短編小説「男と女の愚痴いろは、、、」

       献残屋藤吉郎原作

 

1)男とは、、女とは、、、

この浮世の男と女、、旨くいってるようでかみ合わないのが男と女だ。
所詮、姿形も違えば、、中身も違うのだから、、歯車のようにはいかない、、、
そして、、生まれも育ちもちがうのだから、、うまく合わせているのが不思議なのだ。
ましてや、、一生連れ添うなどとは至難の業だ、、おしどり夫婦などとは何かの間違いではないのか。
機械や建物だって、、自動車だって、、古く成れば壊れたり、、使えなくなる。。
どうして人間だけ一生なのだ、、、「おかしい、、、」
故障もすれば、、古くなれば、、形も変わるのだ、、「気持ちが変わらないのは変だ」
何でも油切れする筈だ、、、我慢しながら、、治しながら使った居るような。。
男も女も我慢しながら、、辛抱しながら、、生きている。
だから、、永い人生では喧嘩もするし、、別れもあるのだ、、、
生きている間には「愚痴」もでる出る筈で有り、、当たり前のことであるような。。。
「夫婦は永遠に」ではあるが「男と女の理想郷」だ、、、それは一番いいことではあるが、、、難しいことだ、、、それでも目指して欲しい。。。

もしも、ある日、目が覚めたら、、夫婦が「男と女」が入れ替わっていたら、、どうなる、、、

 

2)世の中あべこべに、、

一組の夫婦がいた、、、「大道寺道夫と道子夫妻であった」
目が覚めたら夫の道夫が台所にたって、、朝ご飯の支度をしていた。。
エプロン姿で、、、「あなた、、早く起きて頂戴、、、」と、、女言葉で、誰が見ても女である道子に声を掛けていた。。
姿は女であるが、その仕草は男の様な、、「おう、、出来たか、、今、起きるぞ」と言いながら道子が食卓に付いた。「なんか変だぞ、、俺は女だよな、、道子だよな、、しかし、可笑しい」
と、、云いながら起きてきたのだ。
二人で顔を見合わせた。。
「私は男じゃあなく、、女なのね、、、」
そして「俺は女じゃなく、、男なんだ」
しかし、、姿は女であり、、男なのだ、、、二人は参った。
困ったな、、、これからの人生、、どうすればいいんだ、、、
と、二人で悩んだ。
そして、、、気持ちが心が代わったのだから、、姿も変えないとおかしいということになった。。。
二人で相談して、、「女装」「男装」することにした。
ある朝、突然に入れ替わった「男と女」は、その日から突然に変わったのである。
世にも不思議な珍道中が始まった。



3)あべこべになった男と女、、困った珍道中

大道寺道夫は警視庁特捜班の警部補だった。
「ねえー、、道子さん、私、女言葉では仕事に行けないわ、、どうすればいいかしら、、」と、、夫の道夫は困っていた。
妻である道子が応えた、、、男と言葉だからおかしい、、、
「いいんじゃあねえーか、、やってみろよ、、、面白いよ、、」と、、、
ふざけた言い方をしたのであった。
世の中、、男言葉だとか、、、女言葉だとか、、、絶対にそうじゃなければダメという規則もないから、、、やってみようとなった。
「知らないわよ、、道子さん、、」と、言いながら大道寺道夫もその気になってきたのである、、、
人間の話し方、、しゃべり方には決まりはないのだ、、
相手に意味が通じればいいのだった。
世の中には言葉は悪いが「ゲイボーイ」も居れば「おかま」もいるのだ、、、ましてや「ハーフ」もいるのだ、、、
いろんな人種がいるのだから、、ある日、突然に夫婦が入れ替わっても、、可笑しくないはずだ。
そう思って、、大道寺道夫は入れ替わったままで行こうと思った。



4)大道寺道夫はあべこべに成ったまま、、警視庁特捜部へ

大道寺道夫はいつもの通り、、警視庁特捜部に勤務した、、余りにも誰と話をせずにいたので、、
中村捜査一課長がいつも賑やかな大道寺道夫が静かなので、、、
「おい、、大道寺、、お前、どこか悪いのか、、、可笑しいぞ、、、具合が悪かったら休んでいいよ、、」と、、云われて
首を振った。なるべくしゃべらないでいようと心掛けていたのであった。
「やっぱり、、お前、変だぞ、、体調が悪いなら休めよ、、、大した事件もないから、、早く帰って寝ろや、、」
と言われたので、、、大道寺道夫は、、「はい、、」と答えただけで、早退して家に帰った。
「只今、、帰ったわよ、、」と、、女言葉で妻、道子に声を掛けた。
「おお、、帰ったのか、、大丈夫なのか、、、」と、男言葉で返した。
「ねえーー道子、、今日は何とか無口で通して,、ごまかしてきたけど、、いつまで続くか心配だわ、、私、しばらく仕事休むわよ、、戻るかも知れないからね、、」
「しばらくは誰と会いたくないわ、、、いいわね、、、」と、、道夫は寝てしまった。
しかし、、1週間たっても同じだった。
「どうする、、、ねえー、道子、、このままじゃ、、本当に困ったわね、、、」
いくら考えても仕方がなかったが、、、大道寺道夫は女のままで生きていこうかとおもったのであった。
更に1週間休んでも変わらなかった。
いよいよ覚悟を決めて活きないと方法がないと思うようになった。
そして、妻、道子と相談して決めたのであった。
これも運命かも知れない、、、面白いかも知れない、、おとこ女で生きてやろうと決めた大道寺道夫だった。
そして、、、警視庁捜査一課長の中村冠に家にきてもらったのである。
相談したが「そんな馬鹿な話があるか、、、」と、、笑われた。
しかし、、大道寺夫婦が真剣に話してので、最終的には信用してくれた。
理解をしたうえでの勤務となった。
おとこ女の珍道中が始まった。



5)大道寺道夫、、女言葉で闊歩。。

大道寺道夫は警視庁特捜一課長の中村警視に事情を話して、、了解をもらったので警視庁特捜に勤務を始めた。事情を話した時、、中村警視第一課長は信じなかったが、、話を聞いて、大道寺道夫の妻、道子としかし、、中村警視第一課長も不思議がっていた、、「本当に大丈夫かな、、、でも、考え方によっては面白いかも知れない、、とにかく、やってみるか、、」
と、、言うことで、始めることにしたのであった。
中村警視第一課長は、時間が経てば戻るとおもっていた。
大道寺道夫が「おとこ女」で役に立つこともあるだろうと、、好奇心を持ってもいた。
警視庁特捜第一課へ出勤した大道寺警部補を仲間の刑事たちは、やっぱり、初めから好奇心を持って見てういた。
いつも相棒として組んでいた石川警部補が声を掛けて来た。。「おはよう、、大道寺、、調子はどうだ、、大丈夫か、、」と、、朝の挨拶をしたら、、
「おはようございます、ええ、、大丈夫ですわ、、」と、、やっぱり、、いつもの大道寺の挨拶とは違った「おんな言葉」で返って来た。
か細い、女声だった。
同僚ということでもあり、、つい笑ってしまった、「おいおい、、大丈夫かよ、、心配になって来たな、、、あはあはあはっ、、、」だよ、、、
大道寺警部補は頼んだ、、捜査の時には相棒の石川警部補と一緒にできるようにして欲しいと、、
そして、、しばらくは聞き役でやると、、我儘だけどお願いしますということでやることにしてもらった。大道寺警部補の捜査能力と、、これまでの検挙率からして、、そんな方針で行くことにした。
「お願いね、、石川さん、、よろしく頼んだわよ、、」と、、言うことで「おんな男」と「男刑事」のコンビが出来上がった。