本棚には沢山の
異世界への入り口が並んでいる。
活字にせよ、漫画にせよ、雑誌にせよ、
今の僕が生きるこの世界とは
ちがう物語が、
手のひらに収まるくらいの
小さな本の中で、
大きな世界が広がっている。
現実と、空想との狭間をあやふやにし、
また、空想から現実を切り取り、
世の中へとつないでいく。
そんな筆者、作者、
並びに編集、出版社の皆様を、
僕は心から尊敬している。
僕らは頭の中で、
その物語を再構築したり、
予測したりすることで、
その先の世界を空想することは
出来なくはないが、
定期的に刊行される本や漫画を
書い続けるのは、
やはり、その物語の生みの親が
どんな解釈や答えを持っているかを
知りたいからだと僕は思ってる。
僕はこのブログで、
小説も、漫画も、文学であると
何度も何度も書いてきた通り、
その二つをこよなく愛する人間であり、
その二つから生きるヒントをもらい、
その二つからたくさんの勇気をもらい、
その二つから驚くほどの励ましを受けた
人間の一人である。
先日、その世界の生みの親が、
亡くなってしまった。
三浦建太郎先生。
僕に圧倒的な『絶望』を刷り込み
ささやかながら続く『再生』を
丁寧に描いてくれた作品、ベルセルク。
ベルセルクとは、ノルウェー語で、
『異能な戦士』の意味であり、
日本では『バーサーカー』『狂戦士』
という意味で浸透しているものだ。
主人公のガッツが、
なぜ魔物を毛嫌いし、
残忍に殺していくのか。
そのエピソードが、冒頭三巻続くという
丁寧な前振りからこの物語は始まり、
彼がどうやって生まれ育ったのかと
伝説の騎士団『鷹の団』の快進撃とが
見事に丁寧に描かれていく。
彼らにとって最悪の結論が出るのは
読者はわかっているものの、
それすらすっかり忘れさせるくらいに
瑞々しく、力強い描写が続く。
ガッツの決断ですら
覇王の卵ベヘリットを持つ覇王の
因果律の上で動いているあれば、
人は神の大いなる意思を
覆すことが出来ないのかと、
誰しもが絶望し悲観する
凄惨な『触』を経て、
物語は現代の混沌へと、
また続いていく。
極めてヘビーな展開の中で
人の醜さと愚かさ、そして強さを
丁寧に描いておられたこの漫画。
そんなストーリーが影響してか
1巻進むのに数年を要した事も。
新たな仲間たちと共に
たくさんの旅を経て、
たどり着いた妖精の島。
失ったものを取り戻すことが
出来たのではないか。
そんな描写を最後に、
この物語の正解が描かれることは
永久に無くなってしまった。
僕らは彼らの未来を
個人個人の想像で
思い思いに描くことはできるが本当は、
ストーリーテラーから
導かれることを本当は望んでいて。
あぁこれで、もう終わりかと、
すこぶる寂しい気持ちで
今この文章を書いている。
三浦先生、
本当にありがとうございました。
一ファンより、精一杯の感謝を込めて。

