらった,仲介の金種元を調べて訪ねてみた。
新宿大久保の駅前裏通りにその会社はあった。
大久保は今は韓国関係の店が多く、、賑やかな街通りは見た目には日本人街のようだが、韓国の街だった。そんな街並みの裏通りの一角に韓国風な料理屋が、、教えられた住所だった。
なんの変哲もない韓国風の焼き肉店であったので、、柳生幸次郎は客を装って中にはいった。
「いらっしゃいませ、、注文は何がいいですか、、」と、、流暢な日本語で韓国女が聞いてきたので、、「何が一番、旨いかな、、」と、、尋ねたら、、、
女は笑顔をみせて、、「何でも、美味しいよ、、好きなものを頼んでください、、」
と、、メニュー表を渡してきた。
それで、、柳生幸次郎は「焼肉定食」と書かれていたものを頼んで,待った。
待つ間、柳生幸次郎は店内を観察したが、、何もなかった、
そして、、どうやって、、闇金業者の清水宗一郎が云っていた、人物に会えばいいかを考えた。
考えているうちに頼んだ「焼肉定食」が運ばれてきた。
食べたが旨かった、、しかし、考えたが知恵は浮かばなかつた。そして、、食べ終えた柳生幸次郎は店を出て、その周辺を歩いた。
なんかいい方法はないものかと、、いきなり訪ねて行っても何も聞きだせないだろうし、、また、荒治療で脅しても言わないだろうから、、と、、悩んで考えた。
柳生幸次郎が調べているうちに、一つだけ分かったことがあった。
その韓国料理店「焼肉風流」は、今、焼き肉用の仕入れが高いので、仕入れ先を探しているという噂を聞いたのであった。
早速、準備をして、焼き肉用肉の卸問屋に化けて潜り込もうと、、柳生幸次郎は「焼肉」の勉強をしたのであった、そこまでしても「闇将軍」にたどり着いてやろうと、燃えたいたのであった。
そして、損を覚悟の卸値で、「焼肉風流」と、取引を始めた。
始めて「焼肉風流」の店主が訪ねて来た。。「どうして、あんたのところは安いの、、」と、、、
柳生幸次郎は、、「来たな、、そう来るとおもった、、」と、、用意周到に用意した答えを話した。
あらかじめ、、段取りをしておいた、精肉業者と打ち合わせをしていたので、ボロは出さずにすんだ。
安くて上質な焼肉用の肉を卸したので、何度も会ううちに気に入られるようになり、、張谷社長はゴルフが好きというので、、柳生幸次郎はゴルフを誘うまでになった。
柳生幸次郎はゴルフの上前は「シングルクラス」で、、警察関係の大会では優勝するほであった。
「柳生さん、、あなたはゴルフが旨いね、、私のコーチをしてくれませんか。。」というような、、
付き合いになり、、柳生幸次郎が、「闇金仲介業者でもある男」に近付いたのであった。
飲食も付き合いうようになり、、闇金仲介業者である、張谷社長の人脈を少しづつ知る様になっていった。相手も巧妙であり利口な男なので,そう簡単にはボロを出さない。。
根気のいる調査であった。
そして、、信用されるまでに半年が過ぎた、、暮のクリスマスパーティーに誘われたのであった。

32)クリスマスパーティの夜

迷探偵柳生幸次郎は,やっと、掴んだ「闇将軍」への道のコネである、張谷社長の招待を受けた、港区赤坂に有る、「中宮寺明子」のクリスマスパーテイが行われている邸宅へ出かけた。会場へ入って、柳生幸次郎はビックリしたのであった。
仮装大会のように、それぞれが仮面をつけており、、誰がだれだか分からなかった。
考えたものである、、、主催者は相当に用心深く、注意を払っているようだった。
柳生幸次郎は仮面をつけて、会場に入ったら、まるっきり、誰が来ているかは分からずに、招待してくれた「張谷社長」がどこにいるかも分からなかった、
声を掛けられて、やっと 分かったのであった。
「柳生さん、わたしですよ、、覚えておいてください、、私の仮面は狼ですから、、」と、云われて安心したのであった。
「誰かが分からなくてももいいのですからと、、」云われた。
「お酒を呑んで、デイナーショウを楽しんでください、、」と、、、
そして、、今夜のクリスマスパーティーは仮面をつけたままで、素敵な女性を見つけて、楽しんでいいのですからとも言われた。
柳生幸次郎は思った、、「金持ちの乱痴気乱交パーテーィ」ではないか、、、
ふざけた奴らだ、、金を儲けて、ふざけた人生を楽しんでいたのであった。
許せない奴らだった。
この中に「闇将軍」が居るかと思うと腹がたった。
柳生幸次郎は近付いたと思ってきた。


33)クリスマスパーティーの主催者「中宮寺明子」と、、、

迷探偵柳生幸次郎には「乱痴気乱交パーティー」は気が進まなかった。一人、寒空の庭に出ていた。今夜のパーティーを期待していたのは、「もしかしたら、、それらしき闇将軍に会えるかも、、」との思いが見事に外れたので、少しがっかりしていたのであった。
仮面姿の仮装とは予想もしていなかったので、、、、
しかし、、この中にいるはずだ、、「闇将軍」は必ず、、、、
そう、確信した柳生幸次郎だった。
会場には30人前後の男女が居るだけだから、、強盗の真似事をして、全員の仮面を外させることぐらいは出来る、、そんなことしても、「闇将軍」は正体を出さないだろう。
ここまで、たどり着いたのだ、、もう、、暫く待つことにしたのだった。
時間はあるのだから、、迷探偵柳生幸次郎には、、寒空の庭で振舞われた「シャンパン」を呑みながら、もうすぐ会えるだろう「闇将軍」にと思いを膨らませていた。
ぼんやり冬の透き通った夜空を仰いでいたら、、一人の仮面女性に声を掛けられた。
「よろしいですか、、ご一緒しても、、」と、近付いてきた女性のバラの香りが、その冬の白い景色の中で男心を揺さぶった。
一瞬、迷探偵柳生幸次郎は自分を失いそうになった。
「はい、、、どうぞ、、外は寒いですよ、、」訳の分からない返事をしてしまった。
「このような場所は始めてなので、、どうも、苦手なんです、、」と、、云いながら、、また、招待されておきながらのチグハグナ言葉を発してしまった。
「ふふ、、面白いお方ですね、、私もあまり好きではありませんの、、」と、云いながら、持ってきた「シャンパンボトル」を空けていた。
「私ね、、踊るパーティーより、、お酒が好きなんですの、、、のん兵衛なのよ、、」と、笑みを浮かべながら、柳生幸次郎に近付いてきた。
「もし、、よろしかったら、、飲みなおしませんか、、」と、、云いながら迷探偵柳生幸次郎を誘って歩き出した。
庭の離れの部屋へ入った仮面の女の誘いのままに、柳生幸次郎も入って行った。
そして、,二人で仮面の女の薦めのままに、ブランディーを呑んだ、、柳生幸次郎も酔った。
気が付いたら仮面の女は別の部屋のベットに横たわっていた、、、仮面も外れたいたが、、
気品のあるいい女だったが、柳生幸次郎も少々呑みすぎたのか、寝入ってしまった。
翌朝、先に目が覚めた柳生幸次郎は黙って家を出たのである、、、一緒に飲んだ仮装女性が「中宮寺明子」と分かったのはあとからであった。
一緒にパーティーに行った、張谷社長が一部始終を見ていたのであった。


34)闇将軍、粛正をする

「中宮寺明子」のクリスマスパーティーでの参加者チックが行われた。
常に「闇将軍」は用心深く、あらゆることに気を配っていたので、、その組織は上手く保たれていたのである。どんな小さなミスも許さなかった。
間違いに二度は無かったのであった。ミスを犯した者は必ず、何らかの形で粛正をされてきた。今回の招待客の中の、、柳生幸次郎に疑問の目が向いたのである。
彼を招待したのは誰かと、、組織の許しを得ないで招いた責任を取らせるためだった。
すぐに分かった、、新宿区大久保の張谷誠一社長と分かり、、柳生幸次郎の身元を調査させたのであった。
何と柳生幸次郎は城之内安太郎の妻洋子の依頼人の探偵と分かり、、「闇将軍」は直ちに、「中宮寺明子のパーティメンー」から外させた。
その行為は「闇将軍」の失敗であった。そのことを聞いた迷探偵柳生幸次郎は「ピーン」とくるものがあったのである。刑事の勘という奴だった。
さらに、、パーティーが終わった数日後、新宿区大久保の「焼肉風流」が閉店して、張谷社長との連絡が取れなくなってしまったのであるから、、余計に柳生幸次郎は合点がいった。
間違いなく張谷社長は「闇将軍」に粛正されたと確信した。
そして、迷探偵柳生幸次郎とかかわりの持つ人間を「闇将軍」の組織に近付けたくなかったのだと、、それは、、、柳生幸次郎が知っている人間だと云っているようだった。
考えた、、誰なんだ、、柳生幸次郎に会わせたくない奴は、、、
柳生幸次郎に会いたくない奴、、都合の悪い奴、、それは一人しかいないのだった。
まさかと思いながら、、「中宮寺明子」が心配になり、、先日に聞いた電話に連絡をして見たが留守だった。
迷探偵柳生幸次郎は心配になり、、尋ねることにした、、あのクリスマスパーティーの夜を共に酒を呑み過ごした女性である。。訪ねてみたら、留守番の女性が出て、昨日からアメリカへ行っていますので、当分は戻りませんと、、告げられた。
迷探偵柳生幸次郎は「しまった、、お
そかったか、、」と、、地団駄を踏んだ。
これでまた、「闇将軍」への手掛かりは無くなり、、やっと、、なんとなく、たどり着けると思った道筋がゼロになってしまった。
手ごわい相手だと、、しみじみ思ったのである。
しかし、なんとなく分かってきたことから迷探偵柳生幸次郎は「闇将軍」を追いかけ調査することにした。

36)元の依頼人「城之内洋子」を訪ね。。。

迷探偵柳生幸次郎は、「闇将軍」の策略により、やっと、掴んだ調査の道を絶たれたので、今回の事件の発端である、城之内洋子を訪ねた。
彼女は住んでいなかった、以前の豪邸は競売に掛かり、他人名義になっていた。
大阪国税の差し押さえによるものであった。城之内洋子が、故人安太郎から受け継いだ遺産、、特に不動産資産は全て差し押さえされていた。
城之内洋子の相続やその他の方法で取得した「現金」は、彼女と共に消えていた。噂ではアメリカへ逃げたとも、、しかし、大阪国税の追及は厳しいので、逃げたとしても逃げ切れるものでわない、、噂通り、消されてしまったような気がした、、柳生幸次郎であった。
故人安太郎の遺産は、いろいろな流れはあったが、最終的には城之内洋子に相続はされたが、国税に差し押さえされたりして、全てが消滅したのであった。
「現金」の部分は妻洋子が手にしたが、、闇に消えた。
この遺産相続に関することは、、故人安太郎が妻洋子や自分の身内への報復であったような、、
故人安太郎も恐ろしい人間であった。
しかし、「闇将軍」は更に恐ろしい人間だ、、悪魔の化身かも知れないと思うようになった、柳生幸次郎であった。
城之内洋子も行方が分からず、、謎の女「中宮寺明子」も行方知れずであり、、新宿区大久保の「焼肉風流」の張谷社長も行方が分からなかった。
殺されたとかの殺人事件があったのなら、、納得はいくのであるが、三人とも行方不明のままであったので、、迷探偵柳生幸次郎は合点が行かなかった。
これまでのアメリカでの調査や、行方不明の人間たちから分かったことは、、、間違いなく、
「闇将軍」は「城之内安治路」だと言いきれた。
その「闇将軍」の行方を何としても探し出してやろうと決めた、柳生幸次郎であった。

35)闇将軍はどこに、、、

迷探偵柳生幸次郎は、此処まで来たら、何としても「闇将軍」に会いたかった。
城之内家の遺産相続から、、安太郎の殺人事件、大阪事業所の爆破事件と、、まだ、犯人は逮捕されていなかったので、、その辺の状況を再度、把握しようと動いたのであった。
最初、成城警察署の原田警部を訪ねた、、城之内安太郎を殺した犯人は未だ分からずであり、、捜査は細々と行われていた。
「原田警部、、ご無沙汰しております、、あの安太郎は本当に殺されたのですか、、もしかしたら、自殺と言うこは無いでしょうね、、俺が考えるのに、殺人事件にしては妙だと思うので、
「巧妙に仕組まれたトリックの元での、、殺人事件に見せかけた、、安太郎の一人芝居ではなかったのかなと思えば納得のいくことが多いのだが、、、どう、思います、、」と、、柳生幸次郎に云われてみれば、そう、考えられる。
「柳生さん、、もしかしたら、あなたの推理が正しいかも知れないな、、此処まで犯人が浮かばないのも合点がいくよ、、」
「そうでしょう、、、」柳生幸次郎も相槌を打った。
原田警部は言ってくれた、、再度、捜査の見直すと、、、
迷探偵柳生幸次郎は確信したのである故人安太郎の「芝居殺人事件」と。。そう、考えることにより、、、大阪事業所爆破事件も、故人安太郎の遠望な計画の一つだと思うようになった。
全ての真犯人は故人安太郎だと、、、そのために、いくら捜査をしても犯人は検挙出来ないでいるのだった。
迷探偵柳生幸次郎は大阪へ向かった、大阪府警も相変わらずに「脱税」関係は摘発が出来たが、事業所爆破事件については、関係暴力団も認めなかった。
それを知った柳生幸次郎は、退院した榊原豪太郎を訪ねた。
多分、真相を知っているのは彼だけだと思ったのである。
迷探偵柳生幸次郎の推理では、故人安太郎の指示で榊原豪太郎が爆破事件を起こしたと考えていた。。
迷探偵柳生幸次郎が豪太郎を訪ねた時には意識がなく、危篤状態であった。
これも個人安太郎の計算のうちだろうと思い、真実を聞き出すことは諦めた。
しかし、柳生幸次郎の推理で間違いないと確信して東京へもどった。
帰る新幹線の中で思った、、故人安太郎は恐ろしい、執念の男だと。。。
そして、考えた、その息子の「安治路」も恐ろしいと、、、


37)「闇将軍」現れる、、、

迷探偵柳生幸次郎は考えた、、、城之内安太郎の妻洋子に警護と調査を依頼された時から、故人安太郎には見透かされていたような気がした。
今回の故人安太郎の「殺人事件」も考えれば不思議であった。死んでも可笑しくない人間が最後に、死ぬ間際に、これだけの芝居が出来るのかと疑問を持つようになった、柳生幸次郎であった。
更に復讐とはいえ、、自分の実の息子を爆破事件に絡めて、殺すことが出来るのかと、、
疑問を抱くようになったのであった。
不幸に陥れることが出来るのか、、、どんな「バカな子供達でも可愛い筈なのだ、」そんなことから、、考えてみたら「謎」だらけであった。
そして、親不孝からアメリカに渡った、長男「安治路」にも、それだけの器量が有たかと、思われたのあった。
何か不自然な、、疑惑が沸き上がって来た迷探偵柳生幸次郎であった。
そこで柳生幸次郎は大阪時代の「極道稼業」の時に遡って調べてみた。
意外な事実が飛び出してきた。
城之内安太郎には「双子の弟」が居ることが分かったのである。
同じ極道稼業をしており、、常に兄、安太郎の陰になって生きてきたので、、悪事は全て引き受けて、、二人で「陽と陰」の関係で生き抜いてきた兄弟であった。
兄「安太郎」が死んだ時には、まだ、熊本刑務所に服役中であり、出所してから兄「安太郎」の死んだことを知った、弟の「安二郎」であった。
双子の弟「安二郎」は度胸も頭脳的にも兄「安太郎」より、優れていたのであったが、、人との接し方が不器用だった。。
この事実を知っていたのは榊原豪太郎であった。彼は亡くなる前に書き残した日記があり、、それを孫娘「朱美」が預かっていたのである。
その孫娘「朱美」は云われていたのであった、、、豪太郎の日記は、一番公平に判断できる迷探偵柳生幸次郎に白羽の矢が突き立てられていたのであった。
それを見て、柳生幸次郎には納得がいった。
熊本刑務所から出た、弟「安二郎」は死んだ双子の兄「安太郎」の無念を悟り、、全ての今回の復讐劇を考えたのであった。
そっくりな双子の兄弟の思いを晴らしたのだった。
アメリカにおける事業も故人安太郎が起こしたことであり、、長男安治路は走り使いをしていただけのようだった。
そのために、迷探偵柳生幸次郎が安治路の追跡調査をしても出てこないわけが、やっと理解できた。
すでに、長男「安治路」もこの世から消えているだろうと想像が出来た。
迷探偵柳生幸次郎は双子の弟「安二郎」を探すことにしたのであった。
全ての犯人は双子の弟「安二郎」の復讐であったのだと、、確信がいった。


38)双子の弟「安二郎」の復讐


双子の弟「安二郎」は兄「安太郎」が生前に熊本刑務所まで面会に来てくれた時に、話はすべて聞かされていた。最後の最後まで弟「安次郎」に何も恩に報いられずに、済まなかったと謝った。
そして、その「義」に報いるためにも、、兄「安太郎」は全財産を弟「安二郎」に譲る、約束をしたのであった。そんなことでは足りないことは分かっていた。
しかし、兄「安太郎」は苦労させて、命を掛けて、一緒にやってきたことへの「人生の借り」は返せないともわかっていたが、、、そうしないと気が済まなかった兄「安太郎」であった。
兄「安太郎」は自分の死が近づいていたことを知った、、半年前のことだった。
その後、双子の弟「安二郎」は、、兄「安太郎」から,家庭の事情や会社内容などを聞いていたので、、出所するまで考えた。
そして、大阪事業所の榊原豪太郎の元に手紙を書いて、熊本刑務所まで面会にきてもらった。
兄「安太郎」と番頭「榊原豪太郎」の付き合いは古く、、極道時代からの兄弟分のつきあいであった。
そのために、、榊原豪太郎からも話を聞いておきたかったのである。
兄「安太郎」と榊原豪太郎の話は信用ができた。
面会に来た榊原豪太郎は「ご無沙汰しました、、お元気な様子なので安心しました、、本当に不義理ばかりですいません、、兄貴、、」と、、涙ぐんでいた豪太郎であった。
「おう、、とっつあんも元気みたいだな、、あはあはあはっ」と、、云いながら、東京と大阪の事情を詳しく聞いた。
「そうか、、兄貴も苦労したんだな、、なまじ家族なんか持って、、やっぱり,財産を持ちすぎたな、、なあ、、とっつあん、、」
「そうですね、、少々、大きく成り過ぎましたね、、みんな欲の皮が突っ張すぎて、、腹の中が分かりません、、、家族も身内も無いような、、」
と、、今から「遺産相続」争いが見え始めたというのであった。
誰一人として、「会長の仕事を継いで、やり遂げようとする意欲が見えません、、ただ、自分の取り分を守り、自分の欲を満足させようと、そればかりを考えている様子ですね、、」
そんな話や、会社事情を話してくれた。
また、会長の妻洋子が元は、長男の恋人だったという話もしたのであった。
余りにも「金目当ての家族であり、親族であった」と、、豪太郎は話した。
「そうか、、よくわかったような気がする、、、出所したら、取り合えず大阪のお前の家に行くから、、宜しくな、、それから相談しようか、、、今日はありがとうな、、」
そんな話をして、境原豪太郎は大阪へ帰って行った。


39)安太郎が亡くなる1か月前の話。。。

城之内安太郎が亡くなる1か月前に、双子の弟「安二郎」は出所して、大阪の榊原豪太郎の家に出向いたのであった、まだ、豪太郎が元気な時だった。彼は孫娘の「朱美」と二人暮らしであった。
孫娘「朱美」は豪太郎に似ているところがあり、、度胸もよく、悧巧な娘だったので、、豪太郎も傍に於いて可愛がっていた。
未だ、若かったが、それとなく金融関係の手ほどきを教えていた、、、朱美は覚えが早く、豪太郎の走り使いは出来ていた、やくざ組織の者たちからも、、「朱美ちゃんは女にしておくのは惜しいな、、」と、、、豪太郎は言われていた。
其のたび豪太郎もそう思っていた。
そんな暮らしの中に「安二郎」が帰ってきたが、、孫娘「朱美」は平然と暮らしていた。
「爺ちゃん、、安二郎おじさんが帰ってくるのだったら、、達磨寿司に席を取っておくね、、」
と、、気が利く娘でもあった。
やって来た、、20年振りの大阪に、、帰って来た安二郎は、豪太郎の家に入った時に、涙が零れた。
余りにも懐かしすぎたが、、変わっていない豪太郎の家を見た時に、嬉しいのと、豪太郎の気の使い方に感謝した。安二郎が逮捕された時のままの家だったので、、贅沢をしないで、懲役に行っている者への心使いが嬉しかった、、豪太郎は「義」を知っている男だった。
20年間、義理を貫いて「兄、安太郎」の身代わりで務めた豪太郎には、贅沢は禁物であり、してはいけない「男の誠」であった。
「豪太郎、、ありがとうな、、俺は帰るうちを間違えなかったよ、、」と、、双子の弟「安二郎」は頭を下げた。
そんな湿っぽくなった二人に、、「安二郎、おじさんの好きだった達磨寿司を予約してあるから、、お祝いだもの早く行こうよ、、」と、、孫娘が誘ってくれた。
その晩は、三人で楽しい食事をした、、
達磨寿司の親父さんも入って、、「安二郎さん、ご苦労様でした、、待ってましたよ。。」と、、年老いた寿司屋の親父と女将さんが出迎えてくれた。
「さあ、、今日はお店は休みだぜ、、みんなで20年分を楽しもうよ、、おめでとう。。
ここに安太郎さんが居てくれればな、、、」と、、ぽつりと光るものがあった。
「ありがとう、、みんな,嬉しいよ、、兄貴も病気だからな、仕方がない、、本当にありがとう、、」
安二郎も豪太郎も明日から始まる地獄絵図を知らない兄「安太郎」に誓ったのであった。


40)城之内安太郎が亡くなる前の東京で、、、

双子の弟「安二郎」は大阪で、豪太郎と打ち合わせを済ませて、孫娘「朱美」を連れて東京へ出た。ホテル住まいをして、兄「安太郎」の殺人事件の準備をした。
住み込みで働いている、阿部夫妻を呼んで話をした、阿部夫妻は兄「安太郎」には古くから仕えて働き、夫妻は恩義を感じていた、困っているといる時に助けてもらっていたので、、、
それで、打ち合わせをしたのだった。双子の弟「安二郎」の事は知っていた。
阿部夫妻は協力を引き受けてくれたのである、、兄、安太郎が亡くなる数日前に、その体はそっくりな弟。安二郎に入れ替わっていたのであった。
それで、迷探偵柳生幸次郎が有った時には、元気そうに見えて、会話も交したのであった。
その間、本人の兄、安太郎は住み込みの阿部夫妻の離れに潜んでいたのであった。
そのトリックを考えた弟、安二郎は兄、安太郎が亡くなる前に入れ替わって、打ち合わせ通りの毒薬を飲ませて、死んだのであった。
兄、安太郎の覚悟の決断であり、行動であった。
そのために、迷探偵柳生幸次郎は不振の思ったのであったが、、故人安太郎が双子の兄弟であることには気が付かなかった。
ましてや、成城警察署もそのことは知らなかったのである。そのための失態というか捜査ミスであり、、その後の捜査を攪乱したのであった。
そして、双子の弟、安二郎は豪太郎の孫娘、朱美と大阪に戻り、大阪事業所の爆破を実行したのであった。
豪太郎と画策して、一度の爆破事故で、全てが消滅するように、準備をしたのであった。
そのために、大阪府警や京都府警がやくざ組織を追及しても、爆破事件の証拠は挙がらなかった。爆破した張本人が怪我をして、入院してしまい、その後、後遺症で記憶が薄れてしまったので闇の中に消えてしまったのである。
豪太郎の孫娘が事情を知っているとは夢にも考えずに見逃してしまっていた。
そして、、双子の弟、安二郎の存在は微塵も考えなかった警察であった。
やくざのいいとこと言えば、、知らないことは知らないと、、突っ張る度胸を持ち合わせていることぐらいかも知れない。
やくざ組織も、双子の弟、安二郎が出所していることには気が付かなかったのであった。
その後、双子の弟、安二郎は兄、安太郎からの遺産相続の話は持ち出さずに、別の方法手段を講じたのであった。
この事実を迷探偵柳生幸次郎が知ったのは後のことであり、、その事実を知って納得した事件であった。


41)双子の弟「安二郎」によって、兄「安太郎」の恨みは晴らされた。。。

双子の弟「安二郎」は兄「安太郎」と打ち合わせをした恨みを晴らしたのちは、、兄「安太郎」が残した闇金融の仕事をまとめ上げることに専念したのであった。
その走り使いに動いたのが、榊原豪太郎の孫娘「朱美」であり、、よく機敏に動いた。
アメリカのメイン州オーガスタ市にも安二郎は朱美を連れて行っていた。そこで、安太郎の長男
の安治路のいい加減さが分かった安二郎は彼を始末したのであった。
そして、兄、安太郎の築いた闇金融の組織を引き継ぎ、、「闇将軍」に変身したのであった。
それ以後、、アメリカメイン州のオーガスタに拠点を構え、、事実上の動きは全て朱美を動かし、彼女に仕事覚えさせたいた。
そして、東京との往復も朱美がして、金融の仕事もロブスターの輸出仕事も彼女が仕切る様になっていた。。
そのために「闇将軍」になった、安二郎はメイン州オーガスタ市を動かなかったので、、迷探偵柳生幸次郎が探しても見つからなかったというか、、巡りあうことはなかったのである。
姿が見えない「命令の闇将軍の声」だけが聞こえてきたのであった。
それもあとで分かったことであった。
しかし、迷探偵柳生幸次郎は会いたかった。
曰く付きで、追いかけ踏査していた「闇将軍」に会いたくて、再びアメリカメイン州のオーガスタ市を訪ねた。
そして、、迷探偵柳生幸次郎は、故人安太郎の妻から依頼されて
から、15年が経った日に会うことが出来た。
メイン州は日本の軽井沢のような避暑地に似ていて、、森林の多い街であった。
海も川もあり、、東海岸はロブスターの産地でもあり、旨い料理店が多かった。そんな街で、迷探偵柳生幸次郎は知り合いからディナーパーティーに誘われて出かけた。
そこで、主催者の城之内安二郎を紹介されたのであった。そして、以前に榊原豪太郎の病院であった、、朱美という孫娘に再開したのであった。
朱美から近付いてきて、、「ご無沙汰しております、、柳生さんでしたよね、」と挨拶をされた。。びっくりした柳生幸次郎だった。
そして、朱美に誘われて、安二郎の席に就き、挨拶をしたのだった。
その安二郎という人は白髪で、車いすに乗り、90歳を過ぎた老人に見えた。
笑顔を見せて、、人懐こい老人であった。
迷探偵柳生幸次郎は急に自分が年老いた感覚に陥ったのである。。。
「自分は、この老人に会うために、、闇将軍を追いかけていたのかと、、」少々気が抜けたのだった。
そして、その老人の傍らでてきぱき動く朱美を見ていて、何か不気味な恐ろしさを感じた。