「郵趣8月号」と届く+もろもろの所感 | 郵便・切手から 時代を読み解く

郵便・切手から 時代を読み解く

切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

先週到着していた「郵趣8月号」ですが、このところ多忙で目を通す時間がなく、ようやく手に取って読むことができました。

 

JPS創立75周年+日本国際切手展2021のダブル特集号ということでしたが、いずれも読み応えのある記事だったと思います。

 

もっとも、名刺広告だけのページが多すぎたのには些か閉口しました。様々な紙幅制約があることは承知していますが、せめて記事ページの下部に広告を入れるなど、さらに一工夫していただけると良かった。

 

昔は名刺広告も収集範囲や思い思いのメッセージなどが記載されていたので、それなりに楽しみながら読み進められましたが、近年は個人情報保護との兼ね合いで住所記載もなく、メッセージ付きの広告も少なかっただけに、少々辛かったですね。

 

それはともかく、国際展を前に、JPSの役員体制が一新され、あらたな山田執行部が誕生したことは郵趣界として特筆すべきニュースで、率直に喜ばしいものです。これまでの池原前理事長に感謝と慰労の意を表すると共に、新理事長の舵取りに大いに期待するものです。

 

新執行部には、JPSがその最大かつ最重要行事と位置づけてきたJAPEXへの競争出品歴・受賞歴のない方も含まれている点は、公益財団法人として、内輪のレベルアップだけでなく、広く世間に利益をもたらす事業展開が求められるようになった事情を酌めばやむを得ないのかもしれませんし、テーマ フィラテリストとして競争展での上位入賞経験もある女性理事も誕生し、真に実力のある女性が役員に加入されたことは良かったのではと感じています。

 

もっとも、名簿を見る限り、事務局体制には変化がなく、相変わらず「事務局ファースト」に傾きがちな懸念は拭いきれませんので、山田新理事長におかれては、前例に捕らわれない、是々非々での指導力発揮を通じ、特定企業等に依存することのないフェアな組織運営をお願いしたいところです。

 

なお、理事改選の陰で、30年以上も監事(うち1名)が留任し続けていることにはやはり強烈な違和感を覚えます。公益財団法人の監事は、ガバナンス強化の世情に照らし、近年その重要度は増すばかりですが、郵趣に関する知見も殆どない方が余りにも長く在任しているのは、正常なガバナンスを追求する主旨からしても首を傾げざるを得ないことで、何か改選できない特殊事情でもあるのではとの指摘が出るやもしれません。余人をもって代えがたい人材とも全く思われません。

 

いずれにしても、2021年はJPSにとっても節目の年であるとともに、日本郵便150年にちなむ国際展開催年でもあるだけに、様々な意味で、真価を問われる年になるでしょう。

 

そこにコロナ禍という困難が加わっているのですから、新役員の皆さんのご労苦は大変なものと拝察します。ぜひご奮闘いただき、公益財団として、狭い収集家村の構成員の厚生だけに囚われることなく、広く世間一般の利益に資する、文化増進活動を行っていただきたいと、正会員のひとりとして期待しています。