「郵趣研究 161号」が届き、一気に読みました。読み応えのある記事が多かったとの印象ですが、とくに目をひかれたのは、魚木五夫さんの連載、contemporenious でした。
内容を読む限り、至極ごもっともな御説であり、首肯できるものでしたが、ご丁寧に最終ページの下に
「※編集委員会注記:編集委員会はコンテンポレーニアスでない使用例の収集を否定するものではありません。」
とあるのが目立ちます。
しかし、記事中には「コンテンポレーニアスでない使用例は集める価値がない」といった類の記述はどこにも見当たらず、「適正期間内に使用されたことがわかる使用例は価値がある」との当然のことを述べているに過ぎないため、この注記は些か神経質になり過ぎではないかと感じた次第です。
この調子で注記をつけていったら毎回、「※編集委員会注記:編集委員会はXXXの収集を否定するものではありません。」などと断らないといけなくなります。そして、反対解釈をすれば、「この注がないものは筆者の個人的見解と編集委員会の意見が一致している」という、誤った理解を独り歩きさせかねない点が気になります。
雑誌上での意見表明は、個人の名前で行われるもので、当然、責任も本人に帰属するわけですから、ことさらに編集委員会が注記をつける必要もないのではと思われました。
それにしても、昭和5(1930)年生まれでいまだ郵趣意欲満々の魚木さんには敬服するしかありません。ぜひお元気なうちに、一度でよいのですから、マテリアル単品の紹介ではなく、まとまったコレクションとしての「米国1922年シリーズ」や「震災切手」の競争展仕様の作品を拝見したいものです。