昭和12年9月 東龍太郎差出の速達郵便 | 郵便・切手から 時代を読み解く

郵便・切手から 時代を読み解く

切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

画像は、昭和12年9月9日に東京板橋区(現在は練馬区)石神井局から差立てられ、神奈川県の逗子あてに送られた速達書状です。

 

当時は速達郵便が全国実施されたばかりで、逗子あての速達書状としては最も初期の使用例に該当するとみられます。

 

 

ところでこのカバーの面白いところはもう1点あって、それは差出人です。

裏面をみますと「東龍太郎(あずま りょうたろう)」という余り馴染みのない人物名がありますが、彼こそが第4代・5代の東京都知事を務めた人物なのです。

 

もっとも、東が都知事を務めたのは戦後の1959-67年の間ですから、この頃(1937年)はまだ東京大学の教授職にあり、自分が後に都知事を務めることになろうとは想像だにしていなかったかもしれません。

 

因みにこのカバーの宛名にある「東照子」は彼の妻です。