年末でいろいろ届く | 郵便・切手から 時代を読み解く

郵便・切手から 時代を読み解く

切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

2016年も残すところあと3日となりました。休日モードに入られた方も多いことでしょう。

 

今日は私の許に「郵趣 1月号」や「たんぶるぽすと」、たんぶるぽすと別冊『小判切手 東京市内局のボタ印』、タカハシオークションのカタログなどがドサッと届きました。

 

まず、「郵趣」巻頭コラムは、他のブログでも辛辣に批判されていますが、33行しかない本文のうち8行を誰でも知っている干支の「解説」に充ててしまったのはご愛嬌としても、新春号とは思えぬネガティブモードで、もう少し明るいトーンにできなかったのかと些か残念に思ってしまいました。あと2回、何とかポジティブな気力を維持していただければと願うばかりです。

 

次に、「たんぶる・・・」のコラムは舌鋒鋭いものですが、JAPEXを含む国内競争展に関しやや誤解があるように思いました。「国際展に出るような人が競争出展に出すのは、いかがなものでしょう。貴方の凄さは分かっています。いまさら見せびらかさなくても・・・」というご批判については、たとい国際展での上位入賞者でも、その賞は「作品」に対して与えられるもので、「出展者」とは無関係です。

 

それゆえに、高名な収集家であっても、過去の受賞作品と異なる作品であれば、競争出品として歓迎されるべきと思いますし、過去の国際展入賞作品と同一の出品であっても、チャンピオンクラスが賑やかになることで参観者のメリットは大きくなることは間違いないでしょう。

 

確かに、昔のように全日展のメダル数が予算制約で決まっており、チャンピオンクラスも未設置ならば、過去の国際展入賞作品の再出品が新人のメダル獲得機会を奪いかねない面もあるにはあったのですが、今日ではそうした懸念は皆無であり、後進の育成上の障害は一切ありません。その点からも国際展メダリストの出品を否定的に捉える理由はどこにもないと私は感じています。

 

また、同コラムは全日本郵趣連合役員のJAPEXへの出展に否定的なスタンスですが、私は逆に、全日本郵趣連合関係者(役員・審査員等)が国内展に競争出品者として参加できる、事実上唯一の機会がJAPEXなので、その途を閉ざすことはわが国の郵趣振興上からはマイナスと考えます。むしろ、JPS関係者(JAPEX審査員で競争出品未経験者等)もより積極的に全日展に競争出品し、相互に切磋琢磨することが国内展審査の信認を高めることに繋がるので、大いに推奨されるべきものと思われます。

 

次に『小判切手・・・』の本(鳴美刊)ですが、これは内容の素晴らしさもさることながら、山崎さんの「はじめに」が秀逸でした。なかでもコレクションやマテリアルの公開(雑誌・書籍やブログ等で)を「目垢がつく」として回避すべきか、積極的に開示してPRすべきかという論点は興味深いと感じたところです。これは、今日でも賛否が分かれるところかもしれませんが、情報化社会の現在では、私個人は後者のメリットが勝るように感じました。

 

最後にタカハシオークションですが、新春にふさわしい豪華なラインナップとなっており、今から楽しみです。表紙の大龍+旧小判5銭貼米宛てコンビネーション・カバー(最低値440万円)の動向が気になります。