東京市内相互間の書留・別配達 | 郵便・切手から 時代を読み解く

郵便・切手から 時代を読み解く

切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

一見して風采の上がらないカバーなのですが、軽く扱うことができないものです。

 

消印は日本橋7.12.26とあり、大正7年末に日本橋から芝あてに差立てられたことが分かります。

 

 

この時期は、既に東京市内および東京-横浜市内相互間に速達郵便が整備されていましたので、急ぎの場合は速達を使うことになるのが普通だと思われますが、本例はなぜか速達よりも割高(別配達料20銭に加えて書留料7銭も必要)な別配達を選択しています。

 

東京市内の場合、どちらを選ぼうが、差出人の勝手といえばそうなのですが、消費者は必ずしも合理的に行動するとは限らないという実例なのかもしれません。いずれにせよ、この時代の東京市内別配達は、速達よりもさらに少ないことは間違いないと思われます。