●アメリカ30州に「豚流行性下痢(PED)」が拡大している?

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「豚流行性下痢(PED)」と呼ばれる豚の伝染病が米国の30州に拡大していることが18日、関係団体のまとめで明らかになった。


米農務省も危機感を募らせ、養豚農家に感染報告を義務付けるなど、封じ込め対策を強化すると同日発表した。

・米農務省によると


1971年に英国で初めてウイルスが確認されたPEDは、昨年までに欧州やアジアの大半に拡大。


米国では昨年5月にアイオワ州で初めて感染例が見つかった。


ダウ・ジョーンズ通信によると感染例は米国の30州近くに広がり、これまで数百万頭が処分されたとみられる。

・アメリカでは届出義務はない?

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米国では、本病の発生に関する法的な届出義務はなく、また、本病に対するワクチンは承認されていない。


なお、現在、米国で流行しているウイルスの由来については、遺伝的系統解析の結果、2010年以降中国で大規模に流行している新しいPEDウイルス株と高い遺伝的類似性を持つことから、中国を由来とする可能性が高いと考えられている。

●日本でも全国に拡大している


平成25年10月に我が国では7年ぶりの豚流行性下痢の発生が確認されました。平成26年4月16日17時現在、30県326農場において発生が確認されています。


国内での広がり方も不可解だ。最初の発生確認は昨年10月の沖縄。2例目は約1カ月半後、遠く離れた茨城だった。


その後、鹿児島、宮崎、熊本と発生。九州を中心に広がるかと警戒されたが、次は愛知。そして約1週間後に青森で見つかった。


2月には一時発生が減少し、終息に向かうかとみられたが、3月は再び増加に転じた。

・中国とアメリカで流行したウイルスに似ている?


今回国内で流行しているウイルスは、2010年以降に中国で流行したPEDや、13年に米国で広がったPEDと遺伝学的に近いという。

●豚流行性下痢(PED)とは?


食欲不振と水様性下痢を主徴とする豚の急性伝染病で、家畜伝染病予防法により届出伝染病に指定されている。

・主な症状


食欲不振や元気消失、水様性下痢が特徴的にみられます。


10日齢以下の哺乳豚では、激しい嘔吐や黄色の水様性下痢を示し、脱水により3~4日以内に死亡する場合が多いです。(死亡率:50~100%)

・人への感染はない


豚特有の病気であり、人への感染はありません。