京阪電車の特徴は、その組成の要因で
カーブが多く設計されていることと、
立地の問題か、他の鉄道会社と
一切相互乗り入れしていないことと、
異常気象や事故に強く、
中々止まらないところだなあと
この沿線に20年近く住んでいる
僕は、大好きな緑の車体を
今日も見送っている。
ただ、長期休暇明けだったり
ひょんなきっかけで、
人身事故が起きてしまい
駅に人がごった返すことが
そんな京阪電車でも
年に何度かは発生する。
その事故の結果は
知る由もないが、
悲しい結末だって
一定数含んでいるんだろうな
と一人複雑な気持ちになる。
そんな事故の時は
踏切の警告音が
物悲しく延々と鳴っていて
さらに、その心を締め付ける。
生きてこそ、である。
自ら命を捨てるのは
他人を殺めることと同じくらいに
罪深いことだ。
とある後輩が
何気なく投げかけたその言葉は
僕の脳裏に
たまにリフレインされる。
基本的に前向きで、
向こうみずで、
未来を楽しんで生きているのが
僕の人生なのだが、
一つ一つは大したことではないのだが
その一つ一つが、次々と僕の目の前に
現れては、嘲笑うかのように
僕を苦しめていくような
そんな日が最近あった。
その日、ギリギリのところで
立っていた僕の心は
満杯のコップの
表面張力が破断して
水が滴り落ちるように
一気に傾いてしまった。
本当に一つ一つは
大したことではないことだが
連続攻撃を受けたことにより
体調は崩し、心は荒み、
何もかもどうでも良くなった。
僕という人間は
何のために日々を生きているのか?
僕という人間は
なぜこんなことをされるために
今日も足を進めるのか?
僕は、どちらに歩くべきか。
足を止めるべきか。
何もわからない。
悪寒が走り、血痰が止まらず、
熱も乱高下している。
顔も土色になり、
それでも自分の役目をこなそうと
前のめりに一歩一歩進む。
そんな僕の背中に石を投げるような
様々な障害、心無い言葉、
自分のポリシーに反するような
交渉テーブル。
発狂して、大声を出しながら
逃げ出したい衝動を抑えつつ、
ふと、眺めた先に、
囂々と川が流れていた。
揺蕩う水を眺めていると、
ああ、もういいかな、と思い、
一歩、また一歩と
そちらに吸い込まれるように
歩みを進めてしまう。
その時に、ふと我に帰る。
太宰じゃあるまいし。
入水自殺は無理よ。
一人カラカラと笑う。
一通り笑う。
そして、両手で顔を押さえ
ドスンと路傍に腰を下ろす。
人というのは、些細なことで、
全てを終わらせてもいいと
思ってしまうものだ
という恐怖に、
また声が漏れそうになった時
自分の心に巣食う鬼の顔と
久々に対峙した。
鬼は笑う。
自分で死ぬ?バカをいえ。
まだまだ、
この世で腕っぷしを試させろや。
馬鹿正直に、バカに
足並み合わしてる場合じゃねえだろ。
感傷に浸ってる暇あるなら
這いつくばってでも生きんかい!
あーでも、うーでも、おーでもない
言葉にならない呻き声を漏らし
手を膝に置き、
ゆっくりと立ち上がる。
まだ何もわからないことが
たくさんあるけども、
とにかく僕が悪い、と
短絡的に考えるのは
もう辞めよう、と思った。
悪いのは各々だ。
金がどうだ、名誉がどうだ
人生がどうだ。
それは各々の問題であり
お前らの当たり前を
俺に強要すな。
川を背に、
もう一度、歩み出す。
これは、俺の人生だ、と
腹に力を入れて。
