最近の収穫品 「戦災の為」差出人戻しのカバー | 郵便・切手から 時代を読み解く

郵便・切手から 時代を読み解く

切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

画像は大阪での収穫品(オークションではなくプライベートでした)です。

 

2次昭和3銭と7銭の計10銭を貼った内国書状です。

 

消印は静岡・袋井20.8.3 とあり、あて先は東京の八王子です。

 

 

この時期はご存知の通り大東亜戦争の終結間際で日本の各地は米軍機による空襲に見舞われ、郵便物の送達にも多大な影響が出ていました。

 

この郵便物もその例外ではなく、8月1日の八王子空襲によって名宛人が所在不明となったために、「戦災の為転居先不明 八王子局集配員」の付箋をつけて差出人戻しとなりました。

 

この時期の郵便物で、単なる「差出人戻し」や「転居先不明」の表示はみかけることがありますが、冒頭に「戦災の為」とある事例は多くありません。受取人の勝手な都合で転居したものではなく、明らかに戦禍によるものであることがわかる、訴求力の高いマテリアルです。